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人材・組織人手不足が課題となっている現代社会で、限られた従業員数で高い成果が期待できる「タレントマネジメント」が注目されています。
多くの企業が導入しているタレントマネジメントですが、導入により、必ず成功するわけではありません。やり方を間違えてしまうと、かえってマイナス効果を生んでしまう恐れもあります。
本記事では、タレントマネジメントのメリットやデメリット、導入する手順などを紹介します。
タレントマネジメントの導入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
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目次
タレントマネジメントとは、従業員のスキルやノウハウを透明化して、人材配置・育成や採用などに活用する管理方法です。
対象人物は正社員だけでなく、パートタイムやアルバイトも含まれます。
もともとはアメリカ企業が生み出した管理方法ですが、2000年代後半に日本企業が本格的に取り入れ始めました。
タレントマネジメントを活用する目的は、各企業によって異なりますが、経営目標・課題の達成においては、基本的に共通しています。
従業員のスキルや経験を可視化して、「どの部署へ所属させるのが最適か」「どのような技術を伸ばしていけば業績が伸びるのか」などを考慮します。
そして、当初立てていた経営目標や、抱えていた課題をクリアしていくことが、タレントマネジメントを活用する目的です。
タレントマネジメントは短期的なものでなく、中・長期的な管理方法です。
PDCAサイクルを回して、自社で掲げた目的達成を目指しましょう。
タレントマネジメントと従来の人事システムとの違いは、「管理システムの活用目的」です。
従来の人事システムは、労務管理や勤怠管理、給与管理といった人事部の業務を効率化させることが目的となっていました。
一方のタレントマネジメントは、「経営目標・課題の達成」が目的であり、集約したデータを経営戦略に活用するためにおこなう一種の人材戦略といえます。
タレントマネジメントをおこなうメリットは、主に以下の4つが挙げられます。
各メリットについて順に見ていきましょう。
タレントマネジメントは、従業員のスキルやノウハウをデータとして集約して可視化します。そのため、スキルやノウハウに合った業務へ配置できるようになり、パフォーマンスの最大化につながります。
たとえば、営業部で伸び悩んでいた人材が、タレントマネジメントによって、他部署で潜在能力を発掘できることもあるかもしれません。
また、適材適所に配置するだけでなく、見込みのある人材を伸ばすべく、早めに中枢で経験を積ませるやり方も可能です。
エンゲージメントの向上が見込めるところも、タレントマネジメントのメリットです。
従業員にとって能力を発揮できる仕事ができれば、自ずとやる気が高まり、モチベーションの維持がしやすくなり、仕事に対する不満も少なくなります。
このようにエンゲージメントが向上することで、従業員の離職・転職や競合他社への人材流出防止はもちろん、定着率が上がるなど、さまざまな好影響を受けられます。
タレントマネジメントは、従業員のスキル・知識を可視化してスコアリングするため、人事評価を公平に下せます。
主観が混ざり、評価基準が不明確な人事評価の場合、従業員は不信感を覚え、エンゲージメントが低下する原因となります。最悪の場合、離職という選択をおこなう恐れがあるため、注意が必要です。
データにもとづいた人事評価であれば、従業員も納得しやすく、評価者もフィードバックしやすくなるでしょう。
タレントマネジメントで集約したデータを活用すれば、従業員の長所・短所が明確化されます。
発掘した長所や短所を直接マネジメントできるよう、従業員に適した教育プランを立てれば、効率的な人材育成が可能となります。
従業員のレベルと理想像とのギャップが埋まるキッカケとなるでしょう。
タレントマネジメントには、メリットが豊富である一方、以下のようなデメリットもあります。
タレントマネジメントは、人材情報のデータを集約して管理する必要があり、集めたデータを分析して人事戦略に活用することで、初めて意味を成します。
従業員のデータを管理するだけの場合、タレントマネジメントを運用できているとはいえません。実際、タレントマネジメントを導入したものの運用できなかった企業は多数あります。
タレントマネジメントの目的が「経営目標・課題の達成」から「データの管理」に変わらないよう注意しましょう。
タレントマネジメントを活用する際、基本的にシステムを導入します。
システム費は、イニシャルコストだけでなく、ランニングコストもかかります。
企業規模やシステムのサービス内容によってコストは上下しますが、クラウド型だと数十万円ほどかかり、オンプレミス型になると、数百万円~数千万円かかることもあります。
高額なタレントマネジメントを導入した分、費用対効果が見込めるよううまく運用しなければならないプレッシャーを感じるでしょう。
タレントマネジメントシステムは、現在数多くの企業で取り入れられています。
たとえば、auで有名な『KDDI株式会社』は、3年間の中期目標「ライフデザイン企業への変革」を目指し、社員力の向上に注力するべくタレントマネジメントシステムを導入。
従業員の配置や能力最大化の実現を目的に、採用や育成などを戦略的におこなう仕組み「タレントマネジメントプロセス」を構成しました。
従業員の能力だけでなく、組織パフォーマンスの最大化も目指しているそうです。
また、『東京電設サービス株式会社』も管理職育成を目的に、タレントマネジメントシステムを導入しています。
集約した社員データで傾向を把握し、ポテンシャルを踏まえた育成をしているとのことです。
タレントマネジメントシステムの導入・運用手順は、以下の手順が一般的です。
改善した内容を活用して、再度育成計画書を立案して実行する、PDCAサイクルを回しましょう。
常にタレントマネジメントを運用し続け、修正と改善を繰り返すことが、成功へと導く近道となります。
タレントマネジメントシステムは、さまざまな企業からリリースされています。
その中から自社に合ったタレントマネジメントシステムを選ぶ必要があります。
タレントマネジメントシステムを選ぶ際は、以下のポイントを押さえて比較することが重要です。
特に重要視したい項目は、「目的」です。
高性能なタレントマネジメントシステムを導入しても、目的に合っていなければ達成は見込めません。
「導入することで課題を解消できるか」を踏まえて、ほかのポイントも踏まえてタレントマネジメントシステムを選びましょう。
今回は、タレントマネジメントのメリットやデメリット、導入する手順などについて紹介しました。
タレントマネジメントとは、社員データを集めて可視化し、人材配置・育成や採用などの人事戦略に活用する管理方法です。
従業員を適材適所に配置できたり人事評価を公平にしやすかったりと、さまざまなメリットがあります。
数多くの企業が取り入れているタレントマネジメント。ぜひこの機会にシステムを導入して、タレントマネジメントを始めてみてはいかがでしょうか。