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運用に注意が必要な「事業場外のみなし労働時間制」とは

「みなし労働時間制」をご存じでしょうか?「みなし労働時間制」とは、通常の労働時間を把握する手段が使いづらい、なじまないときに一定の労働時間を働いたとみなされる制度です。

この「みなし労働時間制」ですが、運用に注意が必要で、近年は裁判例等で否認される事例も出ています。ここでは「事業場外の労働」に関するみなし労働時間制について、考え方や手続き及び運用の際に注意する点を含めて解説していきます。

「事業場外のみなし労働制」とは

労働者が事業場外で業務にあたっている場合で、さらに労働時間の計算が難しい場合、実働時間ではなく、みなし時間によって労働時間を計算できる場合があります。基本的に、みなし時間の対象になるのは所定の労働時間が原則となりますが、通常どおりの業務にあたっていた場合で、所定の時間を超えて労働を行うことがあるときは、通常必要である時間がみなし時間とされる場合があります。

また、みなし労働制の該当にならない場合も定められており、

  • 何人かのグループで事業場外労働に従事する場合、そのメンバーのなかに労働時間の管理をする者がいる場合
  • 携帯電話等によって随時使用者の指示を受けながら事業場外で労働している場合
  • 訪問先、帰社時刻等当日の業務の具体的指示を受けた後、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合

上記が該当となりますので、その見極めには注意が必要です。

事業場外のみなし労働時間制を適用するための手続き

前述したように、通常の業務として必要な場合には、所定労働時間を超えての労働時間をみなし時間として定めることができます。手続きとしては、その内容についての労使協定を様式第12号により、所轄労働基準監督署長へ届け出なければなりません。

一方で、この協定で定める事業場外のみなし時間が所定労働時間である8時間以下の場合は、届出が不要となりますので、この部分は間違いのないように気をつけましょう。労働時間の算出方法は、労働基準法第4章の規定の適用における労働時間の算定に適用されます。次に挙げる3つの方法が算定方法となりますので、押さえておきましょう。

(1)所定労働時間(就業規則等で定められた始業時刻から、終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間のことで、労働義務のある時間を指します)
(2)通常必要時間(事業場外の業務を遂行するために、通常所定労働時間を超えて労働することが必要である場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間を指します)
(3)上記(2)の場合であって、労使で協定したとき

上記(2)と(3)のときは、事業場外労働の実際に必要とされる時間を平均した時間となります。加えて、労働時間の一部を事業場内で労働した場合には、その時間については別途把握しなければならず、みなすことはできません。

したがって、(2)と(3)のときは、労働時間の一部について事業場外で業務に従事した日における労働時間は、別途把握した事業場内における時間とみなし労働時間制により算定される事業場外で、業務に従事した時間を合計した時間となります。みなし時間の算出は、業務の実態を踏まえて協議したうえで決めるものです。突発的な業務ではなく、通常必要とされる業務に適用されるものであることも留意しましょう。

事業内での作業と事業外での労働が組み合わせについて

それでは、事業内での作業と事業外での労働が組み合わさった場合は、どのような考え方になるのでしょうか?

労働時間の算定が困難な事業場外での業務を行うにあたって、必要な時間を通常必要時間とした場合、所定労働時間を超えずに一部を事業所内での作業とした場合は、所定労働時間を労働時間として算出します。

一方で、所定労働時間を超えて事業所内と事業所外での作業が行われた場合には、通常必要時間に事業所内での労働時間が付加される形になりますので、この点はきちんと算出ができるように覚えておくとよいですね。

事業場外のみなし労働時間制が否認!運用上の注意

近年、裁判で事業場外のみなし労働時間制が否認される例も多く出ています。

配達業務についての例ですが、従事する職員を含めて労働時間はタイムカードで管理をしているケースでは、労働時間を算定しがたい場合に当たりません。前述したように、労働時間を管理するものが存在する場合、みなし労働時間制を採用することはできないのです。

また、その業務内容によっても否認されることがあります。営業での訪問の際に、訪問先での退出時刻が管理されている場合、みなし労働時間制が否認されるというケースもありました。営業活動においても管理者が存在する場合は、みなし労働時間制とすることができないパターンとなりますので注意しましょう。

まとめ

事業場外でのみなし労働時間制は、該当となるパターンが定められている労働形態です。内容をよく確認することや、過去の判例などから具体的な労働条件を明示しておくことも事業者の務めとなります。

特に注意が必要なのが、事業場外と事業場内での作業が混在する場合です。通常必要時間があまりにも所定労働時間と乖離している場合、労働環境を整備したとはいえないケースもあります。事業主は事業の実態を正しく把握するとともに、労働者にとって働きやすい労働形態を考えることが重要です。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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