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年末調整の間違いを防ぐためのチェックポイントを紹介

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人事労務管理

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年末調整は、従業員一人ひとりに対して、資料を集め、それを確認して計算するという、神経を使う作業が続きます。

しかし、長期勤務の従業員になると、従業員本人はもちろん、慎重にチェックすべき担当者やその管理者も、「去年と一緒」という暗示にかかりやすくなります。そのほかにも注意すべき点がありますので、ここでおさらいし、確実に年末調整をおこないましょう。

配偶者や扶養家族・扶養親族の情報もきちんと確認

年末調整で確認すべきポイントとしては、まず従業員個人はもちろん、その配偶者や扶養家族・扶養親族についての情報も確認しなければなりません。従業員個人のことは事業所で把握することができても、その家族についてまで把握・管理するのは非常に難しいため、より念入りな確認が必要になります。

ポイントは「配偶者の収入」「扶養家族・扶養親族の生年月日」「子供の就職」などです。

特に従業員の配偶者の収入は、毎年しっかりと確認してください。収入が年間103万円 を超えると、配偶者控除の適用から外れるというイメージが強いかもしれませんが、場合によっては「配偶者特別控除」の適用が受けられる場合もあります。

配偶者特別控除は、従業員と配偶者の合計所得が1,000万円以下、配偶者の年間所得が38万円 超123万円 以下などの条件を満たすことで適用となります。従業員の配偶者の収入を確認し、控除の有無を念入りに確認してください。

扶養家族・扶養親族の情報確認を徹底

従業員の扶養家族、扶養親族の生年月日の確認を徹底しましょう。生年月日が変更されるということはまずないので、確認を怠ってしまうケースも多いのですが、それだけにミスが起こりやすい項目です。特に従業員が親を扶養している場合、親の生年月日の年号を間違えて記載してしまっているというケースもあります。

また2019年5月1日より、元号が新しくなります。少し先の話になりますが、新元号になってから生まれた子供を書類に記載するとき、間違えて平成生まれになっていないか注意しなければなりません。そのときに失敗しないためにも、今のうちからチェックポイントに加えておくことをおすすめします。

次に、従業員に子供がいる場合の、子供の就職です。従業員の子供が就職することになると、大抵の場合は従業員の扶養から外れることになります。子供の生年月日からいつ扶養から外れるかをあらかじめ予想しておきたいところですが、いつ就職するのかは従業員の子供の状況によって変わってくるものですので、難しいといえます。そのため、従業員自身から子供の就職状況について確認しておかなければなりません。

寡婦(寡夫)控除をチェックしましょう

寡婦(寡夫)というのは、配偶者と離婚あるいは死別し、その後再婚していない方のことをいいます。再婚しておらず、子供がおり、なおかつ合計所得金額が500万円以下の場合、寡婦控除が適用となるのですが、これが年末調整にもかかわっているため、きちんと従業員に確認しておきましょう。

そして、この寡婦控除は従業員に周知しておくべき事項でもあります。従業員自身が寡婦控除の制度を知らなかったというケースも多く、つい見落としがちになってしまうからです。離婚や死別はあまり喜ばしいことではありませんが、事業主として従業員をサポートするという意味でも、周知しておきましょう。

生命保険料控除区分についてよく確認を

従業員が生命保険料を納めている場合も、所得によって控除が受けられます。ただ注意しなければならないのが、生命保険料制度が「一般・介護・年金」の3つに区分されているということです。もし前年度と同じ保険会社と契約していても、その契約内容が変わっていれば、区分も変わっている場合もあります。

そして、区分が変わると、年末調整でも書類上で変更する必要がでてきます。

そのため、保険会社の名前、保険区分、保険料は入念にチェックしてください。もし従業員が契約内容を変更したら、その都度報告してもらうよう普段から声をかけておいても良いでしょう。

社会保険料について周知しておきましょう

配偶者や扶養家族が負担すべき社会保険料を従業員が負担している場合、社会保険料控除を受けることができます。ただし、控除の対象となるのは「その年度中に納付したもの」という点に気を付けなければなりません。

社会保険料では、給与からの天引き、口座振替、窓口での振り込み、電子納付など、支払い方法が多数あり、ただでさえ管理が大変です。

そのうえ、支払期限が翌月の末日まであるため(たとえば4月分の社会保険料は5月末日が期限となる)、まだその年度で保険料を納付していない月があるにもかかわらず、全額を集計してしまっているケースも多いです。

これらは、納付書に記載されている納付年月日、引き落としの場合は引き落とし年月日などが判断基準になります。ミスを防ぐためにも、社会保険料の納付書のコピーを提示してもらう、あるいは国税庁ホームページの「年末調整のしかた」や「給与所得者と年末調整」を読み込んでもらい、社会保険の年末調整に関して周知しておくなどの工夫が必要となります。

まとめ

年末調整の間違いを防ぐためには、多くの事項をチェックしなければなりません。従業員本人だけでなく、配偶者や子供を含めた扶養親族のことまでは、従業員の協力なしには把握しきれないでしょう。従業員本人のことはともかく、配偶者や子供に関しては、一番よくわかっているのは従業員本人のはずです。

そういった意味でも、年末調整には従業員の協力が必要不可欠ですので、普段から年末調整に関しての周知はきちんと行っておくべきでしょう。

加藤社会保険労務士事務所 社会保険労務士 | 加藤 一徹
人事・労務コンサルタント会社を経て食品メーカーにて労務担当者として勤務。
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