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エンゲージメントサーベイの目的は?得られる効果や実施する際の注意点も解説

エンゲージメントサーベイとは?3つの注意点や実施方法について解説

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エンゲージメントサーベイとは、従業員のエンゲージメントを測定することで、組織の状態を可視化するための調査です。

組織の生産性を上げるために、エンゲージメントサーベイを取り入れる企業が増えてきました。

しかし、今ひとつどのようなものか理解できていない人もいるのではないでしょうか?

本記事では、エンゲージメントサーベイをおこなう目的と得られる効果、実施する際の注意点、実施方法について解説します。

監修者
労務 SEARCH

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エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントサーベイとは

エンゲージメントとは、「誓約」「約束」「婚約」「契約」という意味をもつ単語ですが、ビジネスシーンにおいては「従業員と企業間の関係性」や「従業員の職場に対する愛着心」という意味で使用することが一般的です。

サーベイは「調査」という意味であるため、エンゲージメントサーベイとは「従業員と企業間の関係性を可視化するための調査」となります。

エンゲージメントサーベイの目的

エンゲージメントサーベイの目的は、大きく次の3つです。

エンゲージメント サーベイの目的

  • 組織課題の可視化
  • 人事上の施策への活用
  • 離職の防止・優秀な人材の定着

それぞれ詳しく解説していきます。

組織課題の可視化

エンゲージメントサーベイでは、従業員のエンゲージメントを数値化して客観的に確認することができるため、組織内の課題を可視化することが可能です。

従業員の職場に対する信頼感や愛着心が希薄だと、業績が低迷し従業員の働く意欲が低下するなど、悪循環に陥ってしまいます。

組織内の課題を明確にすることは、エンゲージメントサーベイをおこなう大きな目的のひとつだといえるでしょう。

人事上の施策への活用

エンゲージメントサーベイでは、「コミュニケーションの状況」、「マネジメントの問題点」、「モチベーション・エンゲージメント状況」など、人事上の問題を数値化できます。

そこで出てきたデータを根拠に、課題に対してどのようにアプローチしていくか検討し、人事上の施策に活かしていくこともエンゲージメントサーベイの目的のひとつです。

離職の防止・優秀な人材の定着

離職率の高い企業は、さまざまな課題をもっていることが考えられます。

しかし、課題がクリアになっていないと、具体的な対策を打ち出すことができず、問題を解決することはできません。

エンゲージメントサーベイを実施し、課題が明確になることで、組織が抱える問題に対して的確なアプローチが可能となります。

また、職場改善を図ることで、優秀な人材を定着させることにもつながるでしょう。

エンゲージメントサーベイで得られる効果・メリット

エンゲージメントサーベイで得られる効果・メリット

エンゲージメントサーベイを実施することによって、次のような効果が得られます。

エンゲージメントサーベイで得られる効果・メリット

  • 従業員のモチベーションの維持
  • 生産性の向上
  • 離職率の低下

ひとつずつ順番に見ていきましょう。

従業員のモチベーションの維持

エンゲージメントサーベイによって明らかになったデータを根拠に、的確なアプローチができます。

たとえば、従業員が「現場のコミュニケーション不足」を不満に感じているようであれば、従業員と上司が1対1で話せる機会の設定、社内イベントの実施、オフィス環境の改善、などの対策を講じることが可能です。

エンゲージメントサーベイによって浮き彫りとなった課題に対して、的確なアプローチをしていくことができれば、従業員のモチベーションを高い状態に保てます。

生産性の向上

どの企業も「生産性を上げたい」と考えるものですが、むやみやたらに「生産性を上げよう」と従業員を鼓舞したところで、簡単に生産性が上がるものではありません。

しかし、エンゲージメントサーベイで得たデータを基に、課題に対して的確にアプローチしていくことで、従業員のモチベーションが上がり、それに伴って生産性も自然とアップしていきます。

離職率の低下

エンゲージメントが高い企業は、離職率が低い傾向にあります。職場に対して愛着があり働きがいを感じていると、誰しも「離れがたい」と思うものです。

従業員に会社に対して愛着心や働きがいをもってもらうには、まずエンゲージメントサーベイの結果からエンゲージメントが低い原因を探ります。

そしてそこから得たデータを根拠に、コミュニケーションやマネジメント、給与体系・福利厚生、職場環境などの改善をおこなうことで、職場に愛着や働きがいを感じてもらい、離職率の低下につなげることが可能です。

このように改善を続けていくことで、従業員のエンゲージメントが上がりリファラル採用も活発化していくでしょう。

リファラル採用とは、自社の従業員から友人や知人を紹介してもらう採用方法のことです。リファラル採用は、採用コストの削減や理想とする人材とマッチングしやすいといったメリットがあります。

エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点

エンゲージメントサーベイを実施する際の注意点

エンゲージメントサーベイを実施する際は、以下3つの点に注意しておきましょう。

エンゲージメントサーベイ実施時の注意点

  • 従業員の理解を得る
  • 従業員の負担にならないよう配慮する
  • 結果をどう活かすかが重要

効果を最大限に発揮するためにも、注意するポイントを理解した上でエンゲージメントサーベイを実施しましょう。

従業員の理解を得る

企業側が一方的にエンゲージメントサーベイを実施するだけでは、従業員もなんのために調査されるのかよくわからず、回答率が下がり、本音を知ることができない可能性もあります。
エンゲージメントサーベイを実施する際は、必ず調査する目的や、調査によって不利益を被ることはない旨を伝え、従業員の理解を得た上でおこないましょう。

従業員の負担にならないよう配慮する

エンゲージメントサーベイは従業員の業務時間を割いておこなうため、なるべく負担を少なくすることが大切です。

上記のように、従業員の負担とならないよう配慮した上でエンゲージメントサーベイを実行しましょう。

結果をどう活かすかが重要

ただエンゲージメントサーベイを実施するだけでは、組織内の課題は解決できません。

まずは「どのような組織にしたいのか」会社の理想の状態をイメージし、「なぜエンゲージメントサーベイを実施するのか」という目的を明確にした上で、調査で得た結果を基に具体的な対策を講じ、課題を解決していきましょう。

また、現状の課題がクリアされたとしても、組織内には新たな課題が出てくるものです。組織発展のために、従業員の負担とならない範囲でエンゲージメントサーベイを定期的におこなうことをおすすめします。

エンゲージメントサーベイの実施方法

エンゲージメントサーベイの実施方法

最後にエンゲージメントサーベイの実施方法について解説します。実施方法としては、主に以下の2パターンがあります。

それぞれ特長やメリット・デメリットがあるため、自社に合った方法でエンゲージメントサーベイを実施しましょう。

自社で質問表を作成する

自社で質問表を作成し、エンゲージメントサーベイをおこなうことも可能です。

たとえば、従業員のエンゲージメントを測る代表的な方法は、米国のギャラップ社が実施しているQ12(キュー・トゥエルブ)です。

Q12(キュー・トゥエルブ)の設問

  1. 職場内で自分がなにを期待されているのかを知っている
  2. 仕事を遂行する上で必要な道具と設備を与えられている
  3. 職場で自分の力を発揮できる機会を与えられている
  4. 過去7日間のうちに、成果を上げた仕事に対してなんらかの評価や称賛を受けた
  5. 上司や同僚は、自分を一人の人間として気にかけてくれている
  6. 職場内に自分の成長を鼓舞してくれる人がいる
  7. 職場で自分の意見が尊重されている
  8. 会社の掲げる使命や目的が、自分の仕事が重要であると感じさせる
  9. 同僚は質の高い仕事をしようとしている
  10. 職場に親友がいる
  11. この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の成長について話してくれた
  12. この1年のうちに、仕事を通じて学び、成長する機会があった

自社で設問を用意する場合は、組織風土や社風に合わせて設問を用意できるほか、コストを抑えられるメリットがあります。

ただし、設問によって得られたデータを基に組織全体のスコアを導き出すには、高い専門的知識と分析力が欠かせません。

そのため、エンゲージメントサーベイによって自社の問題が可視化されたことは良いものの「集計結果を見ただけで、課題解決につなげられなかった」という場合も考えられます。

外部サービスを利用する

自社でエンゲージメントサーベイをおこなう人員のリソースがない場合や、ノウハウがなく自社での調査が難しい場合には、外部サービスの利用がおすすめです。

外部サービスを利用する場合は、コストがかかってしまうデメリットがあります。

しかし、組織のエンゲージメント状態の可視化のみをサポートするのではなく、組織エンゲージメント向上に向けた、施策の設計までを請け負うところも多く、課題解決に向けて具体的にアプローチしていくことが可能です。

まとめ

エンゲージメントサーベイの大きな目的は「組織課題の可視化」「人事上の施策への活用」「離職の防止・優秀な人材の定着」の3つです。

組織内にはさまざまな問題点があるものですが、課題が明らかにならないことには、具体的な対策を講じられません。

そういった場合に、エンゲージメントサーベイをおこなうことで、組織内の課題を洗い出し可視化できるため、課題に対して具体的にアプローチしていくことができます。

ぜひ、今回の情報を参考に自社に合ったエンゲージメントサーベイを実施し、企業の発展につなげてください。

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