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ニュース厚生労働省は2024年10月、同年8月末時点における国民年金保険料の月次納付率について公表しました。この記事では、2024年現在の最終的な納付率や、都道府県別の納付状況、国民年金保険料の納付率向上が重要な理由などを解説します。
目次
2024年10月、厚生労働省は同年8月末時点の国民年金保険料の納付率を発表しました。国民年金保険料納付率は、国民年金制度の持続可能性を評価する上で重要な指標です。
今回の発表では「3年経過納付率」などの指標を用いて、各月の保険料が3年から1年経過後にどれだけ納められているかを示しています。3年経過納付率は最終的な納付状況を表す指標となり、2年経過納付率と1年経過納付率は納付状況の途中経過を示す指標となります。
3年経過納付率は83.0%となりました。これは、2021年8月分の保険料を納付する義務があった人のうち、83.0%の人が納付を完了したことを意味します。また、2年経過納付率は84.1%、1年経過納付率は82.0%となっており、前年同期と比較して3年経過納付率と2年経過納付率は上昇しています。
国民年金保険料納付率 | 対前年同期増減幅 | |
---|---|---|
3年経過納付率(2021年8月分保険料) | 83.0% | +0.5 |
2年経過納付率(2022年8月分保険料) | 84.1% | +3.8 |
1年経過納付率(2023年8月分保険料) | 82.0% | – |
国民年金保険料の納付率を都道府県別に見てみると、3年経過納付率が最も高いのは島根県で91.8%、最も低いのは大阪府で77.7%でした。なお、どの都道府県も前年比はプラスとなっており、最も伸びがあった都道府県は熊本県で+0.9ポイントとなっています。
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度です。老齢、障害、死亡といったリスクに備え、生活を支えるための重要なセーフティネットとしての役割を担っています。保険料の納付率は、この制度の安定的な運営に直結する重要な要素です。
納付率が低下すると、年金財政が悪化し、将来の年金給付額の減額や支給開始年齢の引き上げなど、国民生活に大きな影響を与える可能性があります。
特に、少子高齢化が進む日本では、現役世代の負担が増加する一方で、年金受給者は増加していく傾向にあります。そのため、国民年金制度を持続可能なものとするためには、保険料の納付率向上は早急な課題と言えるでしょう。
労働者にとっては、国民年金保険料の納付率向上が安心して老後に備えることができる環境づくりにつながります。年金制度に対する信頼感が高まり、モチベーション向上や企業の社会的責任を果たすことにもつながると考えられます。
メリット
・老後への不安軽減
・モチベーション向上
・企業の社会的責任の遂行
・労務問題の発生リスクの低減
デメリット
・経済的な負担が増加する可能性がある
企業の人事・労務担当者は、国民年金について従業員に直接説明する義務はありません。しかし、社会保険制度全体の一部として、制度の概要を把握しておくことが望ましいでしょう。また、もし経済的な理由などで国民年金保険料の納付が困難な従業員がいる場合、学生納付特例制度や若年者納付猶予制度など、従業員が利用できる制度を周知してあげましょう。
2024年8月末時点の国民年金保険料の最終的な納付率は83.0%でした。これは、前年同期と比較して+0.5ポイントとなっていますが、政府は今後も納付率向上のための対策を実施する必要があると言えるでしょう。
国民年金保険料の納付率が向上すると、日本国民一人ひとりの老後が支えられ、社会全体の安定にもつながると言われています。企業の人事・労務担当者は、年金制度についてあまり詳しくない従業員から質問や相談を受けた際は、制度の説明や具体的な支援策の提案などをおこないましょう。
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