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【専門家監修】サーバントリーダーシップとは?支援型次世代リーダーを輩出するための10の属性や浸透方法を解説!

更新日:

経営・戦略

時代の変化とともに、企業が求めるリーダーシップの在り方も変化しています。世の中には自分の思い通りにしたい支配型上司や、チーム内の意見を聞いて方針を決める民主型上司などさまざまなリーダーが存在します。しかし、近年では「召使い」の意味である「サーバント」と「リーダーシップ」を掛け合わせた、新たなリーダーシップ論に注目が高まっています。
サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップとは

サーバントリーダーシップとは、召使いを意味する「サーバント」と、指導者としての素養や統率力を意味する「リーダーシップ」という、相反する概念が組み合わされた新たなリーダーシップ論です。

サーバントリーダーシップとは
サーバントリーダーシップの特徴は、相手(チームメンバー)に奉仕をした上で相手を指導していく、支援型または奉仕型のリーダーシップです。部下を支え、チームに奉仕するためにリーダーが存在するという考え方を重視しています。

【参考】日本サーバントリーダーシップ協会

支配型リーダーシップとの違い

日本企業で長らく続いていた支配型リーダーシップとサーバントリーダーシップでは、以下の違いがあります。

  サーバントリーダーシップ 支配型リーダーシップ
重視している点 目標達成のために、メンバーと協力し合うこと 自分の成功を他人から賞賛されること
モチベーション 自分の昇進よりも、他人に奉仕することに喜びを見出す 高い地位とそれに見合う大きな影響力(権力)
メンバーへの対応 信頼関係を築いて、メンバーの自主性を尊重する 権力を使って自分の言うことを聞かせる
コミュニケーション メンバーの意見をよく聞く メンバーに命令する
業務遂行方法 メンバーと共に学び、コーチングを重視する 自分の持つ能力を最大限に活かして指示を出す
成長への考え方 メンバーのやる気を引き出し、組織自体を成長させる 「自分の昇進」を成長と考える
失敗への対処方法 失敗から学び取り、次の成功へとつなげる 失敗に対しては罰で処分する

上記の違いを考察すると、サーバントリーダーシップと支配型リーダーシップには「逆ピラミッド型」の組織が必要となります。

サーバントリーダーシップと支配型リーダーシップ

従来の支配型リーダーは、自分が組織の中心だと考え、業務を遂行します。自身の組織における影響力を重視し、他者と競争することで社内での地位を高めようとします。

部下には、自身の影響力を背景に一方的に命令するコミュニケーションをとります。そして、業務上の失敗には部下を罰することで責任を取ろうとします。

サーバントリーダーは、「奉仕の精神」を中心に捉え、部下とともに協力して組織運営を行います。個人間の信頼関係を重視し、部下の話に耳を傾けることで目標を達成していきます。

チームメンバー一人ひとりのモチベーションを常に意識し、失敗があってもそこから学びとることで成功に結びつけようとします。

サーバントリーダーシップの活用分野

サーバントリーダーシップはビジネスの分野に限らず、医療や教育といった分野でも活用されています。

医療業界や教育業界では、これまで支配型のリーダーシップにより組織の運営が行われてきた事実があります。

たとえば、看護の現場では、師長による強いリーダーシップが求められており、部下に正確な業務命令をすることで医療ミスを未然に防ぎ、重大な医療ミスにつながりかねない失敗には厳しい叱責により、看護師のミスに対する意識を強化・指導してきた経緯があります。

しかし、現在では価値観の尊重や多様な働き方の浸透に伴い、従来の支配型リーダーシップでは部下を適切にマネジメントすることはできません。部下の考えや意見に耳を傾け、上司・部下ともに協力しながら、仕事を進めるサーバントリーダーシップをもつ人材が求められています。

サーバントリーダーシップの属性

サーバントリーダーシップには10個の属性があります。

傾聴 相手の話に耳を傾け、相手の考えや意見を聞き出します。同時に自分の考えや意見も考え、自分の存在意義を見直し続ける
共感 相手の立場で考え、相手が何をしてほしいのかを理解する。
癒し 欠けているもの、傷ついているところを見つけ、補完し合える状態を作り出す。
気づき 物事を敏感に感じ取りその本質を捉える。自分への気づきを重視する。
説得 影響力や権威で服従させるのではなく、相手の同意を得ることで説得を試みる。
概念化 将来を見据えた大きな目標を持ち、わかりやすく伝える。
先見力 現状や過去の事例から、将来の展望を予測する。
執事役 大切なことを任せられる信頼できる人を指す。相手の利益を追求できることが大切。
人々の成長への関与 相手の可能性や価値に気づき、その成長を促すことに関与する。
コミュニティづくり 同じ仕事をするメンバー一人ひとりが成長できるコミュニティを作る。

優しいだけのリーダーとの違い

サーバントリーダーシップとただ優しいだけのリーダーには大きな違いがあります。

誰かがミスを犯してしまった場合、リーダーが一人で解決してしまうことは、他のメンバーの成長を妨げる要因にもなります。失敗を自分一人で抱え込むのではなく、他のメンバーと共有することではじめて、リーダーもチームメンバーも成長できます。

サーバントリーダーシップが大切にしている「メンバーに奉仕する」ということは、「優しく接する」ということではありません。

「メンバーへの奉仕」は、チームメンバーに積極的に関わり、一人ひとりの意見に耳を傾けて理解を共有することを意味します。サーバントリーダーシップは相手の将来性・可能性を引き出し、同時に組織全体の成長にもつながるリーダーシップでもあります。

サーバントリーダーシップの浸透方法

サーバントリーダーシップを持つ人材を輩出するためには、経営層を含む従業員の意識改革と組織変革が必要です。

経営陣の意識改革

組織にサーバントリーダーシップを浸透させるためには、組織のトップである経営層の意識改革が必要不可欠です。古い慣習を持つ日本企業では、経営陣と中間管理職を含む現場社員とのコミュニケーションが希薄になることが珍しくありません。まずは経営陣が中間管理職・現場社員に対して、「奉仕の精神」で積極的に関わっていくことで、現場を指揮する中間管理職にサーバントリーダーシップの意識を浸透させることができます。

逆ピラミッド型組織の構築

日本企業の多くは、代表取締役(合同会社の場合、代表)・取締役、そして執行役員、部長・課長などの中間管理職が続き、現場で働く一般社員がいる「ピラミッド型」の組織が形成されています。サーバントリーダーシップを浸透させるためには、一般社員が最上位である「逆ピラミッド型組織」を意識することが重要です。

組織の中で、顧客に一番近い一般社員を最上位にすることで、顧客を大事にする組織づくりが可能となります。サーバントリーダーシップの浸透は顧客満足度の向上を最大化できる組織体制の構築にも役に立ちます。

VUCA時代に必要なサーバントリーダーシップ

VUCAとは、変動性(Volatility)・不確実性(Uncertainty)・複雑性(Complexity)・曖昧性(Ambiguity)の4つの性質の頭文字をつなぎ合わせたビジネス造語です。現代のビジネスはこの4つの要因により、企業や将来の予測が困難になっており、VUCA時代でどのように生き抜いていくかが重要な経営課題として認識されています。不確実性の高いVUCA時代では、自分や組織が環境の変化に柔軟に対応していくことを常に意識している必要があります。

サーバントリーダーシップは傾聴・共感を重視し、優れた先見力を培います。企業の経営方針やミッションを意識し、チームメンバー一人ひとりがブレない軸をつくりあげることで、組織として競争力の高い経済活動を行うことができます。

そのため、サーバントリーダーシップはVUCA時代が到来している現代に必要とされるリーダーシップのひとつだといえます。

まとめ

  • サーバントリーダーシップとは、相手(チームメンバー)に奉仕をした上で、相手を指導していく支援型または奉仕型のリーダーシップである。従来のような支配型リーダーとは異なり、部下とともに協力して組織運営を行う。
  • サーバントリーダーシップでは、一人ひとりの意見に耳を傾けて理解を共有することで相手の将来性・可能性を引き出すため、組織全体の成長にもつながる。
  • サーバントリーダーシップの浸透には、経営陣が率先して実践し、一般社員が最上位上となる逆ピラミッド型組織を意識することが重要である。
  • サーバントリーダーシップとは、不確実性の高いVUCA時代を生き抜くための先見力を培う優れたリーダーシップ論のひとつである。

Growthix Capital 株式会社 取締役 CSO |  田坂 伸一(ホームページ:https://growthix.co.jp/

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