この記事でわかること・結論
- タレントマネジメントシステムは人材戦略推進、人事管理システムは業務効率化に焦点
- タレントマネジメントシステムは従業員情報一元管理、人事管理システムは勤怠・給与計算機能重視
- 自社の課題や目的に合わせて適切なシステム選定が重要
更新日:
人材・組織この記事でわかること・結論
タレントマネジメントシステムと人事管理システムは、労務作業の効率化や人材戦略の推進などのために導入されるサービスです。
どちらも人事部門の業務をサポートするサービスですが、両者の違いをよく理解できていない方もいるのではないでしょうか。
それぞれの特徴や導入する目的があやふやだと、自社にあったサービスを選定することはできません。
本記事ではタレントマネジメントシステムと人事管理システムの違いについて解説します。ぜひ参考にしてください。
目次
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違いを理解するために、まずはそれぞれの目的や機能例について詳しく見ていきましょう。
そもそもタレントマネジメントとは、従業員の能力や資質などのデータを一元管理し、戦略的な人材配置や適切な人材育成につなげることを指します。
このタレントマネジメントを実行するためのサービスが「タレントマネジメントシステム」です。
タレントマネジメントをおこなうにはデータの管理が重要なため、人事部門の経験や記憶だけでは効果的な運用は困難であり、システムの導入が必要不可欠です。
実際にHR総研のアンケートによると、タレントマネジメントを運用する企業のうち約7割がシステムを導入している、もしくは導入準備中であると回答しています。
タレントマネジメントシステムの機能例は以下のとおりです。
なかでも従業員のキャリアやスキルなどの情報を一元管理できるデータベース機能は、タレントマネジメントシステムの肝となります。
そのほか、目標やキャリアプランを可視化できる「目標管理機能」や最適な人材配置やシミュレーションがおこなえる「組織図作成・人員配置機能」などの機能を備えていることが多いです。
タレントマネジメントシステムを導入する一番のメリットは、従業員を適材適所に配置できる点です。
従業員の経験やスキルなどを、さまざまな側面から可視化できるため、リソースを最大限活かすことが可能となります。
また、まだ能力を活かしきれていない人材を発掘できることもタレントマネジメントシステムのメリットの一つです。
人の目や数値だけでは評価が難しい能力も把握しやすくなるため、埋もれていた人材に活躍できる場を与えられます。
タレントマネジメントシステムと混同されやすいものが「人事管理システム」です。
人事管理システムを導入する目的や機能例について見ていきましょう。
人事管理システムは、採用や勤怠管理、給与計算などといった人事部門の業務効率化のために導入されるシステムです。
HR総研のアンケートによると、約6割の企業が人事管理システムを導入していると回答しました。
出典:HR総研:人事系システムに関する調査【1】人事系システムと人事管理システム
人事業務は管理する情報や作業が多岐にわたるため、従業員数が増えれば増えるほど煩雑となります。
すべての業務を人の手でおこなっていては効率が悪く、ミスが発生する可能性が高まるので人事管理システムを導入する企業が増えています。
人事管理システムの主な機能例は以下のとおりです。
人材管理システムの機能は、勤怠・労務管理や給与計算といった労務業務と、人事評価や採用管理といった人事業務に大別できます。
人事管理システムを導入する最大のメリットは、業務の効率化です。
これまで人手をかけていた単純作業のほとんどを自動化できるため、人事部門の負担が軽減され、ミスも極力防げます。
また、人事部門の負担が軽減されることにより、人件費を削減できる点も人事管理システムの導入によるメリットの一つです。
ここまでタレントマネジメントシステムと人事管理システムの特徴や機能を解説しました。
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの大きな違いは導入目的です。
タレントマネジメントシステムは、従業員の情報を一元管理し、適切な配置や育成などの人材戦略を遂行することが大きな目的です。
一方で人事管理システムは業務の効率化を目的として導入されます。
中には似ている機能もありますが、自社の課題や目指すべき方向性によってどのシステムを導入するのかを決めましょう。
タレントマネジメントシステムや人事管理システムはうまく活用することで大きなメリットが得られます。
しかし、自社の課題や目的にあったシステムでなければ無駄なコストの発生や従業員のモチベーション低下を招く恐れがあるため、注意が必要です。
ここからは自社にあったシステムの選び方を解説します。
まず、各部署に抱えている課題や悩みをヒアリングします。
負担がかかっている労務作業や効果が出ていない人事業務などを明らかにすることで、どのようなシステムを導入すべきかが見えてきます。
特に、実際に運用することになる人事部門の意見は入念にヒアリングしておきましょう。
ヒアリングした課題や悩みをもとに、システムを導入する目的を明確にしましょう。
導入する目的が曖昧なままだと、システム運用の方向性が定まりません。また、効果測定もおこなえないため、効果的な運用が不可能となります。
費用対効果を最大化するために、なぜ今このシステムを導入するのかを議論し、社内全体の意思を統一することが重要です。
最後にどのサービスを導入するのかを選定します。
タレントマネジメントシステムや人事管理システムは、サービスによって利用できる機能や操作性などが大きく異なります。
ただ費用面だけでサービスを選定すると導入する目的にそぐわず、期待していた効果を得られません。
また、すでに導入しているシステムがある場合は連携機能にも目を向けながら、自社に最もあったサービスを選定しましょう。
タレントマネジメントシステムと人事管理システムの違いについて解説しました。
それぞれのシステムは似た機能もありますが、導入する目的が大きく異なります。
導入する目的が明確でないままシステムを選定すると、コストが無駄になる恐れがあります。
本記事を参考にそれぞれのシステムの特徴をよく理解し、自社にあったサービスを選定しましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら