従業員が結婚した際の社会保険手続きと必要書類
- 氏名変更の場合
- 住所変更の場合
- 配偶者が扶養対象の場合
- 給与に変更がある場合
社会保険の加入条件を満たす従業員が結婚した際には人事・労務担当者は各種更新および変更手続きをおこなう必要があります。
結婚に伴い従業員データの更新や各種保険の変更手続きなどのさまざまな業務が必要です。とくに社会保険手続きがどうなるのか気になっている方も多いでしょう。
この記事では、従業員が結婚した際の主な変更業務である社会保険手続きについて解説します。
目次
従業員が結婚した際、社会保険手続きおよび変更届の提出が必要です。
しかし、マイナンバーと基礎年金番号が紐づけられている場合、氏名変更や住所変更の届出が原則不要とされています。
以下では、マイナンバーと基礎年金番号が紐づけられていない場合に必要な社会保険変更手続きについて、状況別に解説します。
従業員が結婚した際の社会保険手続きと必要書類
結婚にともない氏名変更が発生する場合、健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届を日本年金機構に提出します。
添付書類に健康保険被保険者証が必要であり、被扶養者がいる場合は被扶養者の健康保険被保険者証も必要です。
健康保険・厚生年金保険被保険者氏名変更(訂正)届のダウンロードはこちら>>
結婚にともない住所変更が発生する場合、健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届を日本年金機構に提出します。
健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届のダウンロードはこちら>>
結婚にともない配偶者が健康保険の被扶養者となる場合、健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)を日本年金機構に提出します。
提出する際は、続柄の確認のため、提出日から90日以内に発行された戸籍謄(抄)本または住民票の添付が必要です。
結婚にともなう通勤手当の変更や、配偶者手当、家族手当の支給が発生し、給与に変更がある場合、社会保険料の標準報酬月額が変わります。
その場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届を日本年金機構に提出しなければなりません。
健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届のダウンロードはこちら>>
従業員から結婚報告を受けた際、社会保険の変更手続きなどの各種手続きや、社内の人事管理に必要な情報を確認します。
従業員が結婚した際の確認事項
人事情報の更新や、各種手続きで必要となる入籍日について確認します。
また、福利厚生として結婚祝いを支給する際などにも入籍日の情報や、根拠となる書類の提出が必要となるため、準備をスムーズにおこなうためにも入籍日の確認をしておきましょう。
氏名(姓)の変更の有無について確認します。
氏名変更の有無は、各種手続きで必要となるほか、社内での呼称について「結婚後も旧姓のままを希望する」など、本人の希望を確認するために必要です。
結婚にともない、配偶者が扶養に入り、健康保険の被扶養者となる場合があります。
また、場合によっては配偶者のみではなく、子供や配偶者の親なども扶養対象となる場合もあるため確認が必要です。
結婚にともない、住所変更が発生するかどうか確認します。
住所変更が発生する場合、通勤手当の変更手続きも必要となるため、通勤経路を確認し、変更手続きをおこないましょう。
従業員が結婚した際、社会保険手続き以外にも労働基準法にかかわる「法定三帳簿」の更新や、結婚後の働き方の希望など、必要な手続きや確認事項があります。
従業員結婚時の社会保険手続き以外で注意すべき点
従業員が結婚した際、人事・労務関係の書類やデータの更新も必要です。
特に、労働基準法第107条および108条によりで作成および保管が義務づけられている「労働者名簿」、「賃金台帳」、「出勤簿」の「法定三帳簿」には保存期間(5年)が設けられています。
保存期間よりも前に破棄や紛失した場合や、必要な情報が記載されていない場合および更新を怠った場合、30万円以下の罰金が科されることもあるため注意が必要です。
また、各種保険の手続きで必要となる場合や、労働基準監督署の調査で提出を求められる場合があるため、管理・更新体制を整えておきましょう。
従業員から結婚の報告を受けた際、結婚後の働き方について本人の希望を確認します。
結婚後も長く働く意思のある場合は、従業員が末長く働き続けられるよう、状況に応じて体制を整えておく必要があります。
たとえば、従業員が結婚後、育児休暇を取る可能性に備えて、業務分担や人事配置および新規採用など、いつでも対応できるように体制を整えておくなど、企業側も配慮が必要です。
また、近年育児休暇は女性従業員だけでなく、男性従業員の取得も企業努力として推奨されています。
業務分担に大きな偏りがある場合や、引継ぎ体制が整っていない場合、従業員が育児休暇を取得した際、社内の労働生産性は大きく乱れることが予想されます。そのため、「誰がいつ育児休暇を取得しても、滞りなく業務遂行できる体制」を整えておきましょう。
さらに、結婚後の働き方について本人の希望を確認する際は、くれぐれも高圧的とならないように注意が必要です。
あくまでも本人の意思を尊重し、育児休暇を取らせたくないために、寿退社を推奨するような態度は、ハラスメントとして捉えられる可能性があります。
従業員が結婚した際、人事・労務担当者は各種変更手続きを、正確かつ迅速におこなわなければなりません。
多くの企業では、従業員が結婚したことを報告する際、(身上)異動届などを提出します。人事・労務担当者は、必要な情報をもとに人事管理システムなどの更新をおこない、社会保険をはじめ、必要な変更手続きをおこなっています。
必要な変更手続きを、より正確かつ効率的におこなうためには、クラウド上で管理可能な人事管理システムの活用が有効的です。
クラウド管理型の人事管理システムでは、従業員情報をデジタルデータで収集・管理可能なため、手入力による人為的ミスが減り、人事・労務担当者の作業負担も軽減されます。
社会保険の変更手続きを正確かつ効率的におこなうためには、健康保険・厚生年金保険被保険者住所変更届や健康保険被扶養者(異動)届(国民年金第3号被保険者関係届)などの各種帳票に対応したクラウド型人事管理システムを活用しましょう。
従業員が結婚した際、人事・労務担当者は、社会保険手続きのほか、あらゆる書類やデータの更新・変更手続きをおこなわなければなりません。
社会保険料や給与額に影響する場合もあるため、変更業務は正確かつ漏れのないようにおこなう必要があります。
各種変更業務を正確かつ効率的におこなうために、クラウド型の人事管理システムを活用しましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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