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法人税の控除が受けられる雇用促進税制とは?

人事労務管理

地方創生の1つである地方拠点強化税制は、本社機能を東京23区から地方に移転する場合や、本社機能を地方で拡充する等の場合に、ある要件を満たすことで支援措置を受けることができる制度です。

その措置には主に設備投資減税(オフィス減税)・雇用促進税制があり、法人税等の税額控除を受けることができます。今回は、新たに従業員を雇い入れた場合等に法人税の減税措置を受けることができる「雇用促進税制」について説明します。

雇用促進税制とはどのようなものか

「地方拠点強化税制における雇用促進税制」とは、東京23区から本社機能を地方に移転(移転型事業)したり、地方で本社機能を拡充(拡充型事業)する場合に、一定の要件を満たすことで法人税(個人事業主の場合は所得税)の税額控除を受けられる制度のことをいいます。
控除を受けるためには、都道府県知事より「地方活力向上地域等特定業務施設整備計画」(以下「整備計画」といいます)の認定を地域再生法の規定にもとづいて受け、本社機能を有する施設の雇用者数を増加させることが必要です。

移転型事業は、東京に本社を置く企業が、本社機能を有する特定業務施設(事務所、研究所、研修所など)を首都圏の一部地域以外の地域に移転することで適用可能となります。

そして、拡充型事業は、地方に本社を置く企業が当該本社を増築する場合や、東京23区以外の地方都市に本社を置く企業が別の地方都市に本社の一部を移転する場合、そして地方都市で新たに起業するため、本社を整備する場合に適用可能となります。

整備計画から確定申告までの流れ

税制の恩恵を受けるためには、第一段階として都道府県知事から整備計画の認定を受ける必要があります。そして、整備計画認定後の適用年度開始後の2カ月以内に主たる事業所を管轄するハローワークに「雇用促進計画」を提出しましょう。この段階では、ハローワークは雇用促進計画の内容についての精査をしません。あくまでも受付をしてもらうだけですので、適用年度が終了するまでしっかり保管しておくようにしましょう。

適用年度が終了したら、2カ月以内にハローワークに対して、雇用促進計画の達成状況の確認を求めてください。ハローワークは、書類を預かった後2週間程度で内容を精査します。

確認が完了すると押印して返送されるため、その写しを確定申告書に添付することで、税額控除の適用が可能となります。確認してもらうためには、一定の期間が必要になります。確定申告時期に間に合わせるように早めに対応するようにしましょう。

適用要件と優遇措置の内容について

税制優遇措置を受けるためには、いくつかの要件をクリアする必要があります。まず、基本部分(移転型、拡充型に共通する要件)は次の要件を満たす必要があります。

<基本部分(移転型・拡充型共通の要件)>

  1. 青色申告書を提出している事業主
  2. 当該適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと
  3. 次のいずれかを満たすこと
    • 当該適用年度において、特定業務施設の雇用者増加数(有期雇用又はパートタイムの新規雇用者を除く)が2人以上であること
    • 当該適用年度より前のいずれかの適用年度においてaを満たし、かつ、当該適用年度より前のすべての適用年度において、法人全体の雇用者増加数及び特定業務施設の雇用者増加数が、ともに0以上であること
  4. 適用年度における法人全体の給与等支給額が、比較給与等支給額以上であること
  5. 風俗営業等を営む事業主ではないこと
  6. 当該適用年度において、オフィス減税の適用を受けていないこと

上記要件を満たすと、次の合計額を控除することができます。

<適用できる控除額>

  • 特定業務施設における無期雇用かつフルタイムの要件を満たす新規雇用者:1人あたり60万円
  • 特定業務施設における新規雇用者数から上記雇用者数を控除した数(地方事業所の新規雇用者数の4割が上限):1人あたり50万円
  • 特定業務施設における地方の事業所における雇用者増加数から新規雇用者数を控除した人数:1人あたり50万円

また、移転型事業においては、上記の要件に加えて、次の要件をクリアすることで、最大3年間さらに30万円が上乗せされ、本社機能を有する施設の雇用者増加数1人当たり最大90万円(1年目の拡充型最大60万円+1年目の移転型30万円)、1人当たり3年間で上限150万円(1年目の最大90万円+2年目の移転型30万円+3年目の移転型30万円)の優遇が実現します。

<移転型の優遇要件>

  1. 当該適用年度又はそれ以前の適用年度のいずれかにおいて、次のaとbのいずれかを満たしていること
    • 基本部分の税制優遇措置の適用を受けていること
    • オフィス減税の適用を受けていないと仮定すれば、基本部分の税制優遇措置の適用があると認められること
  2. 当該適用年度及びそれ以前のすべての適用年度において、法人全体の雇用者増加数及び特定業務施設の雇用者増加数が、ともに0以上であること

雇用促進税制に関する注意点とは

雇用促進税制を活用する場合には、最新の要件を確認する必要があります。平成30年度は、29年度に比べると、要件が緩和されているケースが多いです。必要だった要件が廃止・改正されていたり、新たな要件が追加されていたりすることがあるため、しっかりと確認しておく必要があります。

また、すべての地域で制度を適用できるわけではありません。適用できない地域もあるため注意が必要です。そして、最も注意しなければならないのは、まず都道府県知事による整備計画の認定を受けることです。その後、ハローワークへ雇用促進計画を作成、提出して雇用促進税制の適用を受けることになります。

なお、整備計画の認定を受けるまでには、概ね1カ月以上のスケジュールが必要となります。確定申告に間に合わないと意味がありませんので、余裕を持ったスケジュールで都道府県に相談してください。

まとめ

本社機能を移転させたり地方で拡充することで、一定の税制優遇を受けることができます。そのなかでも、雇用促進税制は、雇用者を獲得することで適用することができるため、比較的狙いやすい制度といえるでしょう。

ただし、整備計画だけではなく雇用促進計画の確認等が必要です、担当者が一人で行うのは容易ではありません。専門家である社会保険労務士に相談をして、税制優遇を狙ってみてはいかがでしょうか。

萩原 修|萩原労務管理事務所

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