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赴任とは?転勤や出向との違いや、日本における単身赴任制度の問題点を解説

赴任とは?転勤や出向との違いや、日本における単身赴任制度の問題点を解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 赴任とは、所属している企業からの任命などで、今までとは違い勤務地へ出向くこと。
  • 似た言葉である「転勤」は転居を伴うほどの人事異動などで他勤務地へいくこと。「出向」は関連企業で一定期間働くために出向くこと
  • 昨今の日本では赴任や転勤の廃止を検討している企業も多くある

会社の方針によって新しい勤務地へ向かい働くことを「赴任」といいます。単身赴任や海外赴任などの言葉を聞いたことがある方も多いでしょう。

ほとんどの会社では就業規則に赴任についての記載がされているため、原則として赴任を命じられた場合は労働者は断ることができません。また、企業側の担当者であれば似たような「転勤・異動・出向」などについて理解しておく必要があります。

そこで本記事では赴任について、言葉の意味や転勤・出向などとの違い、日本での転勤・赴任制度の背景や昨今の状況などを解説していきます。

赴任(ふにん)とは

赴任(ふにん)とは

赴任とは、所属している会社からの任命などで今までと異なる勤務地で働くためにその場所へ向かうことを言います。

goo辞書によれば、赴任は「任務のために居住する場所である任地へおもむくこと」とされています。つまり赴任は、ただ移動するだけではなくはっきりとした目的があってその場所へ行くという意味になります。

赴任の利用例
  • 違う支店へ赴任する
  • 家族とは離れて、他の県のオフィスに単身赴任する
  • 海外支社へ働くために数年間は海外赴任する

また、赴任の「赴く(おもむく)」には「従う。同意する。」という意味もあります。まとめると赴任は、会社の方針に沿って業務を遂行するために新しい勤務地へ出向くという際に主に使用される言葉です。

ですが、会社が決めたことで新しい勤務地へ行くことは「転勤」や「出向」なども聞いたことがあると思います。それぞれ赴任とはどのように違いがあるのでしょうか。

赴任と転勤の違い

赴任と似ている言葉に「転勤」がありどちらも勤務地が変わることを意味していますが、その違いは「転居を伴うような部署異動の有無」です。

赴任はこれまでと同じ所属部署や業務のまま他勤務地に行くことを指します。対して転勤とは、所属部署が変更になるうえで転居が必要な距離にある他勤務地に行くケースで用いられます。

また、オフィス内での部署移動などは赴任でも転勤でもなく「異動」という言葉が使われます。企業では転勤は主に、全社もしくはグループ全体でのバランスを保つために決められることが多いです。

赴任と出向の違い

出向とは、自身が所属する会社と関連している子会社やグループ内企業へ異動することを指します。労使関係は自身が所属する会社との間で保持したまま、関連企業へ出向くことになり、主に教育目的やノウハウ蓄積のためにおこなわれます。

また、出向期間についてはあらかじめ決められることが多く、その期間が満了になれば出向前に所属していた会社そして部署に戻ります。雇用関係に変化はなく働く場所だけが一時的に変わるため「在籍出向」などとも呼ばれます。

この在籍出向は、特にコロナ禍ではよくニュースなどでも見受けられ、経営が厳しい状況になっていた企業が実施することが多くありました。

日本の転勤制度や単身赴任率について

日本の転勤制度や単身赴任率について

会社の一存で転勤や赴任をする、ましては家庭にまで影響している状況というのは日本特有の制度であり世界的には珍しいとされています。

ですが昨今の日本では、転勤や単身赴任・海外赴任などは当たり前の認識です。子供の頃に親の影響で住む場所を転々としていた方もいるでしょう。ここでは日本の転勤制度や単身赴任など基礎知識として、背景や現状を解説します。

日本の転勤制度

日本の転勤制度は、高度経済成長期に定着したと言われています。また、企業が労働者を生涯雇い続けるという日本の慣行である「終身雇用制度」の影響もあります。

POINT
事業拡大や人材育成として転勤・赴任制度

企業は雇用した労働者を簡単に解雇することができないことから、事業拡大などの場合は現状の人員で調整することが一般的となっていました。その際に、たとえば本社から他県の支社へ転勤を命じるなどをして対応する企業が見受けられ定着していきます。さらに当時は転勤先での経験を評価する方針である企業も多く、出世や昇進の機会として転勤・赴任制度が導入されていました。

また、転勤を経験することで出世に近づくという認識も強くあったため、広く企業には導入されていった背景があります。さらに就業規則で明記している以上、労働者は企業からの転勤命令を断ることができません。しかし平成から令和へと、転勤制度に対する考え方も変化してきました。

日本の単身赴任率から見た現状

アート引越センター株式会社が運営する0123引越文化研究所が2022年に実施した「ビジネスパーソンに聞いた転勤実態アンケート2022」では、単身赴任経験者などの数値について調査されています。

上記の調査では、同社が1998年におこなった調査と比較しているため、日本の単身赴任の見解はどのように変化していったのかを見ていきましょう。

POINT
1998年と比較して単身赴任の割合が増加している

同調査内でおこなった「転勤の際、家族そろって転居したか、単身赴任をしたか」という質問に対して、2022年では男女全体では既婚者の50.0%が「単身赴任」と回答した。そのなかでも男性は55.4%でした。対して1998年の調査では男性は15.1%であったため、単身赴任を選択する人が増えていることがわかります。

現状、今でも転勤・赴任制度を採用している企業はまだまだありますが、問題点もあります。たとえば、転勤によって家族ごと転居をする必要がある場合などは手続きや新居探しなどとても大変です。子供がいるのであれば学校を転校しなければなりません。

また、単身赴任などによってシングルマザーになってしまう女性も多くその負担や、単身赴任がきっかけで起こる離婚問題などが課題とされています。

最近では転勤・赴任を廃止している企業がある

コロナ禍では、会社に出社しないで業務を遂行する「テレワーク」をほとんどの企業が導入していました。リモート会議なども記憶に新しい単話です。徐々に出勤することも解禁されてきましたが、引き続きテレワークなどを導入し転勤・赴任制度の廃止を進めている企業もあります。

転勤・赴任制度の廃止を
進めている企業

上記で例に挙げた企業は、労働者が望まない転勤・赴任を廃止するような流れを拡大しています。たとえばNTTグループは、2022年7月より全国でどこでもテレワークができる制度を導入しています。

また、AIG損害保険はコロナ禍になる前である2019年の段階で「転勤希望制度」を導入し、労働者が望まない転勤制度を廃止しています。さらに転勤・非転勤での報酬差額をなくすなども実施しています。

上記のなかでは、転勤・赴任制度の廃止を促すような制度を導入することで求人率アップや外部評価向上などが見受けられているそうです。

単身赴任や海外赴任の際は企業がサポートしましょう

単身赴任や海外赴任の際は企業がサポートしましょう

従業員が単身赴任や海外赴任することが決定したら、やるべきことをしっかりとサポートしてあげましょう。また、単身赴任手当や帰省旅費負担など再度確認しておくことも大切です。

海外赴任の場合は、物価差を考慮した報酬の設定や社会保険関連で必要な手続きがあるため、迅速に対応してあげるとスムーズに進められます。

赴任に関するよくある質問

赴任に関するよくある質問

赴任とはどういう意味ですか?
「赴任」とは労働者が所属企業からの任命を受けて、新しい勤務地へむかうことを言います。実際に使われる例では「単身赴任」や「海外赴任」などがあり、同企業の別支店などにいく際によく用いられる言葉です。
赴任と転勤の違いを教えてください
転勤とは人事異動などで部署変更を任命されて他勤務地へ行くときなど、転居を伴うような場合に用いられる言葉です。赴任と違い、そもそも部署が変更になるため新しい場所では長期的な勤務が予定されることが多いです。
日本の転勤・赴任制度の問題点はなんですか?
転勤や赴任による家庭への負担や、離婚率が問題点とされています。どちらも新しい場所での居住を探す手間や、子供がいる場合は転校手続きをする手間などがデメリットとなり問題とされています。

まとめ

赴任とは「会社に任命されて他勤務地へ赴くこと」です。人事異動などで部署移動があるわけではなく、他県や海外などの支店で一定期間働くなどの際に赴任という言葉が用いられます。

一方転勤とは、部署移動などによって新しい勤務地で働くことであり長期的な勤務が予定されるため転居や家族を帯同するケースも多いです。この赴任や転勤制度は世界的に見て日本独自の慣行とされています。

しかし、赴任によるシングルマザーへの影響など問題点もあります。そのため、テレワークなど導入して転勤・赴任制度を廃止する企業も増えました。企業としては、昨今の日本と自社の状況をしっかり考慮して転勤や赴任について決める必要があります。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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