1930 (退勤時刻) |
― | 915 (出勤時刻) |
= | 1015 (10時間15分) |
出社や退社のときに、出入口のタイムレコーダーに専用の紙を挿入して出退時刻を刻印するタイムカード。出退勤の時刻を記録し、給与を計算するために重要ですが、勤務時間を計算し、正確な給与額を算出するには手間がかかります。
本記事では、タイムカードによる勤務時間管理と給与計算を効率的におこなう方法を、わかりやすく解説します。
目次
タイムカードは、従業員の出勤・勤務時間を計算、記録する重要な書類です。タイムカード では、専用の厚紙に、タイムレコーダーの時刻を刻印する形での運用が一般的です。
タイムカードの刻印があれば、何時から何時まで勤務したかが明確となります。ただし、単なる勤務時刻の記録であるため、勤務時間を集計する作業、勤務時間に基づいた給与計算は、別途おこなわなければなりません。
タイムカードに記録された出勤時刻と退勤時刻をもとに、勤務時間を無料で計算するためには、次の方法があります。
電卓で出勤時刻と退勤時刻の差を計算し、勤務時間とする方法です。
1930 (退勤時刻) |
― | 915 (出勤時刻) |
= | 1015 (10時間15分) |
電卓に時間計算機能があれば便利ですが、確認作業が負担となります。
タイムカードをエクセルで集計する方法は、次のとおりです。
インターネット上には数多くのエクセルテンプレートが公開されていて、好みにあわせて選べます。ただ、自社の勤務制度に合ったテンプレートを探す必要があり、エクセル入力時にミスが起こるかもしれません。
勤務時間を無料で集計する方法として、計算サイトを利用する方法と、勤怠管理が可能なアプリを利用する方法があります。
無料の計算サイトでは、勤務時間を自動で算出可能です。スマホやタブレットから、出勤状況、出退勤時刻を入力します。自社のシステムとして導入する必要がなく、紙で保管する必要もありません。中には、給与計算システムと連携しているサイトもあります。
勤怠管理用アプリがWeb上で多数公開されています。スマホだけで使えるアプリや、タイムレコーダーに似たアプリなど、さまざまな種類が登場しました。GPSとの連動や、健康管理のための顔写真撮影機能など、さまざまな追加機能が付いているアプリもあります。ただし、無料版では機能が制限される可能性もあるため、場合によっては有料版への移行も必要です。
タイムカードによる勤怠管理には、手段に応じていくつもの課題があります。
入力や集計、確認に手間がかかるほか、手作業で計算ミスが発生するかもしれません。エクセルでは関数を用いることで効率化できますが、関数の知識やノウハウを有する従業員に属人化する可能性もあります。
導入時の操作方法を従業員に指導する手間がかかります。またアプリには有料版もあり、従業員数が少ない場合は、導入コストに見合わないかもしれません。
また「フレックスタイム制」や「変形労働時間制」を導入している場合は、自社の勤務制度にアプリが対応していないことがあります。
タイムレコーダーを使って、紙のタイムカードに刻印している場合は、紙の保管コスト以外にも、次の課題があります。
従業員の労働時間は、なるべくリアルタイムで正確に管理しなければなりません。
その理由は、次のとおりです。
タイムカードを使っている場合は、たとえば、別の従業員によるなりすましの可能性も排除できません。また、タイムカードへの刻印後に残業するなどのサービス残業が発生していても、把握しにくくなります。
出勤状況の記録は、労働基準法の法定三帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)としての取り扱いが必要です。
正確には、労働基準法に明記された書類ではありませんが、厚生労働省が2017年1月に策定した『労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン』において、出勤簿やタイムカードなどの保存が明記されました。
タイムカードは、労働基準法の定めにより、使用時期などにより3種類の保管期間があります(2020年4月改正施行)。
経過措置期間中であっても、民法改正に伴い時効が5年間となった賃金請求権への対応を考慮して、5年間または7年間の保存が望ましいです。誤って廃棄しないように、十分な注意が必要です。
タイムカードと給与計算を連動させるメリット・デメリットは、次のとおりです。
連動させるメリットとして、以下の4点があげられます。
連動させるデメリットとして、以下の3点があげられます。
給与計算アプリは種類が非常に多く、システムや価格はさまざまです。自社の事務や賃金体系にあわせて選択することが重要となります。
給与計算アプリの主流になりつつあるクラウド型を中心に、勤怠管理システムと連携した給与計算アプリを選ぶときは、以下の点に注意が必要です。
企業で雇用形態が多様な場合は、自社の勤務制度に適合しているかを確認します。それほど多くない場合は勤怠管理との連携のみなど、機能を絞り込んだアプリを検討することが大切です。
社内での承認フローとアプリのフローがマッチしているかを確認します。アプリのフローと同じように、社内の事務フローを変更することで効率化できないかという観点からも検討が必要です。
「入力が複雑」、「データ連携が遅い」、「画面がわかりにくい」といった支障がないかを確認します。
お試し期間があるアプリや、少人数であれば無料の給料計算アプリもあります。従業員が使いやすい操作方法であるかを確認して最適な給与計算アプリを選ぶことが大切です。
勤怠管理と給与計算は毎日毎月発生する事務です。どちらも密接に関係しており、正確な作業を求められ、時間もかかります。
働き方改革の推進などでさまざまな勤務形態が広がっているなか、今後も従業員の労働条件の変更は続くかもしれません。従業員の確保が経営上の課題になっている会社も多く、バックオフィス業務の負担を軽減する必要があります。
給与計算など人手に頼っていた業務については、システム化を進めることでヒューマンエラーを減らしながら、コスト削減を両立させることも可能です。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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