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「IT健保」加入のメリットと加入基準について詳しく解説

投稿日:

社会保険

「IT健保」加入のメリットと加入基準について詳しく解説

関東ITソフトウエア健康保険組合(IT健保)をご存じでしょうか?社団法人コンピュータソフトウェア協会を母体とし、昭和61年4月に設立された健康保険組合です。主にソフトウエアやIT業界の会社が多数加入しており、全国有数の規模を誇る健康組合となっています。

今回は、IT健保の概要や加入するメリット、加入基準、注意点などについて徹底解説します。

関東ITソフトウェア健康保険組合とは?

「関東ITソフトウェア健康組合(以下:「IT健保」)」は、「社団法人コンピュータソフトウェア協会」を母体とした総合型健康保険組合です。ソフトウェア産業の飛躍的な発展にともない、加入事業所や加入者を伸ばしてきました。平成30年9月現在、加入事業所が7,000以上、被保険者数は48万人になっています。

設立以来、協会けんぽ(※1)のかわりに、組合管掌健康保険(※2)として健康保険関連業務全般を行ってきました。赤字となっている健康保険組合も多い中、継続的な運営に成功していることで知られています。

また、規模の大きさを生かして低い保険料率を実現し、福利厚生も充実しています。その点でも注目が集まっている健康保険組合だと言えるでしょう。

※注1 全国健康保険協会(中小企業の従業員が加入)
※注2 大企業や、同業者による組合が運営する健康保険組合

保険料が安い!IT健保の加入メリット

IT健保に加入する最大のメリットは、協会けんぽよりも安い保険料率を設定していることです。協会けんぽは都道府県ごとに一律で保険料率が設定されていますが、健康保険組合であるITSは、独自で保険料率を低く設定することが可能なのです。

IT健保と協会けんぽ(都道府県平均)の保険料率の比較

一般保険料率
  • IT健保 8.50%
  • 協会けんぽ 10.00%
介護保険料率
  • IT健保 1.60%
  • 協会けんぽ 1.57%

総合的に見て、IT健保の方が低い保険料率となっています。

また、上記の保険料率をもとに、平均の標準報酬金額38万円、賞与等が年間72万円の被保険者20人分の年額保険料の総額を算出すると、協会けんぽが10,640,000円、IT健保が90,444,000 円。その差額は1,596,000円となります。

このように、IT健保は協会けんぽに比べて保険料の負担がかなり軽減されます。

法律で定められた基準より手厚い付加金とは

病気やケガ、出産、死亡に際した場合、「健康保険」では一定の給付が行われます。
その給付内容は、法律で定められている給付(法定給付)と各健康保険組合が独自で行う給付(付加給付)がありますが、その付加給付が付加金にあたります。

付加金は以下のケースで給付されます。

付加金が給付されるケース

※(カッコ内は付加金の名称)

  1. 業務以外での病気やケガで医療機関に入院、通院した場合
    ・一部負担還元金/家族療養費付加金:高額医療費を除く自己負担額から2万円控除
  2. 高額の医療費を払った場合
    ・一部負担還元金/家族療養費付加金/合算高額療養費付加金:1と同じ
  3. 治療用装具等費用を立て替えた場合
    ・一部負担還元金/家族療養費付加金:1と同じ
  4. 脳卒中、難病、重度障害、末期ガンなどで在宅看護が必要な場合
    ・訪問看護療養費付加金/家族訪問看護療養費付加金:1と同じ
  5. 妊娠4カ月(85日)以上で出産したとき
    ・ 出産育児付加金/家族出産育児付加金:1児につき定額9万円
  6. 死亡した場合
    ・埋葬付加金(被保険者):定額15万円または 15万円+埋葬費5万円の範囲内で実費
    ・家族埋葬付加金:定額15万円

IT健保は健康保険組合にあたるので、上記の付加金が給付されます。一方、協会けんぽは健康保険組合ではないため、付加金の給付がありません。そこが、協会けんぽにはないITSのメリットです。

手厚い保健事業、健診センターと保養所

実は、IT健保に加入するメリットはもうひとつあります。それが、2つの手厚い保険事業です。

IT健保の保険事業の概要

1.直営検診センターや全国の契約検診機関で健康診断を受けられる

IT健保は、東京都の山王と大久保に直営検診センターを設置しており、健康診断や健康指導を受けることができます。これらの直営検診センターには飲食施設が併設されており、格安で料理を提供しています。また、全国各地に契約検診機関があり、被保険者やその家族は他県でも健康診断を受けられるようになっています。

2.保養所や契約保養施設も充実している

箱根、館山、湯沢に4つの直営保養施設があるほか、他健保提携保養施設、IT健保と提携する会員制宿泊施設やオートキャンプ場が格安で利用できます。また、利用補助により、全国各地にある宿泊施設も割引価格で利用できます。

IT健保の法人加入基準と加入までの流れ

IT健保の法人加入基準は、以下の10点です。

法人加入基準

  1. 登記上の目的欄に主要業務として以下の記載がある
    ・パッケージソフトウェアの利用技術・研究開発及び流通
    ・ソフトウェアプロダクト及び関連ソフトウェアの研究開発及び流通
    ・コンピュータ及び周辺機器の販売(レンタル・リースを含む)保守サービス
    ・コンピュータの利用による情報の提供
  2. 1を主要業務とする加入事業者の親会社、子会社、関連会社である
  3. 関東地方(1都6県)および長野県、山梨県の協会けんぽに1年以上加入している
  4. 被保険者数が20人以上の事業所である(2の事業所は5人以上)
  5. 標準報酬月額が11万8千円(8等級以下)の被保険者である
  6. 被保険者の平均年齢がIT健保の平均年齢を大きく上回らない
  7. 扶養率がIT健保の平均を著しく上回らない(扶養率1.0以上で断る場合あり)
  8. 過去1年間公租公課(※)に滞納がない
    ※公租=法人税、消費税、所得税、事業所税 公課=健康保険、厚生年金保険、雇用保険
  9. 反勢力との関係が一切ない
  10. IT健保指定銀行の本支店で口座振替納入が可能

以上の加入基準を満たしている場合に届出ができます。

届出後はITSが被扶養者資格や財務状況などの審査を行います。その後、関東信越厚生局の許可が出ると組合に加入できます。届出から加入までの期間は約6カ月です。

なお、審査が通らない場合、加入が断られる場合もあります。

まとめ

今回は、IT健保に加入するメリットや審査の基準などについて解説しました。

世の中のIT化が進む中、ますますITソフトウェア関連企業は増えていき、さらに加入企業が増えていくことが予想されます。そうなればIT健保はさらに発展し、さらなる恩恵を受けられる可能性が高いでしょう。

現在関東甲信地方の協会けんぽに加入中で、なおかつIT健保の加入基準をすべてクリアしている事業者は、ぜひ加入を検討してみてはいかがでしょうか。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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