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適正な労務管理が行き届いた職場づくりを支援する「経営労務診断」とは?

監修者: 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー
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近年、ブラック企業やホワイト企業といった言葉をよく耳にします。例年、新卒入社を迎える学生たちも、これらの言葉に敏感になっているといわれています。はたしてどこまで労務管理を怠っていればブラックで、逆に優れていればホワイトなのか、その基準を誰が証明するのか、疑問は尽きません。

そこでこの記事では、これらを労務管理の専門家である社会保険労務士とその団体が認定するサービスをご紹介します。

「経営労務診断サービス」の概要とそのメリットとは?

「経営労務診断サービス」とは、安心安全な取引が可能な企業であるか、快適な職場環境を有している企業であるかを、国家資格者である社会保険労務士(以下:社労士)が診断し、インターネット上で表明するものです。

このサービスは、社労士と民間団体である「全国社会保険労務士会連合会」、「一般財団法人日本情報経済社会推進協会(以下:JIPDEC)」が連携し、相互の高度な専門性や社会的信頼をベースとして行っています。

また、社労士による診断の結果、健全性が高いと判断された企業はJIPDECの「サイバー法人台帳ROBINS(以下:ROBINS)」に掲載され、健全経営企業として取引先、求職者に対して次の点を明示できます。

  • 人を大切にする企業である
  • 人事、労務面の健全性が高い企業である

ROBINSに掲載された企業情報はインターネット上で、誰もがいつでも無料で見られるようになっているため、企業はその健全性に加えて将来性を国内外にアピールすることができます。その結果、有為な人材の確保にもつながるというメリットが期待できます。

ちなみに、経営労務診断サービスを受けた企業には「経営労務診断適合シール」が配布され、このシールを健全性が高い企業としてのPRに利用できます。

「経営労務診断サービス」の流れとその費用は?

前項で説明したように企業にとっては、健全性と将来性をアピールできるというメリットのある経営労務診断サービスですが、その診断からROBINSへ掲載されるまでの流れは、次の順序で行われます。

  1. ROBINSに登録されている社労士のなかから診断を依頼する社労士を選定します
  2. 社労士による診断サービスが実施されます

    ・診断を受ける事業所(事業主)は事前に企業情報等を事前に準備する
    ・社労士による経営労務診断が行われる
    ・経営労務診断が終了後、診断の結果を基に社労士が事業所(事業主)に対して改善の助言を行う

  3. 診断結果により、法令にかかる部分をクリアされた場合のみROBINSに掲載され、適合した事業所(事業主)に対して経営労務診断適合シールが付与されます

また、気になる費用は以下のとおりとなっています。

経営労務診断プランの費用

ROBINS掲載費用 10,000円/年+経営労務診断にかかる費用

なお、具体的な費用については経営労務診断サービスを受ける前に企業の診断を行う社労士にご相談ください。

「経営労務診断サービス」は具体的にどう活かされる?

次は、経営労務診断サービスがどのように活かされているかについて、ある介護系企業の実例をもとに紹介します。

実例)自立型や介護型の施設運営を行うある介護系企業がその健全性を証明するため、顧問社労士の勧めで当時立ち上がったばかりのROBINSへの掲載を決めました。経営労務診断サービスにより健全な企業であると証明されることで、採用難や離職者の増加を防ぐことができると考えたからです。

福祉の分野では一般的に、その主な担い手である社会福祉法人にくらべ、株式会社による施設運営に対する信用度が低く見られていますが、この企業の場合、第三者の客観的な評価により企業の健全性を証明してくれるROBINSの存在と、顧問社労士による指導のおかげで、学校の就職担当者や求職者からも健全な企業としての信頼を集めつつあります。

今後は会社説明会や求職者との面談時、また現場の採用担当者である施設長などにもROBINSの掲載企業であること、またその意義を伝えることで、より有効に活用していくとしています。

ほかにもある?適正な労務管理への取り組みPRマーク

経営労務診断適合シールのほかにも、政府等で適正な労務管理への取り組みが認められた場合にPRとして使えるマークが多く存在します。この政府等が認定しているPRマークをご紹介します。

  • くるみん

    「子育てサポート企業」であることを証明するマーク(継続的な取組みを行う企業は「プラチナくるみん」と認定される)

  • えるぼし

    女性の活躍推進に関して、優れた取組みを行っている企業であることを証明するマーク

  • ユースエール

    若者の採用と育成に力を入れ、若者の雇用管理状況等が優れた従業員数が300人以下の中小企業であることを証明するマーク

  • 安全衛生優良企業

    労働者の安全、健康を確保するための対策に積極的で、高い安全衛生水準の維持と改善を行っている企業であることを証明するマーク

  • トモニン

    企業が仕事と介護の両立がしやすい職場環境の整備に取り組むことを示すマーク。

  • きらら

    企業や労使団体などが固定的な男女役割分担意識を起因とする、労働における男女格差の解消を目指して自主的、積極的に行う取り組みを行っている企業が利用できるマーク

上記はいずれも厚生労働大臣や厚生労働省が認定しています。

まとめ

最後に、今回ご紹介した経営労務診断サービスや取り組みについて、覚えておくと良いとされるポイントをまとめましたので、ご参考ください。
・経営労務診断サービスでは社労士とJIPDECとの連携で企業の健全性が証明される
・健全経営であることが認定された企業は「ROBINS」に掲載される
・費用の内訳は「ROBINS掲載料」と「社労士による診断料」
・ROBINS掲載企業は求職者や学校などの信頼を集めやすい
・経営労務診断サービスの他にも適正な労務管理への取り組み認定が行われている
企業はこれらのサービスや取り組み等を活用しつつ、健全な労務管理をめざしましょう。

監修者 社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー

社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー 代表社会保険労務士:
楚山 和司(そやま かずし) 千葉県出身
株式会社日本保育サービス 入社・転籍
株式会社JPホールディングス<東証一部上場> 退職
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