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BCP対策の業種別の事例5選|目的やポイントもあわせて解説

BCP対策の事例とは?業種別の事例と作成時の3つのポイントについて解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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災害が発生した場合でも倒産や事業縮小を防ぎ、事業を継続するためにはBCP対策を入念に講じておくことが重要です。

しかし、いざBCP対策を講じるとなっても、どこから手をつければいいのかわからないという企業や担当者も多いのではないでしょうか。

本記事では業種別のBCP対策の事例や、想定される災害について解説します。

BCP対策とは?

BCP対策とは?

BCPとは「Business Continuity Plan」の略称で、日本語では「事業継続計画」と訳されます。

また、地震・水害などの自然災害や感染症の流行などの緊急事態などをあらかじめ想定し、事業の普及・継続ができるように備えることを「BCP対策」と言います。

BCP対策は1970年代ごろから欧米で議論されてきました。

特に日本ではかつてから自然災害が多く、さらに新型コロナウイルスの流行によってBCP対策が改めて注目されています。

想定される主な災害

想定される主な災害

BCP対策で想定される主な災害は以下のとおりです。

想定される主な災害

  • 地震
  • 水害
  • 火災
  • 感染症流行

地震

地震は日本で最も想定すべき自然災害です。2011年に起きた東日本大震災がきっかけで数多くの企業が倒産しました。今後も南海トラフ地震をはじめ、大規模な地震が起こる可能性が高いと予想されています。地震による企業や事業への被害として、停電や水道・ガスなどの停止、物的資源やビル・工場の損傷、従業員の負傷などが挙げられます。

水害

水害とは洪水や高潮など、水による災害の総称です。ただし、一般的に津波は地震災害に含まれます。2018年の西日本豪雨や大規模な台風など、企業に大きな被害をもたらす水害が発生しました。地球温暖化の進行により大雨の頻度も増加しており、年々水害リスクが高まっています。水害による企業や事業への被害としては、建物内への浸水やサーバーネットワークのダウンなどが想定されます。

火災

火災は自然災害ではありませんが、どの企業でも起こり得る災害です。また、放火や延焼など人災リスクも考えられます。火災による企業や事業への被害として、物的資源や建物の消失、延焼によって発生する損害賠償責任などが挙げられます。

感染症流行

感染症への対策は新型コロナウイルスの流行によって、より重要視されるようになりました。新型コロナウイルスに関連した企業の倒産は、2022年10月時点で4,000件以上におよびます。感染症流行での企業や事業への被害としては、従業員の入院や自宅待機による事業の停止、外出⾃粛による業績の低下などが挙げられます。

業種別のBCP対策事例

業種別のBCP対策事例

業種別(製造業、建設業、販売業、卸売業、医療福祉業)のBCP対策事例を紹介します。他社の事例を参考に、自社への被害を最小限に留められるように対策しましょう。

製造業

製造業の場合は従業員の負傷のほかに、製造設備や資材や部品の損傷・損失が主なリスクです。設備が損傷すると一定期間製造が停止し、復旧までに大きなコストが発生します。

また、災害により流通が途絶えると製造に必要な資材や部品を調達できません。さらに製造業は工場の周辺に従業員の居住地が密集していることも多いため、同時に被災するリスクが高いと言えます。

そのため、設備の保護や在庫調整はもちろんのこと、災害が発生した際でも事業を継続するために取引先との協力体制を築くといった労働力の確保の取り組みも重要です。

製造業の主なBCP対策としては以下の事例が挙げられます。

建設業

建設業の場合は、建設工事をおこなう従業員の人命保護がなにより重要です。また、建設業は大規模な災害が発生した際、迅速に復旧作業にあたることが求められるため、より入念にBCP対策を講じる必要があります。

建設業の主なBCP対策としては以下の事例が挙げられます。

販売業

販売業の場合は、従業員と商品・在庫への被害や店舗の倒壊などが大きなリスクです。

また、自社が無事でも仕入先が被害を受けた際は商品を入荷できないため、事業を一定期間停止せざるを得ません。そのため、なるべく仕入先を分散してリスクを軽減することが重要です。

販売業の主なBCP対策としては以下の事例が挙げられます。

卸売業

卸売業は、従業員の負傷のほかに納品する商品の損傷や拠点・倉庫の倒壊、物流が途絶えるなどのリスクが想定されます。

また、資機材や燃料などを取り扱っている場合は、災害発生後の迅速な復旧に向けて安定した商品の供給が求められます。

卸売業の主なBCP対策としては以下の事例が挙げられます。

医療福祉業

医療福祉業は、入院患者・職員の安全確保や災害発生時における負傷者への対応が非常に重要です。

大規模な災害が発生した場合でも、必要最低限のリソースのなかで負傷者の生命維持が求められます。

また、災害拠点となることも考えられるため、施設の損壊・倒壊に対する対策も入念におこなう必要があります。

医療福祉業の主なBCP対策としては以下の事例が挙げられます。

事例から考えるBCP対策のポイント

事例から考えるBCP対策のポイント

BCP対策の事例から考える重要なポイントは以下の3点です。

BCP対策事例

  • 想定できるリスクを洗い出す
  • BCP対策の策定範囲を明確にする
  • BCP対策のフローを共有する

それぞれのポイントを押さえた上で、BCP対策を講じましょう。

想定できるリスクを洗い出す

災害が発生した際に考えられるリスクを洗い出します。

ただしすべてのリスクを入念に対策することは難しいため、事業を継続する上で優先すべきリスクに絞って対策することが大切です。

BCP対策の策定範囲を明確にする

BCP対策は全事業を策定範囲とすることが理想です。

しかし、規模が大きければ大きいほど、すべての事業を策定範囲とするのは困難であり、事業の復旧がスムーズに進まない恐れもあります。まずは収益が大きく、会社の存続において重要な中核事業にBCP対策の策定範囲を絞りましょう。

BCP対策のフローを共有する

BCP対策の優先順位や策定範囲を明確にした後は、具体的な対応をフロー図にまとめます。

考えられるフローとしては対策本部の設置・被害状況の確認・代替手段による事業継続などです。また、構築したフローは全従業員や取引先にも共有しましょう。

まとめ

業種別のBCP対策の事例や想定される災害、BCP対策を講じる上で重要なポイントについて解説しました。

BCP対策は緊急事態に陥った場合でも倒産や事業縮小を防ぎ、事業を継続するための重要な計画です。実際に被害が起きてからでは遅いため、BCP対策の事例を参考に具体的な被害を想定し、入念なBCP対策を講じましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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