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人事評価が「低いひと」と「高いひと」の違い

心理的安全性とは?チームにもたらす3つの効果と高め方について解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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この記事でわかること・結論

  • 心理的安全性はチームの自由な意見交換と積極的な行動を促す
  • Googleの研究で生産性高いチームの心理的安全性の高さが明らかに
  • チームの心理的安全性を高めることでパフォーマンス向上と成長促進が可能

企業において、チームの業務効率化、生産性の向上は常にある課題です。チームのパフォーマンスを向上させるためには、「心理的安全性」が必要であるといわれています。
本記事では、心理的安全性がもたらす効果や重要性について、事例を交えつつ解説します。

心理的安全性とは

心理的安全性とは

心理的安全性とは、組織のなかで他者からの反応に恐れず、羞恥心も感じることなく、安心して自分の考えや意見を発信できる状態をいいます。
心理的安全性は、英語の「サイコロジカルセーフティ(Psychological Safety)」を和訳した心理学用語であり、組織行動学者のエイミー・エドモンドソン教授によって提唱された概念です。
エドモンドソン教授は心理的安全性を、「対人関係においてリスクのある行動をしても、このチームでは安全であるという、チームメンバーによって共有された考え」と定義しています。

Googleの研究結果で注目を浴びる

心理的安全性の考えは、Googleが生産性向上にかかわる研究において、「生産性が高いチームは、心理的安全性が高い」という研究結果を発表したため、さまざまな業界で注目されています。

心理的安全性がチームにもたらす効果

心理的安全性がチームにもたらす効果

心理的安全性は、具体的にどのようにチームに効果をもたらすのか、3つのメリットについて紹介します。

パフォーマンスの向上・業務効率化

チームの心理的安全性が高くなると、チームメンバーはフロー状態となりやすくなります。
フロー状態とは「夢中になる」「のめり込む」といった精神状態を意味し、フロー状態では集中力が高まるため、パフォーマンスの向上や業務効率化(生産性の向上)が期待できます。
またフロー状態の場合、ドーパミン(神経伝達物質)が増え、幸福度が高まるため、ストレスの軽減にもつながるといわれています。

情報交換や意見交換がしやすくなる

チームの心理的安全性が高いとメンバーは自由に発言しやすくなるため、「情報交換」や「意見交換」が活発となり、新たなアイデアが生まれやすくなります。
新たなアイデアや積極的な改善姿勢は、企業の成長促進に欠かせない要素です。

多様性の受け入れによるポテンシャルの向上

心理的安全性が高いチームでは、他者を尊重し、多様な考えや意見を受け入れる環境が整っているため、他者に認められ、受け入れられることによって自信となり、ポテンシャル向上へとつながります。

Googleの事例・取り組み

googleの事例・取り組み

Googleのリサーチチームが発見した、「心理的安全性」についてのリサーチ結果によると、心理的安全性の高いチームのメンバーは離職率が低く、ほかのメンバーの意見やアイデアをうまく利用することができ、収益性が高いため、マネージャーから評価される機会が2倍多いという特長があるとされています。

ワークショップの実施

Googleのリサーチチームは社内にリサーチ結果を広めるために、各チームを対象にワークショップを実施しました。
実施したワークショップでは、匿名化したシナリオを用い、チームの心理的安全性にプラスの影響を与える行動と、マイナスの影響を与える行動を紹介し、ロールプレイでシナリオを示したあと、解説をおこないました。
シナリオ紹介後の質問では、以下のような質問が用いられています。

【参考】re:Work|Google

心理的安全性が低い職場におけるリスク

心理的安全性が高い職場は、チームの生産性が高い傾向にありますが、反対に「心理的安全性が低いとどのようなリスクが生じるのか」について紹介します。

エドモンドソン教授が提唱する4つの不安

エドモンドソン教授は、スピーチフォーラム「TED」にて「心理的安全性を損なう要因と行動特徴」について、4つの不安を紹介しています。

無知だと思われる不安

チームのメンバーに質問や確認をしたくても、「こんなことも知らないなんて」と思われないかと不安となり、業務に必要な質問ができなくなる状態であることを指します。
質問や相談ができなくなることで、メンバー同士のコミュニケーションが取りづらくなります。

無能だと思われる不安

業務などでミスや失敗をしたとき、「こんなこともできないのか」と思われないかと不安となり、ミスがあっても隠そうとし、自分の失敗や弱点を認めることができなくなる状態であることを指します。

邪魔をしていると思われる不安

会議などで自分が発言することで「話を邪魔した」と思われないかと不安となり、自発的な発言や提案ができなくなってしまう状態であることを指します。

ネガティブだと思われる不安

改善のための意見や提案であっても、「ほかのメンバーの意見を批判・否定している」と捉えられないかと不安となり、なにも発言できなくなってしまう状態であることを指します。

心理的安全性が低い職場に起こりやすいリスク

心理的安全性を損なう要因と行動特徴により、以下のようなリスクが生じます。

社員の意欲低下

4つの不安は、社員の仕事に対するモチベーションや意欲を低下させ、組織全体の士気を低下させてしまうリスクがあります。
チームの生産性を高め、パフォーマンスを最大限に発揮させるためには、社員のモチベーションや意欲が必要不可欠です。
社員の意欲が低い職場は、パフォーマンスが低下し、チームの生産性も低くなってしまいかねません。

企業が成長しない

企業が成長していくためには、社員の意欲やモチベーションの維持が必要不可欠です。
心理的安全性が低く、チーム全体の士気が低下しているような職場は、当然、企業の成長は期待できません。

チームの心理的安全性を高めるためには

チームの心理的安全性を高めるためには

チームの心理的安全性を高めるためには、「互いに助け合うこと」や、「他者を尊重し、受け入れ合うこと」、「風通しの良い職場づくりを心がけること」が大切です。

互いに助け合う

チーム内で誰かが困っているときは互いに助け合い、「無知と思われる不安」や「無能だと思われる不安」を解消することで、困ったときは「誰かが助けてくれる」という安心感が生まれるため、チーム全体の心理的安全性を高められます。

他者を尊重し認め合う

チームの心理的安全性を高めるためには、他者を尊重し認め合うことが大切です。
多様な意見や考え方を受け入れ合うことで、それぞれが自信をもって発言しやすくなります。

風通しの良い職場づくりに徹する

チームの心理的安全性の向上には、メンバー同士の信頼関係が必要不可欠です。
信頼関係を築くためには、「風通しの良い職場環境」が重要であり、メンバーの誰もが安心して発言や相談、報告しやすい職場づくりを心がけることが大切です。
それぞれが対等な立場で意見やアイデアを出し合うことで、社内のコミュニケーションが活発となり、信頼関係を築きやすくなります。

まとめ

チームのパフォーマンスを向上させるためには、「心理的安全性」が必要です。
心理的安全性が低い職場は、社員のモチベーションや意欲の低下、組織風土の悪化につながり、企業の成長を妨げるリスクを負います。
「心理的安全性」を高め、チームの生産性向上を目指し、企業の成長につなげましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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