この記事でわかること・結論
- ホワイト企業とは労働法を順守し、労働者の安心と福利厚生に配慮する
- 労働者が納得できる条件を提供し、ストレスや不満を最小限に抑える
- 社外からのイメージを大切にし、透明性と信頼性を重視する
この記事でわかること・結論
近年、働き方改革の議論が進んでいます。バブル経済期から景気低迷期にかけて企業や労働者を取り巻く労働環境が大きく変化したためです。
それにともない、企業の方針を大きく転換させることに成功した企業をホワイト企業、高度成長期やバブル期のままのモーレツ社員的な労働形態から抜けられない企業をブラック企業と呼びます。
今回は、3つのポイントから両者の比較を行い、ホワイト企業の定義へと導きます。
目次
労働法規の順守は最も重要なポイントです。そこで、ブラック企業とホワイト企業を比較しながら詳しく見ていきましょう。
ホワイト企業では法定3帳簿や就業規則を正しく管理しているため、従業員が安心して働けます。しかし、ブラック企業はそれらの管理がいいかげんです。また、就業規則を従業員が自由に見られない会社もあります。
ホワイト企業は人事労務担当者が労働時間を管理し、ノー残業デーなどの対策を行っています。また、社員が残業や休日出勤などの時間外労働を行った場合、その分の時間外手当を支給します。一方、ブラック企業はずさんな労務管理の下、サービス残業が常態化しています。また、ひどい場合は人事労務担当者がいないケースもあります。
ホワイト企業は有給休暇や育児休暇などの福利厚生制度を利用することを推奨していますが、ブラック企業は育児休業制度がない、有給休暇を取りにくいなど、福利厚生面で大きな問題があります。
ホワイト企業は適法で健全な会社内外のルールとしてコンプライアンスを定め、これを遵守して業務を行います。常にコンプライアンスを意識することで従業員の作業効率を高め、あるいは従業員の権利、健康を守ることはもちろん、各ハラスメントやストレス等による体調不良を防止することで作業効率を落とすことを防ぎます。
しかし、ブラック企業は日々の業務に追われ、ともすれば業績のために法的にグレーゾーンの仕事と背中合わせの連続のため、コンプライアンスの意識がなく、従業員の作業効率、仕事へのモチベーションに加え、会社への信頼感も低下します。
労働者が自身の労働条件に納得しているかも重要なポイントです。そこで、以下の点をチェックしてみましょう。
これらは、仕事へのやりがいを失うだけでなく、ストレスから心身の健康状態に悪影響を及ぼす労働条件であり、到底労働者の納得を得られるものではありません。もし上記のうち1つでも当てはまるものがあれば、ブラック企業の可能性が高くなり、全くなければホワイト企業であると考えてよいでしょう。
会社の外からの視点も無視できません。取引先関係企業やその社員、または就職活動中の学生などが抱く印象は、会社の利益や人材の確保に大きな影響を与えます。また、無関係の第三者も企業イメージという点で少なからぬ影響があると考えられます。
ちなみに、求人広告などでブラック企業として警戒されるケースは以下のとおりです。
チェックポイント
例)「年収〇万円~〇万円(能力や経験による)」「年収〇万円も可能」など
例)「達成感」「お客様の笑顔」「成果により~」など
例)社員旅行の写真掲載、「アットホームな職場です」など
本来は、業務内容や月給、時給など、求職者の判断材料となる情報を優先させるべきです。それらの重要な情報を明記しない会社は、従業員への待遇の悪さをカムフラージュしているとみなされても仕方ありません。
ここまで説明したことをふまえ、ホワイト企業の定義を簡単にまとめてみましょう。
以上はホワイト企業であるための最低条件と考えてよいでしょう。一方で、上記の条件を満たせていない事がブラック企業の特徴と言えます。
なお、国もホワイト企業の推進策として「安全衛生優良企業公表制度」を策定し、認定を受けた企業にはその証明として「優良企業認定マーク」の使用を許可しています。
この安全衛生優良企業認定の基準は次のようになります。まず、過去3年間の労働安全衛生関連の重大な法違反が無いなどの基本事項があります。さらに、従業員の健康対策、メンタルヘルス対策、過重労働の防止対策や安全管理などの分野で、積極的に取り組んでいることが必要になります。
今回は、ブラック企業とホワイト企業を判別するポイントをもとに、ホワイト企業の定義について解説しました。法令違反や労働条件の悪化により、どの会社もブラック企業になる可能性はあります。
また、的外れな対外アピールで労働条件の悪さをごまかせば、企業のイメージが大きく下がります。それを防ぐためにも、上記のポイントを確認し、労働者が定着しやすいホワイト企業をめざしましょう。