パーパス経営とは?
- パーパス経営の定義
- バーパスとミッションの違い
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人材・組織近年、「パーパス経営」という経営手法が世界的に注目されています。
日本でも大企業を中心にパーパス経営に取り組む企業が増えており、今後もこの流れは続くと考えられています。
しかし、なかにはパーパス経営とは一体どういったものなのか、まだわかっていない方もいるでしょう。
本記事ではパーパス経営の概要や実施するメリットについて解説します。
目次
パーパス経営とは、社会に対する自社の存在意義を明確にし、その存在意義をもとに経営することを指します。
まずは言葉の定義や、似た言葉との違いについて見ていきましょう。
パーパス経営とは?
「パーパス(Purpose)」は、直訳すると「目的」や「決心・決意」などを意味します。
会社経営においてパーパスとは、会社が存在する目的(存在意義)を指しています。
つまり、パーパス経営とは、パーパス(存在意義)を明確に打ち出し、社会に貢献していく方法を思索・実践していく経営のことです。
たとえば、食品会社の「味の素株式会社」では、「アミノ酸のはたらきで食習慣や高齢化に伴う食と健康の課題を解決し、人びとのウェルネスを共創します」というパーパスを掲げています。
パーパスと似た言葉に「ミッション」があります。
意味が重複する部分もありますが、違いとしては社会的な貢献を重視しているかどうかという点が挙げられます。
パーパスは社会に対する自社の存在意義であるのに対して、ミッションとは自社が成し遂げたい目標のことです。
パーパス経営を実施する企業が増えている理由は以下のとおりです。
パーパス経営を実施する企業が増えている背景
エシカル消費とは、消費者が自分の欲求や流行りではなく、社会的課題の解決に取り組んでいる企業をサポートするために消費活動をおこなうことです。
たとえば、食品ロスをなくすための取り組みをおこなっている企業の製品を購入することや、地元の産物を積極的に購入することなどが挙げられます。
消費者庁の調査では、エシカル消費の認知度が2年間で約2倍以上に上昇しており、徐々に普及していることがわかります。
企業はエシカル消費をおこなう消費者に認められるために、自社の社会貢献のあり方を示すパーパスを掲げる経営が求められるようになりました。
新たな価値観をもつ世代が社会に登場し始めたことも、パーパス経営を実施する企業が増えている理由のひとつです。
2000年以上に成人となった「ミレニアル世代」と呼ばれる世代は、東日本大震災やリーマンショックなどといった大きな事件や自然災害を体験してきました。
そのため、ミレニアル世代の特徴のひとつとしては、社会問題への関心が高いことが挙げられます。
社会問題への関心をもつ新たな世代から共感を得るためには、パーパス経営を実行していくことが重要です。
昨今、金融市場において投資の評価基準が変化してきています。
従来では主に財務情報だけに注目して投資をおこなうことが一般的でした。
しかし、社会問題に関心が集まっていることや、国連サミットでSDGsが採択されたことで、「ESG投資」という考え方が広がっています。
ESG投資とは、「環境(Environment)」「社会(Social)」「ガバナンス(Governance)」の観点を取り入れた投資です。
そのため、パーパス経営をおこなっている企業が投資を受けやすくなっています。
ここからは、企業がパーパス経営を実施するメリットについて解説します。
パーパス経営を実施するメリット
世界的に社会問題への関心が高まっている現代において、パーパス経営を実施することは企業ブランディングに繋がります。
同じく社会問題の解決に取り組んでいる消費者から共感を得て、応援されやすくなるからです。
企業ブランディングが確立されると、業績や金融機関からの評価の向上といったメリットが期待できます。
従業員の仕事のモチベーションが向上することも、パーパス経営を実施するメリットのひとつです。
従業員は勤めている会社のパーパスが明確となることで、自分の仕事が社会に貢献していることを実感できます。
従業員が仕事の意義を見出せれば、結果的にモチベーションの向上に繋がります。
パーパスは会社の行動指針とも言い換えられます。
パーパスを明確に打ち出し、会社全体に普及していると、なにか予測できないことが起きたとしても迅速に対応できます。
近年、インターネットの普及やDX化の推進などにより、将来の予測が非常に困難な時代に突入しました。
この変化の早い時代において会社が生き残るためには、パーパスをもとに会社全体の足並みを揃えて迅速に対応できることが重要です。
パーパス経営の実施するメリットは大きいですが、一方で以下のような注意点・デメリットもあります。
パーパス経営の注意点・デメリット
パーパスを明確に掲げながらも、そのパーパスに沿った取り組みをおこなっていないと、かえってステークホルダーの信頼を損ねる恐れがあります。
ただ評価されるためだけにパーパスを掲げているだけで、実体を伴っていないと見抜かれてしまうからです。
一度パーパスを掲げたからには、全社一丸でパーパスの達成に向けて活動することが重要です。
パーパス経営は、自社の存在意義を明確にし、社会貢献に取り組んでいく経営です。
しかし、あくまでもビジネスであり、利益はしっかりと出す必要があります。
パーパス経営とボランティアを混同してしまうと、いくら社会に貢献できたとしても持続可能性がありません。
パーパスを決める際は、ボランティアではなく事業として成立するかどうかをよく検討しましょう。
ここからは実際にパーパス経営に取り組む方法について解説します。
パーパス経営に取り組む方法
パーパス経営に取り組むためには、まず自社のパーパスを決める必要があります。
企業理念や市場での立場、事業内容などから自社に合ったパーパスを設定しましょう。
また、パーパスが曖昧だと行動指針が定まらず、不安定な組織となります。
パーパスは必ず言語化し、社内・社外問わず誰の目から見ても明確なものにすることが重要です。
自社のパーパスが明確となったあとは、社内全体にパーパスを共有します。
経営層だけにパーパスを共有していても、従業員に浸透していなければ会社の足並みが揃いません。
従業員が納得してパーパス達成に向けて仕事に取り組めるように、パーパスの経緯や設定した背景などを時間をかけてでも入念に説明しましょう。
パーパスは設定しただけでは意味がありません。
実現に向けて取り組んでいなければ、かえって社会的な信頼を失う恐れがあります。
そのため、パーパスの手段を検討し、業務に落とし込んで実施していく必要があります。
パーパスが形式化しないように、達成のための具体的な手段を会社全体に示しましょう。
パーパス経営の概要や実施するメリットについて解説しました。
社会問題への関心が高まっていることや、新たな価値観をもつ世代が登場し始めていることで、自社の存在意義を明確にして社会貢献に取り組むパーパス経営が注目を集めています。
パーパス経営に取り組むことで、社会的な信頼を得ることが期待できます。
結果的に会社の成長にも繋がるため、本記事を参考に自社でもパーパス経営の実施を検討してみましょう。
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