労務SEARCH(サーチ)

労務の課題を解決するメディア

Facebook twitter

メールマガジン無料登録

 

おすすめ記事やお役立ち資料をお届けします。

外国人と非居住者についての年末調整の取り扱い

人事労務管理

外国人と非居住者についての年末調整の取扱い取り扱い

経済のグローバル化が進む中で、外国人社員や日本に在住していない非居住者の社員とその扶養家族の対応が必要な会社は多くあります。原則、日本に居住しているのであれば日本人社員と税務上の取扱は変わりません。

しかし、日本に在住していなかったり(非居住者)、海外に住む扶養家族がいたりする場合など、取り扱いに悩むときも少なくないでしょう。今回は、外国人と非居住者についての年末調整の取り扱いについて解説します。

外国人も対象?年末調整の対象となる人とは

日本に居住しているなら、外国人社員も年末調整の対象になります。その年1年を通じて働いている人はもちろんのこと、その年の一部の期間日本で働いているという条件に当てはまれば、年末調整対象です。

年末調整の手続きは、基本的に日本に居住している日本人社員と変わりません。ただし、扶養家族の取り扱いや、年の途中で海外に居住することに なると、事務手続きが変わってきます。それらのケースについては後ほど改めて説明します。

日本に住んでいない外国人を雇用するとき

外国人雇用者

遠隔勤務で日本に住んでいない外国人社員(いわゆる非居住者)については、年末調整の手続きは不要です。非居住者は、給与を支払う際の源泉徴収のみ必要となります。源泉徴収税率は、20.42%です。

居住者か非居住者かの区分は、以下の2点で決まります。

  • 住所を国内に持っているか

→ 住所とは「個人の生活の本拠としている場所」

  • 国内に「住所」があり、 現在まで引き続き1年以上「居所」を有する

→ 居所とは「その人の生活の本拠ではないが、その人が実際に住んでいる場所」

源泉徴収のタイミングは、居住者の社員と同じく給与を支払う際に天引きします。徴収した税金は翌月10日までに「非居住者・外国法人の所得についての所得税徴収高計算書(納付書)」を添えて納付してください。

ただし、源泉徴収が発生する支払いを国外で行う場合、支払者が国内に拠点を構えているため国内にて支払うと見なす際は、事務手続きがあるため翌月末日まで納付期限に猶予が設けられています。納付先は、最寄りの金融機関、所轄税務署の窓口、e-TAXのいずれでも構いません。

租税条約に関する届出の提出とは

上記の源泉徴収(20.42%)は、租税条約に基づく届け出を行うと軽減される場合があります。給与を支払う非居住者が住んでいる国と日本との間に、租税条約が結ばれている場合がこれに当たります。租税条約に基づく税金の軽減・免除申請を行うには、非居住者等が会社に以下の書類を届けなくてはなりません。

  • 「租税条約に関する届出書」(様式は雇用形態などにより異なる)
  • 「租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書(様式11)」

これらの書類を受け取ったら、会社は納税地の所轄税務署長に提出することで、これまでの源泉徴収額からの差額分についての還付請求が可能です。

さらに、租税条約に特典条項がある場合は、上記に加えて、日本とその租税条約を結んでいる国に住んでいることを証明する書類を提出することで、特典条項の恩恵が受けられます。必要な書類は以下の通りです。

  • 特典条項に関する付表(様式17)
  • 居住者証明書(相手国における居住者であることを証明する書類)

その他、詳しくは下記をご覧ください。

No.2888 租税条約に関する届出書の提出(源泉徴収関係)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm

外国人の海外に住んでいる扶養家族の取り扱い

外国人の海外に住んでいる扶養家族

国外居住親族に関しては、さまざまな書類の提出が平成27年度から求められています。日本国内の年末調整を受ける場合は、以下の書類を提出しなければなりません。

  • 親族関係書類:国外居住親族が居住者の親族だと証明できる書類
  1. 戸籍附票のコピー または その他の国又は地方公共団体が発行した書類 および 国外居住親族の旅券のコピー
  2. 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類

国外居住親族の氏名、生年月日及び住所または居所の記載があるもの

  • 送金関係書類:受け取った給与を必要に応じて送金していることを証明できる書類
  1.  外国送金依頼書の控え
  2. クレジットカードの利用明細書

これらの書類を提出する時期は、年末調整時期に提出する年末調整書類別に微妙な違いがあります。

  • 「給与所得者の扶養控除等申告書」:書類提出時に親族関係書類、年末調整を受ける際に送金関係書類を提出
  • 「従たる給与についての扶養控除等申告書」または「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」:本書類提出時に親族関係書類のみ提出
  • 「給与所得者の配偶者控除等申告書」:本書類提出時に一緒に2書類を提出

そのほかにも細かい注意事項があるため、実際の事務手続き時には以下の書類を併せてご確認ください。

  • 国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

http://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/kokugaifuyou_leaflet.pdf

外国人が海外に転勤した際の年末調整

海外に転勤した際は、出国する日までに年末調整を実施します。年末調整の対象になる人は、その年の年末までに支払われる給料の予定額が2,000万円以下で、海外の転勤期間が1年以上の人です。年末調整の対象となる給料は、出国するまでに支払いの確定した分となります。

この時、年末調整で控除の対象となる社会保険料や生命保険料などは出国するまでに支払った額のみになりますが、扶養控除や配偶者控除は出国の時に満額控除されます。

その他の細かい取扱規定については、以下を参照してください。

No.2517 海外に転勤した人の源泉徴収

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2517.htm

まとめ

外国人と非居住者についての年末調整の取り扱い について説明しました。住所と居所の違い、海外に住んでいる扶養家族の対応など、少々複雑な部分がありますので、慎重に事務手続きを進めてください。特に、海外に扶養家族がいることを証明する書類の取りそろえは、時間がかかりますので早めに進めたいところです。今後はますますグローバル化が進み、こういった手続きが増えてきますので、ノウハウなどをしっかり蓄積してスムーズな手続きを目指しましょう。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

年末調整ステーションが一新しました!

労務SEARCHを運営するオフィスステーションにて、年末調整の情報をスマートフォンで収集でき、システム上で管理できる「年末調整ステーション」が一新しました。より使いやすく、より便利になった年末調整ステーションは、現在無料お試しのお申込みを受付中です。昨年収集していただいた情報を実際にご利用いただき、是非とも使用感を確かめてみてください。

1冊で労務手続きのすべてが分かるかんたんガイド

労務SEARCHを運営するオフィスステーションより、労務手続きのためのe-bookをお届けします。複数ある労務手続きをわかりやすく1冊にまとめたe-bookです。

いいね!していただくと毎日更新している最新の情報をお届けします