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エンパワーメント(empowerment)とは、権限をもたせること、自信を与えること、不利な状況の変革を意味する英単語です。ビジネス場面では「権限委譲」を意味します。この記事ではビジネスにおけるエンパワーメントについて解説します。
この記事でわかること
目次
エンパワーメントとは、現場の従業員に権限を委譲することで、従業員の自律性を促進し、能力やパフォーマンスを最大限引き出すことです。部下が上司からの抑圧なく判断・行動することを意味します。エンパワーメント推進の結果、従業員一人ひとりの重要性が認識され、自発的な成長が期待されます。
エンパワーメントが注目されている理由には、現代のビジネスマンに求められていることの変化にあります。
技術革新の発展によりプロダクトライフサイクルが早期化し、時代の流れに沿った迅速な意思決定が必要です。また、昨今は転職が珍しくない時代であり、在籍年次を基準とした管理職の選出が困難となりました。
そこで従業員にエンパワーメントをおこない、経営判断基準や対応など、経営陣や管理職に必要な要素を短期間で身につける人材育成の必要性が高まりました。エンパワーメントを通じて、中途採用した人材の早期活躍を促進しながら、現場になじみやすい効果が期待されています。
エンパワーメントは従業員の育成だけでなく、組織として企業活動を加速させる効果があります。一方で効果自体がデメリットにもなり得るため、定期的に見直しと対策が必要です。
メリット |
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デメリット |
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エンパワーメントの目的は従業員の育成加速と業務パフォーマンス、組織力向上です。権限委譲により従業員が委縮したり、組織機能が損なわれたりしては意味がありません。権限委譲後の従業員の判断基準を定め、上司に相談できる環境整備が有効です。
エンパワーメント導入の際は、下記のポイントを抑えることで迅速な運用につながります。
従業員の権限発揮により自発性が促されます。従業員は実践から学びパフォーマンスを高め、上司はその過程を見守ります。
権限委譲の目的と意図を事前に伝えることで、従業員の行動が明確化します。
権限委譲した後も責任は上司にあるため、従業員への丸投げはできません。従業員からの報連相を受けて全体の業務を把握しつつ、その決定を尊重します。
強みを生かすことで成功体験が積みやすく、その自信から養われた積極性から課題や弱点を改善するという好循環を生み出します。
エンパワーメントは、基本の意味から派生し、業種や分野ごとに解釈や意味が異なります。
看護・介護 | 患者が受け身の治療ではなく、主体的に治療に参加すること。患者エンパワーメントとも呼ばれる。現状や治療内容について患者とコミュニケーションを取り、治療内容や量に焦点を当てて進める。 |
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障害者福祉 | 障害者が本来もつ能力を発揮するために、障害者本人が主体的に意思決定する土壌づくりをおこなうこと。障害者を守るべき存在として扱うことで、結果的に能力を発揮できず、自立をさまたげているのではないかという問題提起がされたことが発端。 |
株式会社NCコンサルティング 代表取締役社長 | 大橋 高広
2015年に株式会社NCコンサルティングを設立し、現在は、人事コンサルタント・ビジネス作家として活動中。
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