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産休・育休(女性向け)に関するアンケート調査

女性の産休・育休に関するアンケート調査結果

監修者:労務SEARCH 編集部
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アンケート調査結果

  • 女性の育休期間は「10カ月以上1年未満」が最多
  • 出産費用の自己負担額は「10万円以上20万円未満」が最多
  • 産休・育休からの職場復帰に「不安があった」方は83.3%

少子化が進む日本では出生率が7年連続前年を下回っており、過去最低を記録しています(2022年時点)。

国や各都道府県はそんな少子化に歯止めをかけるため、さまざまな対策を発表していますが、実際に妊娠・出産をする女性はどのような点に不満や不安を抱えているのでしょうか。

そこで弊サイトでは、20代以上の働く女性246名を対象に、産休(産前産後休業)・育休(育児休業)に関するアンケート調査を実施しました。産休・育休を取得する女性も働きやすい職場をつくるために、ぜひ参考にしてみてください。

産休・育休期間に関する調査結果

まずは、産休・育休期間に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 産休の取得は「出産予定日の6週間前」からが44.3%
  • 育休期間の第1位は「10カ月以上1年未満」で20.3%
  • 育休期間は1年未満が59.0%・1年以上が41.0%と、1年未満のほうが多い

産休の取得は「出産予定日の6週間前」からが44.3%

労働基準法上では産休(産前産後休業)について、産前は本人から申し出があった場合は出産予定日を含む6週間以内、産後は本人の申し出に関係なく6週間休業しなければならないと定められています。双子以上は14週間

今回のアンケート調査における「いつから産休を取得しましたか?」という質問にも、最も回答数が多かったのは「出産予定日の6週間前」でした。

いつから産休を取得しましたか?

しかしその他の期間を休業した方も多く、続けて「妊娠6カ月~8カ月」が20.7%、「出産直前まで働いた」が14.2%、「産休は取らなかった」が8.6%、「妊娠2カ月以前」が7.7%、「妊娠3カ月~5カ月」が4.5%の結果となりました。

育休期間の第1位は「10カ月以上1年未満」で20.3%

育休(育児休業)は、子どもが満1歳の誕生日を迎える前日まで取得できる休業です。ただし、保育所に入所できない、父母ともに育休を取得するなどの条件によって取得できる期間は異なります。

育休はどのくらいの期間、取得しましたか?

「育休はどのくらいの期間、取得しましたか?」という質問には、「10カ月以上1年未満」が最多で20.3%、第2位に「取得していない」が16.7%、第3位に「1年以上1年2カ月未満」が15.9%の結果となりました。

割合を見ると、育休の取得期間が1年未満の方は59.0%、1年以上の方は41.0%です。育休の取得期間は1年未満の方のほうが多いことが伺えます。ちなみに育休の取得に関しては、ポジティブな意見とマイナスな意見の両方が集まりました。

育休の取得に関する意見

従来と比較して「育休が取りやすくなった」といった声が上がった一方、「義務化してほしい」「もっと柔軟に取れるようにしてほしい」と制度の改正を望む声も上がっています。

産休・育休期間は柔軟性を望む声が多数

また産休・育休期間に関しては、制度の改正を望む声が多く集まりました。以下にその一部をご紹介します。

産休・育休期間に関する意見

育休の取得でも指摘があった”柔軟性”については、産休・育休期間においても同様の意見が集まりました。出産・育児はあらゆる面で個人差が大きく、いつから体調が良くなる、いつまで休めば大丈夫などと一概には言えません。そのため多くの方が産休・育休期間に関して、「柔軟に選択できること」を望んでいるようです。

妊娠・出産に伴う費用に関する調査結果

次に、妊娠・出産に伴う費用に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 82.9%が傷病手当金を「もらっていない」
  • 出産費用の自己負担額は「10万円以上20万円未満」が最多

82.9%が傷病手当金を「もらっていない」

まずは、会社員や公務員などが加入する健康保険から支給される「傷病手当金」について「妊娠に伴い、傷病手当金をもらいましたか?」という質問をしてみました。

妊娠に伴い、傷病手当金をもらいましたか?

その結果、「もらっていない」が82.9%、「もらった」が17.1%となりました。傷病手当金は、業務外の病気やケガが原因で働けない場合にうけることできる給付金です。給付をうけるには4日以上仕事を休んでいること・給与が支給されていないことなど、いくつかの条件を満たさなければいけません。

なお、妊娠に伴い傷病手当金をうけられる可能性があるケースとは、以下のようなケースが挙げられます。

妊娠に伴い傷病手当金を受給したケース(一例)

  • つわり(重症妊娠悪阻)がひどくて休業した
  • 妊娠中に体調不良のため休職し、切迫早産となりそのまま退職した
  • 子宮頸管縫縮術で療養が必要と医師に診断された

出産費用の自己負担額は「10万円以上20万円未満」が最多

次に、出産費用に関する質問をしてみました。

「出産費用はいくら自己負担しましたか?」という質問には、「10万円以上20万円未満」が最多で30.9%、次に「5万円未満」の27.2%、第3位に「5万円以上10万円未満」の22.8%が続く結果となりました。

出産費用はいくら自己負担しましたか?

3位までの回答が回答者の約8割を占めていることから、出産に伴う自己負担費用はほとんどの方が20万円未満におさまっていることが伺えます。

出産に伴いもらえる給付金としては、出産育児一時金や出産手当金(産休手当)などです。そのほか、クーポン券などが支給される出産・子育て応援交付金、各自治体からの助成金などがあります。

妊娠・出産でもらえる手当、給付金に関する意見

妊娠・出産でもらえる手当や給付金に関しては「経済的に助かった」といったポジティブな意見と、給付額や給付のタイミングに関するマイナスな意見の両方が集まりました。

妊娠、出産でもらえる手当・給付金に関する意見

育休中に支給される「育児休業給付金」について詳しくは、以下の記事で解説しています。

男性の育休に関する調査結果

次に、男性の育休に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 58.5%がパパ・ママ育休プラスを「知らなかった」
  • 男性の育休取得は72.8%が「賛成」

58.5%がパパ・ママ育休プラスを「知らなかった」

まずは、2010年からスタートした”パパ・ママ育休プラス“を利用したか質問してみたところ、「制度を知らなかった」が58.5%、「利用していない」が36.2%、「利用した」が5.3%の結果となりました。

パパ・ママ育休プラス制度を利用しましたか?

パパ・ママ育休プラスとは、父母ともに育休を取得することで、子どもが1歳2カ月に達するまで育休を取得できる制度です。育休は原則、子どもが1歳に達するまでなため、パパ・ママ育休プラスを利用することで育休を2カ月延長できます。
パパ・ママ育休プラスを利用しても、父母ともに育休を取得できる期間は1年間ずつです。

厚生労働省の調査によると、2023年の男性の育休取得率は46.2%です。まだ半数にも達しておらず、この男性の育休取得率の低さがパパ・ママ育休プラスの知名度の低さに繋がっているのかもしれません。

男性の育休取得は72.8%が「賛成」

いまだ育休を取得する男性のほうが少ない現状ですが、世間の女性は男性の育休取得に関して、どのように思っているのでしょうか。

そこで「男性が育休を取得することについて、どう思いますか?」と質問してみたところ、「賛成」が72.8%、「どちらでもない」が21.5%、「反対」が5.3%、「必要ないと思う」が4.1%の結果となりました。

男性が育休を取得することについて、どう思いますか?

多くの女性は男性の育休取得に賛成しているようです。具体的な意見を募ってみたところ「男性にも積極的に育休を取得してほしい」といった意見が上がった一方、「夫が育休を取得することで経済的な不安がある」「夫が育休を取得しても妻の負担が増える可能性がある」といった意見も見られました。

男性の育休取得に関する意見

このことから、両親ともに育休を取得する必要性は夫婦によって異なりそうです。

産休・育休後の職場復帰(復職)に関する調査結果

次に、産休・育休後の職場復帰(復職)に関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 産休・育休からの職場復帰に「不安があった」方は83.3%
  • 職場復帰にあたり、最大の不安は「育児と仕事の両立」

産休・育休からの職場復帰に「不安があった」方は83.3%

産休・育休から職場復帰するにあたり、不安はありましたか?

「産休・育休から職場復帰するにあたり、不安はありましたか?」という質問には、「あった」が83.3%、「なかった」が16.7%の結果となりました。多くの方が不安を抱えながら職場復帰していることが伺えます。

職場復帰にあたり、最大の不安は「育児と仕事の両立」

そこで次に「(不安が)あった」と回答した方に向けて「産休・育休からの復帰後、気になったことがあれば教えてください」と質問してみました。

「(不安が)あった」と回答した方にお聞きします。産休・育休からの復帰後、気になったことがあれば教えてください。

その結果、「育児と仕事の両立」が73.6%、「仕事についていけるか」が13.2%、「職場の人間関係の変化」が7.3%、「職場の自分のポジションの変化」が5.4%の結果となりました。

産休・育休からの職場復帰にあたり、不安を抱えていた方の多くは「育児と仕事を両立できるか」で悩んでいたことがわかります。

出産・育児と仕事との両立、職場復帰に関する意見

働く女性の中には、出産・育児に伴い退職してしまった方や、復帰後に業務内容が原因で退職した方もいます。以下にどのような状況で退職に至ったか、または職場復帰にあたりどのようなサポートを必要としていたかをご紹介します。

仕事との両立、復職に関する意見

企業は、産休・育休を取得する社員のことだけでなく、産休・育休による欠員をカバーする社員のことも考慮しなければいけません。上記の意見を参考に、誰もが働きやすい職場づくりを目指しましょう。

産休・育休中のリスキリングに関する調査結果

最後に、産休・育休中のリスキリングに関する調査をしてみました。調査結果のポイントは、以下のとおりです。

調査結果のポイント
  • 83.7%が産休・育休中にリスキリングを「実施していない」
  • 実施したリスキリングは「資格の取得」が50.0%
  • 産休・育休中のリスキリングは「賛成」と「どちらでもない」が8割以上

83.7%が産休・育休中にリスキリングを「実施していない」

リスキリングとは、新しいことを学び、新しいスキルを身につけ実践すること・学び直しをすることを意味します。産休・育休中のリスキリングについては、2023年1月に開かれた国会で推奨されたとして、大きな話題を呼びました。

そこで「産休・育休中にリスキリングを実施しましたか?」という質問をしてみたところ、「実施していない」が83.7%、「実施した」が16.3%の結果となりました。

産休・育休中にリスキリングを実施しましたか?

実施したリスキリングは「資格の取得」が50%

次に「(リスキリングを)実施した」と回答した方に向けて「具体的に何をおこなったか教えてください」という質問をしてみました。

「(リスキリングを)実施した」と回答した方にお聞きします。具体的に何をおこなったか教えてください。

その結果「資格の取得」が50.0%と最も多く、「副業」が22.5%、「語学の勉強」が12.5%、「職場復帰に向けた勉強」が10.0%、「育児中ママ向け勉強会・イベントへの参加」が5.0%の結果となりました。

産休・育休中のリスキリングは「賛成」と「どちらでもない」が8割以上

8割以上の方が「実施していない」と回答した産休・育休中のリスキリングですが、「産休・育休中のリスキリングに賛成ですか?反対ですか?」という質問には、「賛成」と「どちらでもない」がそれぞれ44.3%で、「反対」は11.4%となりました。

産休・育休中のリスキリングに賛成ですか?反対ですか?

多くの方は実施していないだけで、反対意見を持つ方は少ないようです。ただし、リスキリングについて具体的な意見を募ってみたところ、「産休・育休中のリスキリングの実施は難しい」と指摘する声が多く上がりました。

リスキリングに関する意見

まとめ

産休・育休に関して、期間は「出産予定日の6週間前」から産休を、産休後は「10カ月以上1年未満」の育休を取得する方が最多でした。出産に伴う費用の自己負担額は「10万円以上20万円未満」が第1位となりました。

男性の育休に関しては、72.8%の女性が「賛成」と回答したものの、両親ともに育休を取得することで育休期間が2カ月延長となる”パパ・ママ育休プラス”の知名度は、いまだ低いようです。

なお、産休・育休からの職場復帰に8割以上の女性が不安を抱えており、不安の原因として最も回答数が多かったのは「育児と仕事の両立」でした。出産・育児はあらゆる面で個人差が大きく、抱える悩みや不安も各々異なります。企業の人事労務担当者は、必要であれば個人面談などを実施して、誰もが働きやすい職場づくりを目指しましょう。

アンケート調査概要

調査名 産休・育休に関するアンケート
調査対象者数 246名
調査対象 産休・育休を取得したことがある女性または、産休・育休を何らかの事情で取得しなかった女性
調査期間 2024年2月16日~2024年2月28日
調査方法 インターネット調査
監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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