この記事でわかること・結論
- 交通費は、会社までの通勤にかかる費用や出張などの移動費などについて会社から支給される福利厚生のこと
- 交通費には全額支給、一部支給、一律支給の3パターンがある
- 交通費(通勤手当)は、交通手段に応じて一定の範囲内である場合は非課税
この記事でわかること・結論
会社員にはなじみのある交通費ですが、どのように支給額などが決められているのでしょうか。また、交通費にも種類がありますが区別して理解しておくと申請もスムーズにできるでしょう。
本記事では、交通費の基礎知識から移動手段ごとの決め方などを解説します。また、支給にもパターンがあるためそれぞれ紹介します。
目次
交通費は、会社までの通勤にかかる費用や出張などの移動費などについて会社から支給される福利厚生のことを指します。会社員であれば、毎月の定期券分が給料日に支給されているのを確認したことがあるでしょう。
実は交通費は法律などで定められているわけではなく、各会社によって決まりが異なっています。自分が所属している会社の交通費が気になる方は、就業規則などを確認しましょう。また、交通費には以下の支給パターンがあります。
言葉のとおり、通勤や出張にかかる交通費の全額分を会社から支給してもらえるパターンです。各従業員の分をすべて負担するため企業にとっては大きな支出になります。ですが、この全額支給を採用している企業は多いです。
交通費について、毎月や毎日の上限額を定めて一部支給するパターンです。交通費について変動性のある場合は採用されることが多いです。
定められた上限内で実際にかかった分だけ交通費支給となります。そして、上限分を超えた場合は従業員自身が負担することになります。
上記のように月の交通費上限が3万円である企業に属していて、実際にかかった交通費が3万2千円だった従業員がいる場合は、その従業員は2千円を自身で負担する必要があります。
この一部支給を採用するのは企業側にとってメリットが大きいですが、従業員側の目線では少し不安になるタイミングもあるでしょう。
一律支給とは、企業があらかじめ決めた金額を実際にかかった交通費に関係なく一律で全従業員へ支給するパターンです。基本的には「毎月○円」と決められることが多いです。
上記の場合で、その月に実際かかった交通費が1万円の場合でも3万円が支給されます。逆に3万2千円など超えてしまう場合は、一部支給と同様に授業員の負担になります。
企業にとっては従業員ごとに交通費が異なるわけではないため、実際に毎月支給するタイミングや給与明細の作成時にスムーズになるというメリットがあります。
交通費は法律での規定はなく、各会社が決めることができます。では実際に交通費を決める際はどのように計算したりするのでしょうか。ここでは使用している交通手段別で交通費の決め方・計算方法のパターンを解説します。
多くの会社員が該当する電車通勤・バス通勤の場合の交通費は、その合理的なルートに対して1カ月分の定期代が支給されるパターンが多いです。長期的に変動がないことがわかれば6カ月分をまとめて支給するケースもあります。
従業員に各自ルートを教えてもらい、自分で定期券を購入してもらいます。支給方法は現物で支給する会社もあれば、毎月の給与と一緒に各口座に振り込む会社もあります。
会社まで自転車で行ける距離に住んでいる従業員もいます。自転車はガソリンなど費用がかからないため、原則として交通費を支給されることはありません。
ですが、会社によっては「移動距離 × 決められた金額 × 勤務日数」で支給しているところもあります。「会社から○km以上離れている場合」などと決められていることが多いため珍しいパターンです。
自分の車で通勤している場合も、自転車と同様に原則として交通費を支給されることはありません。ですが、車の場合は自転車と違いガソリン代などがかかります。
こちらも会社によって異なりますが、ガソリン代や駐車場を借りている場合はその費用など負担している会社もあります。また、自転車同様に「移動距離 × 決められた金額 × 勤務日数」で支給している会社もあるでしょう。
交通費(通勤手当)は、交通手段に応じて一定の範囲内である場合は非課税となります。その限度額を「交通費(通勤手当)の非課税限度額」と呼びます。
国税庁の公式Webサイトで定められている非課税限度額をもとに、交通費を決める会社も多いです。ここでは交通手段ごとの非課税限度額をまとめたため確認しておきましょう。
交通手段 | 非課税限度額 | |
---|---|---|
公共交通機関又は 有料道路を利用している人 |
1カ月の合理的な運賃額 上限150,000円 |
|
自動車や自転車 | 片道55キロメートル以上 | 31,600円 |
片道45キロメートル以上 55キロメートル未満 |
28,000円 | |
片道35キロメートル以上 45キロメートル未満 |
24,400円 | |
片道25キロメートル以上 35キロメートル未満 |
18,700円 | |
片道15キロメートル以上 25キロメートル未満 |
12,900円 | |
片道10キロメートル以上 15キロメートル未満 |
7,100円 | |
片道2キロメートル以上 10キロメートル未満 |
4,200円 | |
片道2キロメートル未満 | 全額非課税 | |
公共交通機関の定期乗車券 | 1カ月の合理的な運賃額 上限150,000円 |
|
交通機関又は有料道路を利用かつ 交通用具も使用している人 |
1カ月の合理的な運賃額 上限150,000円 |
上記の非課税限度額を超えて支給した分は、給与として換算されるため場合によっては従業員の課税対象額が増えてしまうことになります。
公共交通機関等を利用している場合の合理的な運賃額とは、実費相当額通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券、高速代などの金額です。
たとえばパート・アルバイトの場合は本来の年間収入にプラスして、交通費(通勤手当)の超過分で103万円を超えてしまう場合は、所得税がかかってしまいます。支給する際はこの非課税限度額にも注意しましょう。
交通費は通勤費や出張費など、移動にかかる費用を会社から支給される金額のことを指します。法律で決められていないため福利厚生という形で会社がそのすべてを決めることができます。
そのため全額支給や一部支給など、会社によって支給パターンが異なります。従業員にとってデメリットがないように、交通費についてはしっかりと決めてあげましょう。
また、交通費は国税庁が定める交通手段ごとの「非課税限度額」に基づいて決める・計算するという会社も多いです。
超えて支給した交通費は給与として換算され、課税対象となるため処理なども大変になります。本記事のパターンを参考に、交通費をきちんと定めましょう。
30歳で税理士試験5科目合格(簿記論、財務諸表論、法人税、相続税、消費税)。複数の会計事務所に勤務し、個人商店から売上100億円企業まで税務顧問していた実績あり。短期的な目線で物事を判断せず、社長の頭の中をアウトプットし可視化することで、本当にやりたいことや、やるべきことを明確にし、実現するために実行支援を行っている。
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