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労働安全衛生マネジメントシステムとは?目的と特徴を解説

労働安全衛生マネジメントシステムとは?目的と特徴を解説

監修者: 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー
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労働安全衛生法」の目的は「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進すること」(同法第1条)であり、その実現のために「自主的活動の促進の措置を講ずる」(同法第1条)等の対策を推進することとしています。

厚生労働省ではこの「自主的活動」のガイドラインを具体的に指針として定め、個々の事業者が主体的かつ実効性をもって安全衛生水準を向上させることを期待しています。

「労働安全衛生マネジメントシステム」の目的と特徴

事業場における労働安全衛生を維持、向上していくうえで重要となるのが「労働安全衛生マネジメントシステム」です。

「労働安全衛生マネジメントシステム」とは

事業者が労働者の協力を得ながら、「計画(Plan)実施(Do)評価(Check)改善(Act)」(以下:「PDCAサイクル」)という一連の過程を定めて、自主的な安全衛生管理を進めることにより、労働災害の防止や労働者の健康増進、過ごしやすい職場の形成を行うものであり、事業場の安全衛生の水準を高めることを目的に掲げる安全衛生管理のための仕組みです。

特徴としては、以下の点が挙げられます。

  • 「PDCAサイクル」を利用することで安全衛生水準の向上が期待できる自立的システム
  • 役割や責任を手順化、明文化、記録化することによるノウハウの継承
  • 危険性または有害性に対する調査の実施とその結果に基づく措置
  • 全社的な安全衛生推進体制

このような目的と特徴のもと運用されていきます。

労働安全衛生マネジメントシステムの実施フロー

続いて、労働安全衛生マネジメントシステムがどのような流れで行われるのか、そのフローをご紹介します。フローは以下の8つに大きく分けられています。

(1)事業者による安全衛生方針の表明

(2)建物、設備、原材料、作業方法などの危険性または有害性を調査し、結果をふまえて労働者の健康障害の防止や安全を守るための措置を決める

(3)安全衛生方針に基づき安全衛生目標を設定

(4)(2)で決定した措置と安全衛生目標に基づき安全衛生計画を作成

(5)安全衛生計画を適切かつ継続的に実施する

(6)安全衛生計画の日常的な点検及び改善を行う

(7)労働安全衛生マネジメントシステムに関する監査や見直しを定期的に行い、点検や改善を行う

(8)(1)〜(7)を繰り返し継続的に実施する

これらの8つのフロー以外にも、先ほどご紹介した特徴にもあったような、次の事項も併せて行うこととしています。

  • システムに必要な要件を手順化し、明文化し、記録する
  • システム各級管理者の指名等体制の整備を行う
  • 労働者の意見を反映させる

ポイントは、「計画→実施→評価→改善」というPDCAサイクルを行いながら、システムがよりよくなるように取り組んでいくということになります。

労働安全衛生マネジメントシステムの効果

事業場における安全衛生の水準を高めることを目的としている労働安全衛生マネジメントシステムですが、実際にその効果はあるのでしょうか。

ここでは、中央労働災害防止協会のホームページより「OSHMS(労働安全衛生マネジメントシステム)実施の効果」を参考に、システムを運用することによる効果を、事業場はどのように感じているのかご紹介します。

厚生労働省が平成16年2月、300人以上の労働者がいるおよそ2,000の事業場を対象として行った調査では、システムを運用等している事業場は運用等をしていない事業場に比べて、災害の発生率が3割以上低いという結果が出ました。

また、別の調査では

  • 「安全衛生水準のレベルアップ」
  • 「安全衛生管理の継続的実行」
  • 「職場の危険有害要因の減少」

などについて、成果を実感していることがわかりました。このようにシステムを運用することで、事業場における安全水準が現実に高まっていることがわかります。

労働安全衛生マネジメントシステムはWマークへの近道

労働安全衛生マネジメントシステムを実施することは、事業場の安全衛生水準を高める以外にもメリットがあります。それは厚生労働省による「安全衛生優良企業公表制度」(Wマーク)の公表基準を一部クリアできるというものです。

「安全衛生優良企業公表制度」とは

労働安全衛生に対して積極的な取り組みを行う企業を厚生労働省が認定し、企業名を公表することで企業の社会的認知を高めると同時に、多くの企業が労働安全衛生の向上に取り組むことを促すための制度です。

Wマークの取得は企業にとっては、求職者や取引先の企業にアピールすることにつながり、労働安全衛生に取り組む企業として信頼を得られるメリットがあります。

労働安全衛生マネジメントシステムにおいてのWマーク

労働安全衛生マネジメントシステムを運用している企業のなかで、中央労働災害防止協会等の労働災害防止団体が定める基準に適合したシステムを構築することで、Wマーク認定基準の一部をクリアでき、Wマーク取得に効率よく近づくことができます。

まとめ

今回は事業場の労働安全衛生に関わる「労働安全衛生マネジメントシステム」について紹介してきました。事業場が労働者の安全や衛生の管理に努めることは重要なことであり、これを怠ると評判や社会的信頼を落としかねません。

このシステムを運用している事業場はその効果を実感しているほか、事業場の社会的認知や信頼を高めるWマークの取得にも役立つシステムです。より良い事業場となり、労働者が気持ちよく安全に働ける環境を作るためにも、労働安全衛生マネジメントシステムを導入してみてはいかがでしょうか。

監修者 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー

社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー 代表社会保険労務士:
楚山 和司(そやま かずし) 千葉県出身
株式会社日本保育サービス 入社・転籍
株式会社JPホールディングス<東証一部上場> 退職
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