この記事でわかること・結論
- 質問の質が1on1の成果を左右する|詰問ではなく支援の問いかけが部下の自己開示を促し、信頼関係を強固にします 。
- シーン別50の質問で全方位をカバー|業務からキャリア、メンタルまで網羅することで、部下の潜在的な課題を早期に発見できます 。
- 仕組み化されたアジェンダで形骸化防止|時間配分と「次回への約束」をセットにすることで、対話を具体的な行動変容に繋げます

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人材・組織この記事でわかること・結論
「1on1をしているのに、いつも業務の話だけで終わってしまう」「こちらが質問しても、部下の答えが浅く、本音が見えてこない」「毎回、何を聞けばいいのか迷ってしまう」――そんな悩みを抱える管理職の方は少なくありません。
1on1は、部下の成長支援や信頼関係づくりに欠かせない場である一方、“質問の仕方”ひとつで、ただの業務確認の時間にも、部下が本音を語る対話の場にもなります。
本記事では、実際の現場ですぐに使える質問例50選と、1on1をスムーズに進めるアジェンダテンプレート、そして質問を活かすための“聞き方のポイント”を、実務目線で整理していきます。
目次

1on1は、単なる業務報告の場ではありません。部下が抱える悩みや不安、成長意欲を引き出し、信頼関係を深めるための“対話の場”です。その中心にあるのが「質問」です。
上司がどんな質問をし、どのように受け止めるかで、部下が心を開くかどうかが大きく変わります。良い質問とは、部下の考えや感情を自然と引き出し、「自分のことを理解しようとしてくれている」と伝わる問いです。
特にオープンクエスチョンは、部下の言葉で状況を語ってもらえるため、表面的な情報では見えない、真意や本音を知るきっかけになります。
たとえば「なんでそんなミスをしたの?」という聞き方では、相手は防御的になり、本音は出てきません。また、「このやり方でいいよね?」といった答えを誘導する聞き方では、上司の意見に合わせた建前しか返ってこなくなります。質問の質が変わるだけで、1on1の深さも成果も大きく変わります。だからこそ、上司自身が「質問力」を磨き続けることが重要なのです。
部下が安心して本音を語れるようにするためには、「どんな質問を投げるか」を事前に準備しておくことが欠かせません。1on1の場面ごとに使える50個の質問例をご紹介します。
1on1は緊張しやすい場です。まずは軽い話題でリラックスできる雰囲気をつくりましょう。
いきなり仕事の話に入ると、相手が萎縮してしまいます。そのため、当たり障りのないプライベートの話題から始め、自分の話もするようにしましょう。話を弾ませることで、リラックスした状態で仕事の話にも入れます。
現状のパフォーマンスを高める対話に役立つ質問です。
評価を連想させる質問は、本音がみえなくなります。自分の仕事ぶりに上司は不満なのではないかと思うと、自分の評価が下がりかねない話が出てこなくなり、正確な情報が把握できなくなるからです。「できていない点」ではなく「できている点」から話すことで安心感と自己効力感が高まり、オープンな対話につながります。
部下がキャリアを主体的に描けるようサポートする質問です。
現在の仕事と切り離して未来の話をし、思考をしっかりと将来に向けさせることが大切です。そうしなければ素直な将来に向けての展望が出てきません。将来像を一緒に描く中で、支援の方向性も明確になります。
組織課題の多くは、人間関係から発生します。早期発見のための問いかけです。
悪口や陰口、告発を促しているわけではないことを、最初に丁寧に伝えておきましょう。あくまでチームをより良くすることを目的に「改善の芽」に焦点を当てて、質問します。
メンタル変化は目に見えない分、質問による把握が不可欠です。
モチベーションの低下やメンタル不調の話は、部下にとって非常に切り出しにくいテーマです。それがマイナス評価につながると感じた瞬間、本音はでなくなります。事前に、状態が悪いと感じた場合は、安心させることを優先して対話を設計します。
上司自身の成長機会として受け止める姿勢が求められます。
仮にこちらの落ち度を指摘されたとしても、たとえそこに誤解があったとしても、最初から否定や反論をせず、まず受け止める姿勢を示します。言ってくれた「勇気」への感謝を必ず伝えるとともに、そこで信頼関係を構築してからこちらからの主張に入ってください。
どんな質問を投げかけるかで、1on1の質は大きく変わります。特に重要なのは、良い質問は部下を責めるのではなく、部下を助けるためのものという視点です。この50の質問は、すべて「部下が自分の言葉で語れること」を目的として設計しています。シーン別に使い分けることで、1on1は業務改善の場にとどまらず、信頼を育て、組織を強くする場へ進化していきます。

せっかく質問を準備しても、聞き方や聴くスタンスを間違えると相手の本音は引き出せません。1on1の対話を深めるために押さえておきたい5つのポイントをご紹介します。
1. オープンクエスチョンを基本にする
「はい/いいえ」で終わる質問ではなく、「どう感じた?」「なぜそう思った?」と自由に話してもらえる問いを意識します。部下が自分の言葉で語ることで、状況の背景や価値観まで理解できます。
2. 沈黙を恐れない
沈黙は悪いものではありません。考えている証拠です。つい埋めたくなりますが、数秒待つだけでも部下は深く考え、本音に近い言葉を紡ぎ出すようになります。「急がなくていいよ」と一言添えるのも効果的です。
3. 深掘りする(なぜ?を3回)
最初の答えは、表面的なものになりがちです。「なぜ?」を繰り返すことで原因や価値観まで届きます。ただし、詰問のように見えないよう、相手のペースに合わせながら優しく聞き進めましょう。
4. 相手の言葉を繰り返す
「復唱」は、共感と確認の両方に役立つコミュニケーション技法です。たとえば「忙しいんですよ」 → 「忙しいんだね、具体的にどのあたりが負担?」と繋げることで、自然と会話が深くなり、相手も「理解してもらえた」と感じます。
5. 共感を示す
否定や評価を急ぐと、一気に心が閉じてしまいます。「それは大変だったね」「そう思うのは自然だよ」と気持ちを受け止める姿勢が、安心して話せる土台になります。
私自身、1on1である部下と向き合った際、業務改善ばかりを問い続けていた時期がありました。「なぜできなかった?」と原因を追及する質問が多く、結果として相手は萎縮し、会話は短く、改善は進みませんでした。しかし、ある時少しだけ質問を変えました。
「最近、どんな瞬間にモチベーションが上がる?」
ただこれだけの問いで、部下の表情が変わり、普段聞けない本音が出てきました。できない理由を探す意識から、自分が輝ける状況を探す意識に変わった瞬間でした。その言葉をきっかけに、面談ではプラスに向けての会話が増え、本人は成果を伸ばし、自信を取り戻していきました。質問は、評価ではなく支援のためのもの。問いが変われば、相手の可能性が花開くということです。

1on1を継続的に効果ある場にするためには、毎回の対話を「なんとなく」で終わらせず、振り返りができる形で記録していくことが重要です。以下のテンプレートは、多くの企業で活用できる汎用的な構成です。
時間は目安であり、状況に応じて柔軟に調整できます。大切なのは、毎回必ず「次回までの約束」を残すことです。行動が変わるからこそ、1on1は個人の成長と組織の成果を同時に動かす取り組みになります。また、話した内容を議事録にして送り、返信をもらうことで、1on1がどうだったのかを互いに把握できます。テンプレートを活用し、継続的な対話に役立ててください。
1on1は、部下の成長を支援するための「対話のプロセス」です。準備した質問を投げかけるだけではなく、相手の気持ちを丁寧に受け止め、共に前へ進むための時間にすることが求められます。
本記事で紹介した質問例やアジェンダ、そして聞き方のポイントを押さえることで、表面的なやり取りではなく、信頼関係と行動変化につながる対話を実現できます。大切なのは、1on1を形骸化させないことです。継続的な支援と振り返りを積み重ねることで、部下の自律性が高まり、組織全体のパフォーマンス向上へとつながります。
質問力を磨き、1on1を「人が育つ仕組み」へと進化させていきましょう。

慶應義塾大学経済学部経済学科卒業後、シティバンク銀行(現SMBC信託銀行)入行。
2007年、株式会社エッジコネクション創業。営業支援業を軸に、人事・財務課題にも対応するコンサルティング企業として展開。
経営危機を乗り越えた経験を生かし、コンサルティング業や、ラジオ・YouTube・コラムなど、各種メディアで発信中。
これまでに1700社以上を支援し、継続顧客割合は75%台。
地元宮崎でも地域振興に尽力し、延岡市立地促進コーディネーターや延岡デジタルクロス協議会人材支援委員長を務める。
2024年7月には「24歳での創業から19期 8期連続増収 13期連続黒字を達成した黒字持続化経営の仕組み」を出版。