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アルバイト・パートタイムの休業補償とは?対象者や支給要件、支給金額から注意点までご紹介

正社員、アルバイト・パートタイムといった雇用形態にかかわらず、従業員の安全対策の実施は企業の義務です。そのため、アルバイト・パートタイムの従業員に業務災害が発生した際は、労働基準法上の休業補償を行わなければいけません。

今回はアルバイト・パートタイムの休業補償の支給要件、支給金額の算出方法、注意点を中心にご紹介します。

アルバイト・パートタイムの休業補償

休業補償は正社員だけでなく、アルバイト・パートタイムなどすべての従業員に適用されます。休業補償の定義や支給要件を知り、理解を深めましょう。

休業補償とは

休業補償とは、業務中の交通事故や病気により業務遂行が困難となった結果、賃金が支給されない(減少した)労働者に労災保険から支払われる補償です。休業補償には自己都合、会社都合、そして天災や事故といったさまざまな状況で休業を余儀なくされた際に補償される制度です。

休業補償の支給対象者

企業には従業員を雇用するにあたり、労働保険(労災保険、雇用保険)の加入が義務づけられています。労働保険は正社員だけでなく、労働時間が短いアルバイト・パートタイムなどの非正規雇用者も加入させなければならず、通勤災害や業務災害で負傷した際は、労災保険給付金が受けられます。
また、保険の給付内容も、正規社員・非正規社員に違いはありません。

万が一、労働保険に加入していない企業で働いている場合、従業員は労働基準監督署に労災申請を行うことで、労災保険給付金を受けることができます。

休業補償(休業給付)の支給要件

休業補償の受給には、以下の条件を満たす必要があります。

  • 業務上の事由、または通勤上のけがや病気による療養であること
  • 療養に伴い、従業員が労働に参加できないこと
  • 労働による賃金を受け取っていないこと

また、アルバイト・パートタイムの場合、勤務日数にかかわらず、土日祝日、休みの日も受給が可能です。

また、既に退職した後でも、在職中の業務災害や通勤災害に伴うけがや病気による療養のためであれば、上位の条件を満たすことで、治療が完了するまで受給できます。

療養開始後1年6カ月経過し、その負傷または疾病が完治しておらず、傷病等級表の傷病等級に該当する程度の障害がある場合、傷病(補償)年金に切り替わります。

休業(補償)給付の支給金額

休業補償の支給額は給付基礎日額(労働基準法上の平均賃金相当額)を基に算出されます。

休業補償の給付額は給付基礎日額の60%です。また、被災労働者を支援する目的で、休業特別支給金として給付基礎日額の20%が別途給付されます。そのため、休業補償の最終給付額は給付基礎日額の80%となります。

給付基礎日額(平均賃金)とは

給付基礎日額(平均賃金)とは、通常の3カ月間の暦日数による計算と、日給・時給・出来高給の場合における最低保障額の計算の2種類があります。

アルバイト・パートタイム従業員の場合、勤務日数が少ないと平均賃金の最低保障額(平均賃金の金額が下回ってはいけないとされる金額)の方が高くなります。

時給1,000円、1週間2日、1日4時間勤務のシフト制
※1カ月で9日勤務、3カ月92日のうち、実労働日数27日

上記のアルバイト・パートタイム従業員の平均賃金と最低保障額は以下となります。

【平均賃金】
3カ月間の賃金総額(108,000円)÷3カ月間の暦日数(92日)=1,173円
※銭未満切り捨て

【最低保障額】
3カ月間の賃金総額(108,000円)÷3カ月間の実労働日数(27日)×0.6=2,400円

給付基礎日額の最低保障額

給付基礎日額は、基本的に平均賃金に相当する金額になりますが、被災時の事情や労働条件など、その他の事情によっては給付基礎日額が低くなってしまうケースが想定されます。

そのため、給付基礎日額には最低保障額(自動変更対象額)が設定されており、アルバイト・パートタイム従業員の場合、既定の算出方法で算定された平均賃金の金額や平均賃金の最低保障額よりも高くなることがあります。

計算例では、平均賃金の最低保障額が2,400円となっていますが、給付基礎日額の最低保障額(平成30年8月1日から令和元年7月31日までの金額)は3,940円となるため、平均賃金よりも高くなります。

なお、療養のために休業している間、第3日目までは休業補償は発生しません。しかし、第4日目以降はパートタイムやアルバイトであっても、休みに関係なく休業していた日数すべてが休業補償の対象となります。

業務災害によって従業員の休業が余儀なくされた場合、第3日目までは労働基準法に基づく休業補償(1日あたり平均賃金の60%)が義務づけられています。

休業補償の注意点

アルバイト・パートタイムなど多様な雇用形態の労働者を有する企業は、休業補償をする際に気をつけたい注意点がいくつか存在します。

派遣のアルバイト・パートタイムの休業補償

派遣されたアルバイト・パートタイムが労働災害を起こした場合、休業補償は派遣元の企業が休業補償の申請を行います。

休業補償の支給制限

万が一、労働者が休業補償につながるケガや病気の原因を故意に起こした場合、休業補償は支給されません。また、故意に事故を起こそうとした際に負った病気やケガ、死亡事故は給付金額が30%減額されます。

また、休業中に正当な理由なく、医師の指示に従わなかったため、病気やケガが悪化・療法の長期化につながった場合、休業補償1件あたり、10日分の休業補償額が減額されます。

有給休暇との併用不可

一定の条件を満たす場合、アルバイト・パートタイムへの有給休暇付与が労働基準法で定められています。しかし、休業補償の受給期間中の有給休暇取得は認められていません。休業補償の代わりに、有給休暇を消化することは可能ですので、休業補償の対象となる労働者の希望を効いて、適切に対応しましょう。

労働者の意思に反して、休業補償を申請せずに有給休暇を代用することは、労災隠しと認定され、犯罪行為となります。

アルバイト・パートタイムの労災隠しは犯罪

深刻な人手不足により、高齢者や女性の労働参加が促進されており、アルバイト・パートタイムは欠かせない労働形態でもあります。しかし、近年、女性・高齢者を対象としたアルバイト・パートタイムを「安い労働力」として、業務上の病気やケガをした際に適切な休業補償をせず、退職を強要する事例が増えています。
労働災害の隠蔽や所轄の労働基準監督署への「労働死傷病報告書」の未提出は、厳重に罰せられます。

労災隠しを行った事業所には、労働安全衛生法違反で50万円以下の罰金が科せれます。

また、企業価値の低下、イメージダウンにもつながるため、アルバイト・パートタイムが業務上の理由で休業補償を行わなければいけない場合、適切な対応を取らなければいけません。

まとめ

今回はアルバイトやパートタイム従業員の労災と休業補償について紹介してきました。
非正規雇用者であっても、労災保険の給付は受けることができます。そのためにも企業は、労働保険の手続きをしっかりと行う必要があることを覚えておきましょう。

企業によってはパートタイムやアルバイトの従業員の比率が高いこともあるかと思います。
貴重な戦力である従業員が働きやすい環境を整えるようにしてください。

加治 直樹|かじ社会保険労務士事務所

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