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二以上事業所勤務届とは?提出先や期限、保険料の計算方法を解説

二以上事業所勤務届とは?提出先や期限、保険料の計算方法を解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 二以上事業所勤務届とは、2か所以上の適用事業所で働く場合に提出しなければならない届け出のこと
  • 二以上事業所勤務届は、被保険者となる本人が事実発生から10日以内に事務センターへ提出する必要がある
  • 二以上事業所勤務届は、正しい社会保険料を計算するためにも必ず提出する必要がある

2か所以上の適用事業所で働く場合は「二以上事業所勤務届」を、主たる事業所を管轄する事務センターに提出する必要があります。

被保険者となる方が自ら手続きをおこなう必要があるため忘れないようにしましょう。雇用する企業側も、二以上事業所勤務届について説明してあげると親切です。

また、二以上事業所勤務の場合における社会保険料についてもよく理解しておく必要があります。本記事では、二以上事業所勤務届の基本内容や社会保険料の計算などを解説します。

二以上事業所勤務とは

二以上事業所勤務とは

二以上事業所勤務とは、同時に複数(2か所以上)の適用事業所で働くことを言います。たとえば、本業とは別で副業をしているなどの理由で複数の事業所に使用されている労働者は二以上事業所勤務に該当します。

二以上事業所勤務は、いずれの会社においても社会保険の加入条件を満たしている状態になるため、各会社で社会保険の資格を取得します。そして、二以上事業所勤務届を提出する必要があります。

二以上事業所勤務届とは

二以上事業所勤務届とは

二以上事業所勤務届とは、同時に2か所以上の適用事業所で働く場合に提出する届け出のことを言います。提出するのは被保険者の方であるため、忘れないように注意が必要です。企業側は本人が提出する必要がある旨を説明してあげましょう。

二以上事業所勤務届は、正式には「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」という名称であり、日本年金機構の公式Webサイトよりダウンロードが可能です。

二以上事業所勤務届の役割

同時に2か所以上の適用事業所で働く労働者は、複数企業において社会保険の被保険者となります。そのため、二以上事業所勤務届を提出して「どの会社を主たる事業所とするのか」を明確にします。

POINT
管轄の保険者を決めるために必要

二以上事業所勤務届では「選択事業所」としてひとつの主たる事業所を選択します。その選択事業所にあたる保険者と、管轄の事務センターが被保険者に関連する事務をおこなうことになります。

二以上事業所勤務届を提出しなければ、社会保険料を正しく納められず将来の年金にも影響してしまいます。つまり二以上事業所勤務届は、複数の適用事業所で働く労働者において、それぞれの企業が正確に社会保険料を計算するために必要な届け出という役割があります。

二以上事業所勤務届の提出先・提出期限

二以上事業所勤務届では、主たる事業所としてひとつ選択したのち「選択事業所」の欄に記入します。そして選択しない事業所を「非選択事業所」に記入します。

記入が完了したら、主たる事業所の所在地を管轄する事務センター(年金事務所)に事実発生から10日以内に提出します。提出方法は「電子申請・郵送・窓口持参」があります。

すでに全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している場合は、添付書類として健康保険被保険者証が必要になるため覚えておきましょう。

健康保険証の扱い

二以上事業所勤務届を提出したら選択事業所の健康保険証が新しく発行されます。そのため、古い方の健康保険証は事前に返却しておく必要があります。

同じ事業所を選択した場合でも一旦返却が必要

自身がもともと持っている健康保険証の事業所を、選択事業所とした場合でも健康保険証番号が新しくなるため一旦返却します。

引き続き同じ事業所の被保険者となるため返却を忘れがちですが、二以上事業所勤務届の提出前には必ず健康保険証を返却するということを覚えておきましょう。

二以上事業所勤務届で事業所の選択が必要なケース

二以上事業所勤務届で事業所の選択が必要なケース

同時に2か所以上の適用事業所で働く場合には、二以上事業所勤務届の提出が必要です。以下のようなケースに該当する場合は、主たる事業所の選択が必要になります。

事業所の選択が必要になるケース
  • 一方の保険者が健康保険組合の場合
  • 双方の保険者が健康保険組合または共済組合の場合
  • 一方の保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)、もう一方が健康保険組合の場合
  • 一方の保険者が共済組合、もう一方が全国健康保険協会(協会けんぽ)または健康保険組合の場合
  • 双方の保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)であり、二以上の事業所を管轄する年金事務所が異なる場合(年金事務所を選択)
  • 双方の保険者が全国健康保険協会(協会けんぽ)であり、二以上の事業所を管轄する年金事務所が同じ場合(事業所を選択)

厚生年金基金の加入員となる場合を除き、共済組合を選択する必要があります。

二以上事業所勤務届の内容に従って、選択事業所の所在地を管轄する事務センターまたは健康保険組合が関連する事務を担当します。

二以上事業所勤務時の保険料

二以上事業所勤務時の保険料

二以上事業所勤務時の保険料は、各事業所から支給される月給の合計額を標準報酬月額に当てはめて決定します。標準報酬月額は、選択事業所の所在地や健康組合に応じたものを利用します。

その後、標準報酬月額により決定した保険料を事業所ごとに月給割合で按分します。決定した標準報酬月額や按分した保険料額が事務センターより各事業所に通知されるため、その通知をもとに月給から保険料が控除されます。

二以上事業所勤務届に関するよくある質問

二以上事業所勤務届に関するよくある質問

二以上事業所勤務届とはいつ必要な書類ですか?
二以上事業所勤務届とは、複数(2か所以上)の適用事業所で働く場合に提出しなければならない届け出のことです。
二以上事業所勤務届は誰が出すのでしょうか?
被保険者本人が選択事業所を管轄する事務センターに提出する必要があります。
二以上事業所勤務届を提出しないとどうなるのでしょうか。
社会保険料を正しく納付できません。万が一「片方の社会保険は加入しているが、もう片方の社会保険は未加入」という状態になってしまうと、2年間にさかのぼって追徴金が発生することもあります。
二以上事業所勤務届の提出後、健康保険証はどうなりますか?
選択事業所の健康保険証が新しく発行されます。そのため以前より持っていた健康保険証は返却する必要があります。また、選択事業所が以前から加入していたところと変わらない場合でも、健康保険証番号が新しくため返却が必要です。

まとめ

二以上事業所勤務届とは、2か所以上の適用事業所で働く場合に労働者が事務センターへ提出する届け出のことです。事実発生から10日以内に必ず提出が必要です。

二以上事業所勤務届を提出することで主たる選択事業所を決定し、適切な社会保険料の計算ができます。健康保険証も新たに交付されるため、提出前に持参している健康保険証を返却することを忘れないようにしましょう。

また、企業は従業員が複数の適用事業所で働くとなった際に二以上事業所勤務届の件をきちんと説明してあげると親切です。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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