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両立支援等助成金(女性活躍推進コース)とは?女性活躍に向けた取組みを助成!

監修者:岡 佳伸 社会保険労務士法人|岡佳伸事務所
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「両立支援等助成金(女性活躍推進コース)」とは、女性活躍推進法に基づき、女性を活躍させるため「数値目標」を制定したうえで、達成に向けた取組内容・目標等を盛り込んだ「行動計画」を策定し「取組目標」を達成した企業に対して助成金が支給されるとともに、「数値目標」を達成した企業に対しても助成金を支給される制度です。(平成29年度から「女性活躍加速化助成金」より、「両立支援等助成金(女性活躍加速化コース)」へと名称が変更になっています)

女性活躍推進法とは

「一億総活躍社会」に代表されるように、日本全体で女性の労働力を活用し、女性がさらに活躍することで日本の国益を高める施策が数々講じられています。今回ご紹介する「女性活躍推進法」もそのひとつで、平成27年8月28日に成立した比較的新しい法律です。

この法律はもちろん働く女性の活躍を支援する目的ではありますが、同法に基づいた措置を講じたうえで、行動計画に沿って実際に取組目標や数値目標を達成した企業に助成金が支給される制度でもあり、うまく経営を進めることで労使ともにメリットが得られることがポイントです。

また、現時点で労働者が女性しかいない場合等は、「女性の活躍推進に関する課題」がないとされるため本助成金の対象になりません。

女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画とは

両立支援等助成金の制度を運用するうえで、女性が職場での活躍を推進させる行動計画を策定します。策定にあたっては、自社の女性の活躍に関して、現状把握と課題の分析を行い、計画を立てて取り組む必要があります。これが「行動計画」と呼ばれるものです。

状況把握、課題分析を行う観点から、必ず把握すべき基礎項目については以下のとおりです。

把握すべき基礎項目

  • 採用した労働者に占める女性従業員の割合(把握が難しい雇用管理区分については、労働者に占める女性労働者の割合で代替する)
  • 各月毎の労働者の平均残業時間数等の労働の状況(把握の方法について別途規定あり)
  • 管理職に占める女性労働者の割合(管理職とは、課長級と課長級より上位の役職(役員を除く)にある労働者の合計)
  • 男女の平均勤続年数の差異(対象者について別途規定あり)

のある項目については、雇用管理区分ごとに把握することが必要です。

そのほかにも自社の実績に応じ、把握が必要かつ効果的と考える選択項目についても分析することで、より自社の女性が活躍できる課題を洗い出し、取り組むべき計画を立てるようにしましょう。

そして、行動計画には以下の4点を盛り込むこととされています。

行動計画に必要な項目

  1. 計画期間
  2. 課題に基づいた数値目標
  3. 取組の実施期間
  4. 数値目標達成のための取組目標

各項目についての詳細は、厚生労働省ホームページ、または女性活躍推進法特集 ページを参考にすると良いでしょう。

取組目標とは

「数値目標」を立てた次は、その目標を達成するための「取組目標」を策定します。実施状況を客観的に実証できないもの、設定した数値目標と関連性がないものは取組目標と認められず、本補助金の支給対象とはなりません。取組目標も、後にご説明する数値目標も行動計画に記入が必要で、事前に目標として記載していない内容を実施、達成しても補助金の支給はされません。

そのため、現状把握や分析を十分に行い、目標や計画を精査して立案することが何よりも重要です。支給の対象となる取組目標として、下記の具体例をご紹介します。

例1)「男性の雇用が多い場合、女性の積極採用をすることにより採用における女性の競争倍率を引き下げるなどの取組計画を実施する」

例2)「女性の応募が少ない職種に、女子学生向けのセミナー実施や女子学生用のパンフレットを作成し導入する」

例3)「管理職における女性の割合を上げるよう、パーセンテージを明確にする」

取組目標は1つでも複数でも差し支えありません。設定した目標のいずれかひとつを達成した時点で、「加速化Aコース」の申請が可能となります。

数値目標とは

「数値目標」とは、行動計画で行った社内の状況把握や課題分析の結果に基づき、男性に比べて女性の活躍に課題がある場合、課題解決のため数値によって目標設定をすることです。

たとえば、雇用管区分ごとに職務に大きく男女差がある場合や、男性に比べると女性の役職が著しく低いなど、課題はそれぞれの組織によって差があるでしょう。数値目標を行う際は、取組み前後で数値による比較ができない目標は立てることができません。

また、現状の課題の分析や状況把握を適切に行わずに設定された目標設定は、本助成金の対象となりませんので注意しましょう。

実際の支給申請時期について

本補助金は「加速化Aコース」と「加速化Nコース」があり、それぞれによって申請時期がことなります。そして、申請には前述のとおり、女性の活躍の現状把握や課題の分析、それにともなう数値目標、取組目標、行動計画の策定と公表が必要です。

<加速化Aコース>
・申請は行動計画期間内に取組計画を達成し、取組実施状況を公表する必要がある

<加速化Nコース>
・取組目標達成日の翌日から3年以内に数値目標を達成し、達成情報を公表する必要がある

また、両コースのことなる点と共通する申請時期については以下のとおりです。

<加速化Aコース>
・1つの数値目標に対して複数の取組目標を設定している場合、いずれか1つの取組目標を達成した時点で支給申請が可能

<加速化Nコース>
・複数の数値目標を設定している場合、いずれか1つの数値目標を達成した時点で支給申請が可能

<加速化Aコース、Nコース共通>
・目標を達成した日の翌日から2ヶ月以内に申請を行う

また、加速化Nコースを申請する場合、常時雇用する労働者の数が301人以上の大企業であれば女性活躍推進法第9条に基づく認定取得、または、女性管理職比率が上昇し、支給申請日時点における業界平均以上になっていなければ補助金を受けることができません。

支給額

イ 支給額は、次の額とする。ただし、「第1共通要0302」に規定する生産性要件を満たす場合は、括弧内の額を支給する。

(イ) 加速化Aコース: 28万5千円(36万円)
 (ロ) 加速化Nコース
 a 常時雇用する労働者が300人を超えない事業主
 (a) 行動計画に盛り込んだ取組を実施した結果、管理職に占める女性労働者の割合が上昇し、
かつ、支給申請日において15%以上となった場合:47万5千円(60万円)
 (b) (a)に該当しない場合:28万5千円(36万円)
 b 常時雇用する労働者が301人以上の事業主:28万5千円(36万円)

ロ 助成金の支給は、1事業主当たり各コースそれぞれ1回限りとする。

出典:厚生労働省ホームページ

まとめ

両立支援等助成金制度は本来、女性の活躍推進のために設けられた制度であることは周知のとおりです。企業経営にとって補助を受けることは大切なことではありますが、どのようにすると職場で女性が働きやすく、女性の能力を活かし、輝ける舞台となるのかは計画や目標立案の内容に非常に大きく影響するでしょう。現状把握と分析をしっかりと行い、適切な計画立案や目標設定をしましょう。

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所 監修者岡 佳伸

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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