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生産年齢人口減少に推移している現状の課題と対応策とは?

生産年齢人口減少に推移している現状の課題と対応策とは?

監修者:加藤 一徹 加藤社会保険労務士事務所
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日本では少子化による人口の減少に加え、高年齢化による若年層への負担が大きくなることが懸念されています。内閣府の試算では、2060年には65歳以上の人口と65歳未満の人口がほぼ1:1になってしまうと予想されているのです。
このような深刻な事態に対し、根本である、少子化の解消に向けての対策とともに、労働生産性を上げていくことが課題とされています。

ここでは、働き方改革においても検討されている対応策についてご紹介します。

移民受入による生産年齢人口の拡大

人口減少の問題に対しての即効性のある対策として頻繁に取り上げられているのが、移民の受け入れと活用です。外国から移民を受け入れ、日本を労働の拠点としてもらうことで、生産年齢人口を押し上げることを目的としています。
特に、高度な技術を要する外国人移民を受け入れることができれば、労働生産性能向上にも寄与する可能性があるとされています。

さらに、移民の受け入れにより、短期的な生産年齢人口を向上させるだけではなく、長期的な少子化による人口減少のリスクも軽減できると考えられています。移民を受け入れることで、外国人労働者が日本で家族を持つようになり、子供を産むことで人口増加を期待することができるでしょう。
このようなサイクルを継続することができれば、日本の人口減少に歯止めをかけることができるとされています。

ただし、日本で移民政策を行うことは、良いことばかりがあるわけではありません。移民として日本に来る外国人、および受け入れ側である日本人との間での摩擦も予想されるでしょう。単純な言葉の壁だけではなく、賃金格差などによるトラブルも懸念されます。

移民受入直後については、外国人労働者の賃金が安くなると想定されていますが、外国人労働者の能力によっては、時間の経過とともに賃金が増加し、日本人労働者との賃金の逆転現象が起こる可能性もあるでしょう。

そのような状態になった場合、両者間に軋轢が生まれないようなケアが必要となります。

復職や再就職のしやすい社会環境の構築

仕事をしていない人のなかには、本当は仕事がしたいのにもかかわらず、やむを得ない理由で退職してしまったという人も少なくありません。たとえば、親や家族の介護のためや、自分自身の病気によって望まない退職を選択しなければならなかったケースがあるでしょう。

一定期間就業できない状態が続いた後で、仕事ができる状態になったとしても、すでに離職した会社に復職することはできない、再就職をしようとしても空白期間や年齢などを理由に再就職の道が開けないということがあります。
働き方改革では、このような人々が復職や再就職をしやすい社会環境を構築することも含まれています。治療中の人であっても仕事と両立できるようなトライアングル型支援などの推進、子育てや介護と仕事の両立支援策の充実や活用促進がそのひとつです。

また、事故や病気によって障害を持ってしまい、以前と同じ仕事ができなくなった人に対して、本人の希望や能力を生かした就労支援の推進も検討が進められています。
これまで働く道がなかった人々に就職の道を開くことで、生産年齢人口の押し上げが期待できるとされています。

特に障害者の雇用については、雇用義務を持つ企業が障害者を雇用していない割合が現状で約3割に達しているため、そうした企業が障害者受け入れをすると、生産年齢人口の早期向上を目指せるでしょう。

専業主婦や定年退職者などの社会進出への手助け

もうひとつの対策は女性の社会進出と定年年齢の引き上げです。
なぜ、これらのことが生産年齢人口の引き上げに繋がるのでしょうか。
それは、「労働力人口と非労働力人口」というものに関係があります。
ひと昔前までは、女性は専業主婦として家庭で家事を行うために仕事を退職するという考え方が一般的でした。そして、労働者は60歳になれば定年退職し、老後の生活に入るものという考え方をする人も多かったですし、実際にその傾向が大多数でした。

統計上、専業主婦や定年退職者も、条件に合えば非労働力人口に分類され、生産年齢人口に含まれることがあります。しかし、経済活動という点で見ると、労働生産性には携わっていない状態になります。このような人々に社会進出してもらい、活躍してもらうことで、労働生産性を押し上げることが可能になります。

また、時代背景の変化などによって、結婚をして出産をした後でも仕事を続けたい女性や、定年後再雇用が終わった後でもまだまだ働きたいという高齢者が増えています。

とはいえ、まだまだ満足できる雇用が確立されていないという現状があり、女性には労働環境の整備、リカレント教育による学び直し支援を、高齢者には継続雇用延長や定年の延長、マッチング支援などの対応策が検討されている状態です。

まとめ

少子高齢化による生産年齢人口の減少という課題に対して、日本政府においては働き方改革として、さまざまな背策の検討が進められています。
移民受け入れによる外国人労働者の増加や、復職・再就職支援、そして女性の社会進出や高齢者雇用など、企業としてもさまざまな対応が必要となるケースが懸念されます。

対応が迫られた場合に、慌てないように準備をする必要があるでしょう。

加藤社会保険労務士事務所 監修者加藤 一徹

日本大学卒業後、医療用医薬品メーカーにて営業(MR)を担当。その後人事・労務コンサルタント会社を経て、食品メーカーにて労務担当者として勤務。詳しいプロフィールはこちら

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