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労災事故発生!慌てずに対処するために知っておきたい労災保険とは

労災事故が発生!発生したときの対応と給付手続きまでを解説

監修者:岡 佳伸 社会保険労務士法人|岡佳伸事務所
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あなたの会社で労災事故が発生した場合、どのような対処が必要となるのでしょうか?事業者に求められるのは、何よりも労働者の生命の安全確保です。「うちは安全」と思っていても、万が一の事故がないとも限りません。

そんなときに慌てないためにも覚えておきたい「労災保険給付」の概要や給付のための手続き、「労災保険指定医療機関」などについて解説します。

労災事故が発生したらどうする?

労災保険指定医療機関にかかる

労災保険指定医療機関とは、都道府県労働局長が指定する病院および、診療所のことです。労災保険法の規定で療養の給付をおこなうものです。厚生労働省の労災保険指定医療機関検索サイトでも確認することができます。

現物給付=無料で治療や薬剤の給付を受けることができます。

労災事故が発生したら、療養の給付を受けている指定医療機関等を経由して、所轄の労働基準監督署長に「療養補償給付たる療養の給付請求書」(様式第5号)または「療養給付たる療養の給付請求書」(様式第16号の3)を提出しましょう。
通勤災害時に使用します。

労災保険指定医療機関以外の病院にかかった場合

また、労災保険指定医療機関以外の病院にかかった場合の流れは、以下のとおりです。

労災保険指定医療機関以外の病院にかかった場合

  1. 受診
    →診察費用は全額本人負担
  2. 証明依頼
    →医療機関側が療養の事実を証明し、療養の内訳及び金額を記入
  3. 療養補償給付、療養の費用の請求書を作成
  4. 所轄労働基準監督署へ提出

その後、業務上外認定や支払内容等の確定がなされ、支払いとなります。何より生命の安全の確保が大事ですので、いざというときは労災保険指定医療機関以外でも可能となっています。

そもそも労災保険とは?

労災保険(労働者災害補償保険)とは、労働者が業務上および通勤途中におけるケガや病気、死亡に対して労働者と死亡した労働者の遺族に対し、給付を行うための労働保険です。

労働者の業務中のケガ、病気などは労働基準法第8章で定めているとおり、労働者の治療費、休業と障害補償等は、使用者が負担しなければならない仕組みになっています。労災保険は、その負担するべき補償の保険なのです。

労災保険にあたる保障

  • 業務上または通勤途中のケガや病気に対しての医療保障
  • 労働者が業務上または通勤によってケガや病気となったために休業せざるを得ない状況になったときの生活保障
  • 労働者が業務上または通勤途中で死亡した場合、遺族に対して支給される遺族補償
  • 第三者行為災害の保障

労災保険の給付手続き方法

労働者が労働災害により負傷した場合は、休業補償給付などの労災保険給付の請求を行います。これは、所轄労働基準監督署長宛に行う必要があります。休業4日未満の労働災害については、労災保険ではなく使用者が労働者に対して休業補償を行うという決まりになっています。

請求方法は、労働基準監督署に備え付けてある請求書または厚生労働省「労災保険制度の概要、給付の請求手続等」よりダウンロードして提出します。

  1. 療養補償給付

    これは、診察を受けた医療機関が労災保険指定医療機関の場合に適用されます。 「療養補償給付たる療養の給付請求書」を医療機関に提出します。請求書は、医療機関から所轄働基準監督署長に提出されることになっています。

    労災保険指定医療機関以外の場合は、必要な療養の給付に要する費用の請求になります。(直接、医療機関に全額支払います。その金額を所轄労働基準監督署長に請求します)

  2. 休業補償給付

    「休業補償給付支給請求書」を所轄労働基準監督署長に提出します。労働災害によって休業した際は、4日目から休業補償給付が支給されます。

  3. その他の保険給付

    他にも障害補償給付、遺族補償給付、葬祭料および葬祭給付、傷病補償年金、介護補償給付、二次健康診断等給付が存在します。

    これらもすべて、所轄労働基準監督署長に請求書を提出します。

労働者の安全と健康、災害防止に努めよう

労働安全衛生法第3条には、以下のように定められています。


労総安全衛生法第3条

事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない


労災事故が発生したとき事業主の補償責任とは

労働者に労災事故が発生した際、事業主は労働基準法により補償責任を負うことになります。けれども、労災保険に加入していることで労災保険による給付が行われます。その結果、事業主は労働基準法上の補償責任を負わなくても良いということです。

ただ、労災によって労働者が休業する際、休業から1~3日目の休業補償は労災保険から給付がおりません。そのため、労働基準法で定める平均賃金の60%を事業主が労働者に支払う必要が出てきます。

そのほか、労働基準法上の補償責任とは別に、労災についての違反や不法行為等の不当な事由により、労働者から事業主に対して民法上の損害賠償請求が行われるケースも存在します。

また、労災事故が発生したことを労働基準監督署に報告しなかったり、虚偽の報告を行ったりした場合にも、刑事責任が問われることがあるほか、刑法上の業務上過失致死傷罪等に問われることもあります。

まとめ

いかがでしたか?事業場で労災事故が発生した場合に役立つ、労災保険についてご紹介しました。労災保険給付、労災保険指定医療機関についての知識をマスターしておくことで、いざというときにスムーズな対応ができるようになります。

労災保険給付制度には種類がたくさんありますので、その都度、その状況に合った制度を利用して、労働者や企業にとって気持ちよく物事が円滑に進むようにできると良いですね。

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所 監修者岡 佳伸

社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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