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アンケート現代社会において、職場におけるストレスは深刻な問題となっています。長時間労働や厳しいノルマ、人間関係のトラブルなど、さまざまな要因が従業員の心身に悪影響をおよぼし、企業の生産性低下や人材流出につながることが懸念されています。
今回労務SEARCHでは、そんな職場のストレスに関する実態を把握するため、20代以上の男女300名を対象にアンケート調査を実施しました。本記事では、その調査結果を分析し、職場におけるストレスの原因や企業のメンタルヘルス対策の現状と課題、そして、従業員と企業が共に取り組むべき対策について考察していきます。
目次
まずは、職場でストレスを感じる頻度やストレスとなる要因について調査してみました。
最初に、職場でストレスを感じるかどうかを質問してみたところ、「ときどき感じる」方が47.3%と最も多く、次に「頻繁に感じる」方が30.0%、続いて「たまに感じる」方が18.3%となりました。つまり、合わせて9割以上の人が、頻度に差はあるものの職場でストレスを感じているようです。
なお「全く感じない」と回答した方は0.7%、「ほとんど感じない」と回答した方は3.7%と、職場でストレスを感じない人はかなり少ないことが分かります。
また、この回答を年代別に見てみると、50代は「ときどき感じる」と「頻繁に感じる」が同率1位で、20代~40代に関しては「ときどき感じる」の回答数が最多でした。60代以上の方は「たまに感じる」と「ときどき感じる」が同率1位となっています。
職場で最もストレスを感じる場面については、第1位が「上司との人間関係」で19.7%、第2位が「同僚や部下との人間関係」で15.3%、第3位が「仕事量が多い」で15.0%という結果になりました。
その他、「給与が低い」「仕事内容が難しい・合わない」「仕事の責任が重い」といった回答も上位に挙がっており、職場におけるストレス要因は多岐にわたることが分かります。しかし、人間関係に関する回答が第1位と第2位に選ばれたことから、職場のストレスの多くは人間関係が起因するのかもしれません。
なお、職場でストレスを感じる場面について、その回答を男女別に見てみると下記のとおり違いが見受けられました。
男性 | 女性 | |
---|---|---|
1位 | 上司との人間関係 | 同僚や部下との人間関係 |
2位 | 仕事量が多い | 上司との人間関係 |
3位 | 同僚や部下との人間関係 | 仕事量が多い および 給与が低い |
この結果から、性別によって職場でストレスを感じるシーンは異なると言えるでしょう。
ここまでの調査結果から、ほとんどの方は職場でストレスを感じていると言えそうですが、ではそのストレスは、仕事のパフォーマンスなどに影響を与えているのでしょうか。また、従業員がストレスを抱えることで、企業にとってどのようなデメリットがあるのでしょうか。
今回、働く20代以上の男女300名に、職場でのストレスは仕事への集中力やパフォーマンスに影響しますか?と質問してみたところ、「どちらかと言えば影響する」と回答した方が54.4%、「とても影響する」と回答した方が30.3%となりました。合計すると8割以上の方が、ストレスがある程度仕事に影響を与えていると感じているようです。
ストレスが溜まると、心身にさまざまな反応が現れます。たとえば、やる気がなくなったり、イライラしやすくなったりするなどの精神的変化や、頭痛、肩こり、腰痛、目の疲れといった症状が現れることもあります。
また行動面では、飲酒量や喫煙量の増加や、仕事でミスを起こしやすくなるといった変化も現れるでしょう。多くの方はこのようなストレス反応を感じながら仕事をしているようです。
さらに、職場のストレスによって転職を考えたことがあるか質問してみたところ、7割以上の方が転職を検討したことがあると回答しました。
この結果から、職場におけるストレスは、従業員の心身に悪影響をおよぼすだけでなく、企業にとって深刻な人材流出リスクにもつながることが分かります。
職場でストレスを感じた時のストレス解消・緩和方法については、「おいしいものを食べる」が16.0%と最も多く、続けて「友人や家族に話す」が15.3%、そして「何もせずゆっくり過ごす」と「お酒を飲む」がそれぞれ12.0%という結果になりました。
ストレス解消方法は人それぞれですが、多くの方が自分なりの方法でリフレッシュしようと努めていることが伺えます。普段からできるだけストレスを溜め込まないようにし、心身のバランスを保つことが重要です。
従業員のメンタルヘルスを守るためには、企業は体制整備やコミュニケーション促進など、多角的なアプローチで対策を進める必要があります。ここからは、企業のストレス対策などについての調査結果を紹介します。
まず、会社で従業員のストレス対策がおこなわれているか聞いてみたところ、「いいえ」が55.3%、「はい」が26.0%、「わからない」が18.7%という結果になりました。
半数以上の企業で従業員のストレス対策がおこなわれていないようですが、2015年12月から、労働安全衛生法の改正により、従業員50人以上の事業所に対してストレスチェック制度の実施が義務化されています。
これは従業員のメンタルヘルス不調の未然防止や、職場環境の改善などのためであり、年1回以上のストレスチェックの実施が義務となっています。場合によっては医師による面接指導の実施をおこない、ストレスチェックの結果に基づいた職場環境の改善も可能な範囲で実施することが推奨されています。
実際にストレスチェックを実施している企業は比較的多いようで、前問で「会社で従業員のストレス対策がおこなわれている」と回答した方に向けて、その対策方法について聞いてみたところ、「ストレスチェックの実施」が64.1%と最も多い結果となりました。
しかし、ストレスチェックだけでは十分な対策とは言えません。ストレスレベルが高い従業員に対しては、医師による面接指導の実施や、必要であれば労働時間の短縮などの措置を実施し、従業員のメンタルヘルスの不調を未然に防ぎましょう。
会社は従業員のメンタルヘルスについて、どのように考えていると思いますか?との質問には、「あまり重要視していない」が37.4%と最も多い回答となりました。
次に「どちらとも言えない」が28.3%、「重要視していない」が19.0%と続き、「重要視している」と「非常に重要視している」の回答は合計しても15.3%と、全体の2割にも達しません。このことから、多くの方は、会社は従業員のメンタルヘルスを軽視していると感じていることが伺えます。
実際に会社のメンタルヘルスに関する取り組みについて聞いてみても、「特になし」と回答した方が48.7%と約半数を占めています。
対策をおこなっている企業では、ストレスチェックの実施が中心なようで、相談窓口の設置やメンタルヘルス研修の実施などの具体的な対策は、まだあまり浸透していないと言えるでしょう。
厚生労働省が運営する働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト「こころの耳」では、各企業のメンタルヘルス対策が紹介されています。まだ従業員のメンタルヘルスに関する対策を十分におこなえていない企業は、まずは他社事例を参考に、自社ではどのような取り組みを実施できるか検討してみましょう。
今回のアンケート調査結果から、職場におけるストレスは深刻な問題であり、企業は従業員のメンタルヘルス対策に積極的に取り組む必要があることが浮き彫りになりました。
従業員のメンタルヘルスは、企業の成長の基盤となる重要な要素です。企業は、従業員が安心して働き、能力を最大限に発揮できるよう、職場環境の改善やメンタルヘルス対策に積極的に取り組むことが重要です。
また、従業員一人ひとりも、ストレスを溜め込みすぎず、自分なりのストレス解消方法を見つけ、心身の健康を維持するよう努める必要があります。企業と従業員が互いに理解し合い、共に対策を実施することで、より働きやすい職場環境を実現していくことが重要です。
調査名 | 職場のストレスに関するアンケート |
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調査対象 | 20代以上の男女300名 |
調査期間 | 2024年9月24日~2024年9月25日 |
調査方法 | インターネット調査 |
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