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過労死等防止対策推進法が求める事業主の責務と過労死防止対策のトレンド

2016年12月に報じられた某社の社員による過労自殺事件以来、相次いで全国各地の労基署による違法残業の摘発が報じられました。しかし、実は2014年に「過労死等防止対策推進法」が制定されています。

数年が経過していますが、依然として有効な過労死対策が徹底されているとは言いがたい現状です。今一度、本法および最近の過労死防止対策について学び直し、最悪の事態を招かないよう労務管理を徹底しましょう。

死亡したケースだけじゃない!過労死等の定義とは

過労死とは、業務によって過度な負荷がかかってしまった結果、従業員の命が失われてしまうことをいいます。過度な仕事量や拘束時間によって健康が損なわれ死亡に至ってしまったケース、過重な精神的・心理的な負荷によって自殺してしまったケース、これらはどちらも過労死に当てはまります。

また、命は失われなくとも、業務によって何らかの疾患が起きてしまった、あるいは精神障害が起きてしまった場合も含めて、「過労死等」と定義づけられています。

過労死等防止対策推進法に定める「大綱」とは?

過労死等の防止のため、2014年11月より「過労死等防止対策推進法」が施行されました。この中の「過労死等の防止のための対策に関する大綱」では、国や地方公共団体、事業主、そして労働者が取り組むべきことがまとめられています。

自治体が行うこととしては「労働環境や労働時間に関する相談体制の整備」や「メンタルヘルスケアやパワーハラスメントに関する周知・啓発」、事業主が行うこととしては「産業保健スタッフの活用」などが必要といわれています。

長時間労働の是正のために遵守すべき事項とは?

過労死等をゼロにするためには、長時間労働の是正が必要です。2016年12月に発表された「過労死等ゼロ」緊急対策では、新たな監督指導基準も示されました。

労働者の「実労働時間」と「自己申告した労働時間」に乖離がある場合は実態調査を行わなければならないこと、「使用者の明示または黙示の指示により自己啓発等の学習や研修受講をしていた時間」も労働時間として取り扱わなければならないことなどがまとめられています。

もし長時間労働が複数事業場で組織的に疑われる場合は、労働基準監督署からの監督指導が入り、さらに改善が認められない場合は企業名が公表されます。

「過労死等ゼロ」緊急対策で定める新たな取組みとは?

また、同対策では長時間労働の基準も変更されました。今までは月100時間超が長時間労働の基準だったのですが、新たな基準では月80時間超になっています。

その基準に抵触する労働者が10人以上または全労働者の4分の1以上、および労働基準法の32、35、37条に違反しているという状態、または過労死等・過労自殺等で労災支給が決定された件数が年間で2事業場にわたっている(こちらも3事業場から変更されています)場合、企業幹部指導や全社調査の対象となります。

そして、改善が見られない場合は、企業名の公表となります。なお、それ以上に長時間労働の実態が深刻な場合は、ただちに企業名が公表される可能性もあります。

「労働時間の適正把握ガイドライン」とは?

長時間労働をゼロにするためには、労働時間を適正に把握しなければなりません。先の緊急対策を受けて策定された「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によると、「労働者の始業・終業時刻を確認し、客観的な方法で記録する」ことが非常に重要とされています。

タイムカードのみに頼らず、自身の目で労働者の始業・終業時刻を確認することが望まれます。あるいは事業所によってはタイムカードを導入しておらず、労働時間が自己申告制になっているところもあるでしょう。このような場合は特に念入りに、申告された労働時間と実際の労働時間が合致しているかの確認が必要です。

また、記録された労働時間は3年間の保存が必要なので注意してください。もし、長時間労働などが見られる場合は、環境を改善しなければなりません。必要ならば実態調査や、労働時間等設定改善委員会といった労使協議組織も活用しましょう。

メンタルヘルス対策・パワハラ防止対策が強化される?

メンタルヘルス対策・パワハラ防止指導も強化されています。メンタルヘルスに関していえば、以前は労働衛生面からの指導が事業所単位で入るだけでした。

しかし、前記の緊急対策によって、企業の本社に指導が入るようになりました。労働者が精神障害に陥ってしまい、労災認定となったケースが複数発覚した場合に適用されます。特に、過労自殺(未遂含む)が発生してしまった場合は、改善計画の策定および継続的な指導(1年間)が行われます。

パワハラ防止対策に関しても、以前は「パワハラ対策導入マニュアル」を作成し、周知させていただけでした。しかし、前記の緊急対策ではこれに加えて、メンタルヘルス面で指導が入った企業には、さらに、パワハラ対策の必要性や予防・解決等のために必要な取組みを含めた指導が行われるようになっています。

まとめ

過労死等に関する制度はここ数年間で大きく変わってきました。過労死を防ぐためには、事業主自身がキチンと対策を行う必要があります。特に、労働時間や人間関係といった、労働環境の把握が非常に重要でしょう。

自分だけの判断ではなく、労働者の意見をしっかりと聞き入れた環境をつくっていくことが必要です。事業主として、過労死は絶対に避けなければなりません。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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