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覚書に収入印紙は必要?貼るべき金額や注意点、不要なケースなども解説

覚書に収入印紙は必要?貼るべき金額や注意点、不要なケースなども解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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覚書は契約書の補完として作成されることが多い書類です。

基本的には契約書と同様の効果を発揮するため、覚書にも収入印紙を貼らなければならないケースもあります。

収入印紙を貼り忘れていると脱税とみなされ、罰則が科せられることもあるため注意が必要です。

本記事では覚書に収入印紙が必要となるケースや、収入印紙を貼る際の注意点などについて解説します。

覚書とは

覚書とは

覚書とは、一般的には忘れないようにするために書き留めておくこと、もしくは書き留めた文を指します。

しかし、ビジネスでは双方の合意内容を書き留めた書類を指すことが多いようです。また、契約書の一種として見られることもあります。

覚書には契約書作成後の修正点や契約の有効期限など、契約書を補完する内容を記載することが一般的です。この場合、覚書であっても契約書と同様の法的拘束力を有します。

念書との違い

覚書と似た書類に「念書」があります。念書とは当事者間で約束したことを記載した文書です。

役割は似ていますが、念書が覚書と大きく異なることは当事者のどちらかが一方的に作成する点があげられます。

そのため、念書は法的拘束力をもたないことが多く、あくまでも約束した内容を明確にするだけに留まります。

覚書を作成するメリット

契約書とは別に覚書を作成するメリットには、契約書の修正にかかる手間を省ける点があげられます。

仮に契約書を作成後に修正が必要な場合、すべて作り直すとなるとかなりの手間が必要です。

また、作り直した後はたとえ一部の変更のみでも念のために当事者双方が再度1から契約内容に目を通さなければなりません。

しかし覚書を作成することで、契約書自体は変更することなく契約内容を修正できるため、作成や確認の負担を軽減できます。

覚書の書き方

覚書は契約書の一種です。そのため、書き方も契約書とほとんど同様となります。

具体的に覚書に書くべき内容は以下のとおりです。

覚書に書くべき内容

  • 表題
  • 前文
  • 本文
  • 有効期間
  • 協議
  • 後文
  • 日付・署名・捺印

まず、なにに対する覚書なのかを明確にするため「◯◯に関する覚書」といったように表題を記載します。

次に契約の当事者を表す前文、契約内容を表す本文を記載し、必要に応じて契約の有効期限を記載します。なお、すでに交わしている契約書とは別に有効期限を定めることも可能です。

最後に覚書で取り決めのない事項を話し合いで定めることを表す協議、覚書を何通作成し、どのように保管するかを定める後文を記載します。

上記を記載した後は、契約書と同様に当事者がそれぞれ日付・署名・捺印をおこなえば覚書の作成は完了します。

収入印紙とは

収入印紙とは

収入印紙とは、印紙税や登録免許税などの税金や手数料、収納金を徴収するために発行される証票です。

領収書や契約書などの課税文書を作成した際は、収入印紙を貼ることで税金を納めます。収入印紙が必要となる課税文書は20種類存在します。

収入印紙が必要であったにもかかわらず貼らなかった場合は、過怠税として本来納める義務があった印紙税の3倍の金額を納税しなければなりません。

収入印紙が必要となるケース

覚書は内容によっては印紙税法が定める課税文書に該当し、収入印紙が必要です。課税文書は第1号文書から第20号文書まで存在します。

たとえば第1号文書は「不動産、鉱業権、無体財産権、船舶もしくは航空機または営業の譲渡に関する契約書」と定められており、作成した覚書が該当する場合は収入印紙が必要です。

課税文書の種類と契約金額ごとに印紙税額は変動し、定められた金額に応じた収入印紙を貼ることで納税できます。

覚書を作成する際は課税文書に該当しているかどうかを必ず確認し、該当していた場合は忘れずに収入印紙を貼りましょう。

なお、課税文書の種類や詳細については国税庁のWebサイトで確認できます。

覚書に貼る収入印紙の金額

覚書に貼る収入印紙の金額

覚書に貼る必要のある収入印紙の金額は、契約内容がどの課税文書に該当するかによって変動します。ここでは第1号文書と第2号文書について解説します。

第1号文書

第1号文書は不動産売買契約や土地賃貸借契約などに関わる覚書が該当します。

第1号文書の印紙税額は以下のとおりです。

記載された契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
10万円以下 200円
10万円を超え50万円以下 400円
50万円を超え100万円以下 1千円
100万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

第2号文書

第2号文書は「請負に関する契約書」が該当します。具体的には工事請負契約書や広告契約書などです。

第2号文書の印紙税額は以下のとおりです。

記載された契約金額 印紙税額
1万円未満 非課税
100万円以下 200円
100万円を超え200万円以下 400円
200万円を超え300万円以下 1千円
300万円を超え500万円以下 2千円
500万円を超え1千万円以下 1万円
1千万円を超え5千万円以下 2万円
5千万円を超え1億円以下 6万円
1億円を超え5億円以下 10万円
5億円を超え10億円以下 20万円
10億円を超え50億円以下 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

収入印紙が不要なケース

覚書を作成したからといって必ずしも収入印紙が必要なわけではありません。覚書で収入印紙が不要となるケースについて解説します。

非課税文書

覚書に契約金額が記載されていない、契約内容が委任契約であるなどの場合は非課税文書となるため収入印紙は不要です。

また、覚書の内容が課税文書に該当する場合でも、契約金額が1万円以下なら収入印紙を貼る必要はありません。

電子契約

印紙税はあくまでも紙の文書に発生する税金です。そのため、インターネット上で契約をおこなう電子契約の場合は印紙税が発生せず、収入印紙も必要ありません。

ただし電子契約であったとしても、署名や捺印のために覚書を印刷する場合は収入印紙が必要となることもあります。

覚書に収入印紙を貼る際の注意点

覚書に収入印紙を貼る際の注意点

覚書に収入印紙を貼る際に注意すべきポイントは以下のとおりです。

覚書に収入印紙を貼る際の注意点

  • 費用は連帯して負担する
  • 貼り忘れると脱税とみなされる

費用は連帯して負担する

収入印紙にかかる費用は、契約の当事者双方が連帯して負担する義務(連帯納税義務)があります。

ただし負担割合は定められていません。そのため、お互いの同意があれば負担割合を自由に決められます。

なお、民間企業同士の場合のみ、収入印紙にかかる費用を連帯して負担します。国や地方公共団体は印紙税の課税対象外であるため、どちらが覚書を作成したかによって費用の負担が異なります。

国や地方公共団体が覚書を作成した場合、収入印紙は不要です。しかし、民間企業が作成した場合は収入印紙が必要となり、費用はすべて負担しなければなりません。

貼り忘れると脱税とみなされる

収入印紙を貼る理由は、印紙税法に定められた印紙税を納税するためです。そのため、収入印紙を貼り忘れると脱税とみなされ、過怠税が課されます。

過怠税は基本的には本来納付すべきだった金額の3倍、自主的に貼り忘れを申し出た場合は1.1倍となります。

故意ではなかったとしても収入印紙を貼り忘れていると罰則の対象となるため、覚書や契約書を作成する際は注意しましょう。

まとめ

覚書に収入印紙が必要となるケースや、収入印紙を貼る際の注意点などについて解説しました。

覚書はビジネスにおいては契約書の一種としてみなされます。そのため内容や契約金額によっては収入印紙を貼る必要があります。

契約書の作成を担当している方は本記事を参考に、どのような覚書に収入印紙が必要になるのかを確認し、貼り忘れがないように注意しましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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