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第三者行為災害届の記入例をわかりやすく解説。書き方、交通事故の念書には要注意!

第三者行為災害届の記入例をわかりやすく解説。書き方、交通事故の念書には要注意!

監修者:佐藤 安弘 ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所
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この記事でわかること・結論

  • 第三者行為災害届の提出書類について
  • 第三者行為災害届の記入例

業務中や通勤中に発生する第三者行為災害は、本来あってはならないことです。それだけに、人事労務担当者でも労災の保険給付手続きや、第三者行為災害届に手慣れている方は少ないでしょう。

そこで今回は、第三者行為災害が起こったときにまず提出すべき書類の内容や、記入にあたり注意すべき点について詳しく説明します。

労災の認定は所轄労働基準監督署長が行います。記入誤りや漏れがないようにしっかりと確認しましょう。

提出書類1.第三者行為災害届【記入例】

第三者行為災害で被災者等が労災保険給付を受ける場合、労災保険給付に関する請求書と同時、またはそれより先に、被災者が所属する事業所を管轄する労働基準監督署に、第三者行為災害届を1部提出する必要があります。

以下は、記入における注意点です。お手元に書類をご用意のうえ、ご確認ください。

<注意点>

2欄) ・建設事業の下請け労働者の場合、別紙で元請事業場名を添付し、被災時の所属事業場所在地を記入
3欄) ・「災害発生場所」は具体的に記入
4欄) ・第二当事者(相手方)が2名以上の場合は別紙にその旨を記入のうえ添付
・相手の所属事業場も書く
8欄・9欄) ・可能な範囲で詳しく記入
10欄) ・相手方の自賠責保険、任意保険などの内容を記入
・加入がない場合は「加入なし」と記入
11欄) ・「運用供用者」は自動車の所有者や運転者の使用者
13・14欄) ・被災状況は細かく記入する
・現場見取り図の範囲が広い場合、届その4に記入
※別紙で下書きしてから転記するとよい
15欄) ・過失割合について被災者自身の考えを記入
16欄) ・示談にあたっては労働基準監督署に相談のうえ所定の書類を出す
17欄) ・わかる範囲で記載する
・転医した場合はその旨も記入
18欄) ・損害賠償を受領していない場合は「受領なし」と記入
・業務災害の場合「事業主の証明」欄に記入

なお、「届その2」は、交通事故以外の場合提出不要です。

参考:厚生労働省『労災保険 第三者行為災害のしおり』P12~15

提出書類2.第三者行為災害届【添付書類】

労働基準監督署に第三者行為被害届を提出する際は、必要に応じて次の6つの書類を添付します。

<添付書類>

  1. 念書(兼同意書)
    ・必ず労災保険給付を受ける本人(※)が署名する
    念書のダウンロードはこちら>>
    ※被災者本人またはその遺族
  2. 「交通事故証明書」または「交通事故発生届(様式第3号)」
    ・原則として自動車安全運転センターで交付証明を受けた「交通事故証明書」を提出
    ・証明書の提出ができない場合は「交通事故発生届」を提出
    ・交通事故以外の災害で公的機関の証明書が得られるときはその証明書を提出
    交通事故発生届(様式第3号)のダウンロードはこちら>>
  3. 示談書の謄本
    ・示談が行われた場合に提出
  4. 自賠責保険等の損害賠償金等支払い証明書または保険金支払い通知書(写しでも可)
    ・仮渡金または賠償金を受けている場合に提出
  5. 死体検案書または死亡診断書(写しでも可)
    ・死亡の場合に提出
  6. 戸籍謄本(写しでも可)
    ・死亡の場合に提出

以上のうち、交通事故以外の災害では、原則として2と4の添付は不要です。また、被災者が生存している場合と死亡している場合で添付書類が違うため注意しましょう。

提出書類3.【念書】についての注意事項!

第三者行為災害における「念書(兼同意書)」は、不用意な示談により労災保険給付を受けられなくなる、あるいは受取済の労災保険給付を回収されるなどの損失を被ることを防ぐための重要書類です。

「念書(兼同意書)」には、次の注意事項が記載されています。

<注意事項>

  • 第三者行為災害における求償および控除に関すること
  • 自賠責保険等に対する請求権を有する場合で自賠責保険等による保険金支払いを先に受けることを希望した場合の取り扱いに関すること
  • 個人情報の取り扱いに関しての同意

「念書(兼同意書)」には、必ず労災保険給付を受ける本人が署名を行わなければなりません。そのため、担当者は労災給付を受ける本人に必ず注意事項の内容を熟読してもらい、その意味を十分理解したうえで署名するよう促すことが重要です。

提出書類4.第三者行為災害【報告書・記入例】

最後に、従業員が第三者行為災害の第三者(相手方)となった場合に必要となる手続きについて説明します。

労災保険給付の原因となる災害を発生させた第三者は、「第三者行為災害報告書」を提出することを労働基準監督署から求められます。

これは、第三者に関する事項や、災害発生状況、損害賠償金の支払い状況などを確認するうえで必要な書類です。提出を求められたらすみやかに提出しなければなりません。

その際に注意すべき点を以下に記載します。お手元に書類をご用意のうえご確認ください。

<注意点>

1欄) ・第三者が会社等に勤務している場合は勤務先の名前、住所、電話番号も記入
2欄) ・業務中だった場合は用務の内容を記入
3欄) ・どのような目的でどのようにして事故が発生したか、事故に至るまでの経緯や行動などを詳しく記入
4欄) ・現場見取り図には道路方向の地名、道路幅、横断歩道、区画線、接触点など詳しく記入
9欄) ・第三者が運転していた車両にかかる保険について詳しく記入
11欄) ・相手方の負傷についてわかる範囲で記入
12欄) ・事故の状況から判断した過失割合について、第三者本人の考えを記入
14欄) ・相手方に対して損害賠償の支払いがある場合はその内容も記入
・災害発生時に業務中であった場合は必ず事業主の証明(捺印も)を受ける

書類作成にあたっては、上記の点をよく確認しましょう。

参考:厚生労働省『労災保険 第三者行為災害のしおり』P16~19

【第三者行為災害届】まとめ

今回は、第三者災害が起こった際に必要となる書類や、記入方法について説明しました。

第三者行為災害に関する書類には多くの記入欄があり、添付する書類も災害の状況や被災者の生死により違います。書類の取り扱いにあたっては、そのことに重々注意する必要があります。

また、書類の不備があると労災保険の給付が遅れます。それを防ぐためにも、労働基準監督署に提出する前に必ずもう一度すべての書類を確認し、完全な形で提出できるように努めましょう。

主な参考文献一覧

⑥第三者行為災害のしおり12|厚生労働省

第三者行為災害届 業務災害・通勤災害|労災情報センター

第三者行為災害届(業務災害・通勤災害)|厚生労働省

第三者行為災害について|東京労働局

第三者行為災害のしおり|厚生労働省

ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所 監修者佐藤 安弘

1982年生まれ、東京都豊島区出身
2016年:社会保険労務士開業登録
2018年:特定社会保険労務士付記
2019年:行政書士登録
ワイエス行政書士・社会保険労務士事務所の特定社会保険労務士
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