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65歳超雇用推進助成金を活用して、高齢労働力の積極雇用を図りましょう!

監修者: 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー
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65歳までの安定した雇用確保措置といえば、すでにほとんどの法人で導入済みでしょう。

しかしながら、2017年1月の雇用保険法改正により、65歳以降の新規採用においても要件を満たす限り一般被保険者とされ、一部学会からは75歳以上を高齢者として再定義する提言もあるように、時代は確実に「65歳超現役社会」を迎えようとしています。

これからの意欲ある高齢労働力を積極的に雇用していくために助成金を活用してみませんか?

「65歳超雇用推進助成金」受給のための要件とは?

65歳超雇用推進助成金とは、定年を65歳以上へ引き上げたり、定年の定めを廃止した事業主に対して支給される助成金です。この助成金を受けるには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 2016年10月19日以降、労働協約または就業規則によって制度を実施
  • 制度とは、「65歳以上へ定年を引き上げた」「定年の定めを廃止した」「希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する」のいずれか
  • 上記制度を導入する際に経費を要した
  • 上記制度を規定した労働協約や就業規則を整備している
  • 制度実施日から遡って1年前の日から支給申請日までの間に、高年齢者雇用安定法第8条又は第9条第1項に違反していないこと
  • 支給申請日前日において、1年以上継続して雇用している60歳以上の雇用保険被保険者が1人以上いること

これらの要件を満たす場合に助成金が支給されることになります。この他にも細かい要件があります。詳細は独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構都道府県支部の担当窓口まで問い合わせてみることをおすすめします。

1年以上継続雇用中の60歳以上雇用保険被保険者とは

上記受給要件のうち、わかりにくいものといえば、「1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者」ではないでしょうか。この詳細についてみていきましょう。

  • 支給申請日の前日において1年以上継続して雇用されている60歳以上の雇用保険被保険者であること
  • 期間の定めのない労働契約を締結する定年前の労働者、または期間の定めのない労働契約の定年後に継続雇用制度によって引き続き雇用されている者であること
  • 職種別によって異なる場合は、当該助成金受給にかかる定年制度の適用者であること

上記になります。

これは、「65歳超雇用推進助成金」の制度が、今まで正規雇用者として雇用されてきた人が定年後も引き続き働くことができるようにしているものであることから、該当者がいない場合には助成金を支給しないというものです。契約社員など非正規雇用の者を慌てて正規雇用に切り替え、この助成金の申請をしても認められません。

「65歳超雇用推進助成金」不支給となるケースとは?

「65歳超雇用推進助成金」制度について受給要件を満たしたとしても、不支給となってしまうことがあります。これでは、せっかく制度設計をしたにも関わらずもったいないことになります。不支給となるのはどのようなものでしょうか。

  • すでに支給されている
  • 不正受給をしてから3年以内に申請をした事業主
  • 支給申請した年度の前年度より前の年度分の労働保険料を未納入している年がある
  • 支給申請日の前日から1年前の日から支給申請日前日までに労働関係法令の違反があった
  • 性風俗関連の営業や接待を伴う飲食等の営業、またはこれらを一部受託している
  • 暴力団と関係がある
  • 倒産している
  • 不正受給発覚時の事業者名公表に同意しない
  • 過去に高年齢者雇用安定助成金の制度によって、定年の引き上げなどをしたことにより助成金を受けたことがある
  • 同一制度に対し同一の目的で他の国や地方公共団体等の補助金を受けている

これらの不支給事由から、1つの事業主で1回限りの支給であり、職種ごとに新たに複数の制度を導入したとしても、初回のみの支給になります。

「65歳超雇用推進助成金」受給額と申請手続は?

実際に受給できる助成額と申請手続はどのようなものなのでしょうか。

受給額

実現した制度によって金額が異なっています。たとえば、65歳以上に定年を引き上げた場合は100万円、希望者全員を66歳から69歳のいずれかの年齢まで働くことができる継続雇用制度の新設の場合は60万円になります。

申請手続

申請にあたっては、定められた書類を提出する必要があります。この書類に不備があると支給されないため、不備のないようにしましょう。以下に主な提出書類を列挙します。

  • 65歳超雇用推進助成金支給申請書
  • 登記事項証明書(写)
  • 定年及び継続雇用制度が確認できる労働協約、届け出済の就業規則など(写)
  • 雇用保険適用事業所設置届事業主控(写)など
  • 対象被保険者の雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(写)など
  • 対象被保険者の出勤状況が確認できるもの(写)
  • 1年以上雇用継続されていることが確認できるもの(写)
  • 経費の支払いが確認できる書類(写)
  • 助成金振込先が確認できる書類
  • 支給要件確認申立書
  • (代理人による申請の場合)委任状(写)

まとめ

「65歳超雇用推進助成金」の受給がなされるためにはいくつかの要件をクリアすることや、それを証明する書類も必要となります。その要件としては、そもそもの受給要件だけでなく、事業者自体に関する要件や併給調整の要件を満たすということも忘れてはいけません。

また、申請にはこれらの書類をすべて揃えて期限内での提出を要しますので、漏れがないように注意しましょう。

監修者 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー

社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー 代表社会保険労務士:
楚山 和司(そやま かずし) 千葉県出身
株式会社日本保育サービス 入社・転籍
株式会社JPホールディングス<東証一部上場> 退職
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