この記事でわかること・結論
- タレントマネジメントは効率的な人材育成と適切な配置を目指す
- 導入目的は人材育成、企業成長、適切な人材配置の実現
- 効果には経営目標達成、多くの人材活躍、キャリア開発促進がある
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人材・組織この記事でわかること・結論
昨今のグローバル化や価値観の多様化により、タレントマネジメントが注目されています。
タレントマネジメントは効率的な人材育成や適切な人材配置をおこなえるなどメリットが多いようですが、目的を見失うと悪影響をおよぼす恐れもあります。
本記事では、タレントマネジメントを導入する目的や期待できる効果などを紹介します。自社でタレントマネジメントの導入を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
タレントマネジメントとは、自社のタレント(従業員)がもっている能力やスキルをうまく活用するために、採用や配置、育成などを戦略的におこなう人事マネジメントです。
従業員一人ひとりのパフォーマンスの最大化を目指す人事戦略により、効率的な人材育成や経営目標の達成につながります。
タレントマネジメントの目的は、大きく分けて以下の3つです。
タレントマネジメントの目的
それぞれ詳しく見ていきましょう。
タレントマネジメントの目的のひとつは効率的な人材育成です。
タレントマネジメントは、まず従業員の能力やキャリアビジョンを把握することで始まります。従業員一人ひとりの情報を管理し、適切な業務経験を積ませることでより効率的な育成を目指します。
特に昨今では少子高齢化により労働人口が不足しており、組織として成長するためには必要な人材を自社で育成することが重要です。
そのため、自社が求めるスキルや人材像を明確にしたうえで、従業員の現状と理想のギャップを埋めるために、一人ひとりにあった手法で教育を施します。
タレントマネジメントの最終的な目的は、企業の継続的な成長です。
売上の向上や事業拡大などの経営目標を達成するために、人事戦略の面からサポートをおこないます。
優秀な人材の育成や適切な人材配置もタレントマネジメントの短期的な目的ではありますが、あくまで最終的には組織として継続的な成長を目指していることを覚えておきましょう。
長期的な目的を見失うと、「タレントマネジメントをおこなうことを目指す」という手段が目的と化してしまう恐れがあります。
従業員を適切に配置することも、タレントマネジメントの目的のひとつです。
企業の資産や顧客データと同じく、人材とその人材がもつ能力やスキルも重要な経営資源です。
いくら優秀な従業員でも、自分の能力やスキルを活かせる環境に配置しなければパフォーマンスを最大限発揮できません。
そのため、従業員の情報を一元管理しながら、戦略的に適切な配置を目指します。
タレントマネジメントは1990年代後半ごろにアメリカで生まれた用語と考えられています。
なぜ昨今、タレントマネジメントが注目されるようになったのでしょうか?
タレントマネジメントが注目される理由
上記3つの理由を解説します。
現在の日本は驚くべきスピードで少子高齢化が進んでいます。2010年には65歳以上の高齢者の割合が21%を超え「超高齢社会」を迎えました。
総務省の調査によると、2013年に15歳~64歳の生産年齢人口は7,901万人でしたが、2060年には4,418万人まで減少すると予測されています。
そのため、これまで日本に根づいてきた新卒一括採用や終身雇用制度が崩壊しつつあり、労働力の確保が難しい時代になりました。
そこで現在の社員を効率的に育成し、適切な人材配置をおこなうことを目指すタレントマネジメントが注目されています。
グローバル化や急速なテクノロジーの発達などにより、めまぐるしく変化するビジネス社会に対応するためにもタレントマネジメントが注目されています。
変化の早いビジネス社会に対応するためには、競争力をもった社員の育成と適切かつ効果的な人材配置が重要です。
自社の社員がもつ能力やスキルなどの情報を把握し、最大限パフォーマンスを発揮できるように育成や人材配置をおこなう必要性が高まっています。
一人ひとりの働き方や価値観が多様化していることも、タレントマネジメントが注目を浴びるようになった要因です。
正社員のみならず、時短勤務や在宅勤務、フリーランスなどのさまざまな働き方が一般的になり、優秀な人材を確保するためにも企業はそれぞれのニーズに応えることが急務になっています。
また昨今では政府の「働き方改革」の促進により、個人の価値観を大切にするワークライフバランスが求められています。
ワークライフバランスを実現したうえで組織として成長するためには、限られた時間のなかで最大限の生産性を発揮することが重要です。
タレントマネジメントを導入することによって、以下の効果を期待できます。
メリットも多くありますが、タレントマネジメントの実施によりデメリットも発生するため、起こり得る変化を事前に想定したうえで導入を検討しましょう。
タレントマネジメント導入による効果
タレントマネジメントとは経営目標の達成のために、人事戦略の面からバックアップする施策です。
貴重な経営資源である人材の能力やスキルを無駄にすることなく適切に配置し、自社が求める人物像に近づけるために育成していくことで経営目標の達成に近づきます。
そのため、タレントマネジメントを導入する際は、まず自社の経営目標を明確にしたうえで計画することが非常に重要です。
目標があいまいなまま、ただ育成や人材配置をおこなうだけでは、タレントマネジメントをおこなうことが優先される、つまり、手段が目的と化してしまいます。
無駄にコストだけを消費する恐れがあるため、タレントマネジメントを導入する際は実施する目標を明確にしたうえで計画しましょう。
タレントマネジメントを導入することで、これまで以上に多くの人材の活躍を期待できます。
従業員一人ひとりがもつ能力やスキル、業務経験などの情報を把握することで、個別管理を実現できるためです。
個別管理によって、その従業員が活躍できる環境に配置できるようになり、また適切な方法で育成をおこなえます。
その結果、これまで無駄にしていた人材リソースを効果的に活用でき、より多くの人材が活躍の機会を得られます。
従業員一人ひとりのキャリア開発を促進できることもタレントマネジメントがもたらす効果のひとつです。
従業員の情報を一元管理することで、今後必要となるスキルや社員が積みたいと思っている経験が可視化されます。
そのため、管理しているデータに基づいて計画的に従業員のキャリア開発をおこなえます。
実際にタレントマネジメントを導入する際の具体的なステップを解説します。
自社で導入を検討している場合は、以下のステップを参考にしてみてください。
タンレトマネジメントの導入ステップ
タレントマネジメントは経営陣や人事部のみで完結できるわけではなく、部署間の柔軟な連携が求められます。
そのため、導入する前にまずは「全体としての合意」や「役割の明確化」をおこなうことが重要です。
導入体制の整備をおこなうことではじめて効果的なタレントマネジメントを実施できます。
導入体制の整備が完了したあとは、タレントマネジメントを実施する目的と目標を設定します。
目的と目標を設定することで、達成するために必要な従業員のデータと具体的な施策が明確化できます。
目的と目標があいまいなまま導入してしまうと、手段が目的と化してしまう可能性があるため注意しましょう。
次におこなうべきことは人材情報の整備と分析です。
従業員のもつ能力やスキル、業務経験を一元管理することで、最大限パフォーマンスを発揮するために必要な施策が明らかとなります。
収集する人材情報はタレントマネジメントの目的や目標によって異なります。
収集した人材情報を分析したうえで、いよいよ人事戦略の計画と実行をおこないます。
設定した目標をもとに、現状足りていない人材やスキルなどを明確にし、ギャップを埋めるための施策を計画しましょう。
主な施策としては、人材の採用・育成・配置などが挙げられます。
タレントマネジメントの運用を終えたあとは、計画の振り返りと改善をおこないましょう。
一番確認しなければならないことは当初定めた目標と目的を達成できているかどうかです。
うまくいっていれば引き続き注力し、達成できていない場合は原因を洗い出したうえで施策の改善や方向転換を検討します。
今回は、タレントマネジメントを導入する目的や効果などを中心に紹介しました。
タレントマネジメントを導入する最大の目的は、経営目標の達成や自社の継続的な成長です。従業員の情報を管理し、適切な育成や人材配置をおこなうことで目的の達成が期待できます。
タレントマネジメントを導入する際は、あらかじめ目的や目標を明確にし、手段が目的化しないように注意してください。
本記事を参考にタレントマネジメントをうまく導入して、経営目標の達成のために効果的な人事戦略を実現しましょう。
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