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業務委託で勤怠報告させられる?労務管理の範囲や雇用契約との違い

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テレワークやリモートワークが一般化した昨今では、クラウドソーシングサービスなどを通じて、企業が業務を外注する機会が増えています。対面で稼働状況を把握できないため、勤怠報告を求める企業もあるかもしれません。

本記事では、業務委託における勤怠報告の可否や、労務管理項目の範囲、業務委託契約と雇用契約の違いについて解説します。

この記事でわかること

  • 業務委託での勤怠報告は違法となるのか
  • 業務委託ではどこまで労務管理できるのか
  • 業務委託の種類とは

業務委託での勤怠報告は困難

業務委託での勤怠報告は困難

業務委託契約を結んだ場合、受注者の働きぶりを管理するために、勤怠報告を求めることは原則としてできません。業務委託契約では、働き方について口出しする「指揮命令権」をもたないためです。

指揮命令権とは、雇用契約に基づいて、主従関係のある雇用主と労働者の間で認められた、雇用主が労働者に対して業務の指示・命令を出す権利です。業務委託契約では、業務上で必要となる範疇を超えて、指示・命令を出すことは認められていません。

業務委託契約書で指定できない労務管理項目

特に以下の項目を指定できないことを理解しておきましょう。

稼働時間・場所

受注者が勤務する時間や場所を指定することは基本的にできません。
たとえばWebディレクターにWebサイト制作を依頼した場合に、必要に応じて、打ち合わせの場所や時間を指定することはできます。または「オフィスのデスクを使って自由に作業して良い」と許可を出すことは可能です。
しかし、「平日10時〜18時はオフィスに来て作業してほしい」と稼働時間や場所を指定することはできません。

常駐した場合の勤務時間・場所は?

エンジニアなどの職種では、発注元に常駐して業務を進めることもあるでしょう。業務委託でありながら、社員とのコミュニケーションやオフィスの開放時間が限られているために、勤務先や勤務時間を指定することとなります。
業務委託契約で管理できる労務管理項目の範囲外となるのでしょうか?

常駐のエンジニアも含めて飲食店や運送会社など、業務上の都合により、勤務時間・場所を指定することもあるはずです。このことを業務委託契約書に示し、双方の合意が取れていれば、基本的に問題ないと考えられます。
しかし、「月曜〜水曜の10時〜17時は必ずオフィスに出社して業務に当たる」「自社の急なトラブルのために休日出勤を求める」などと、発注者の都合で勤務時間・場所を強制することはできません。

指揮命令

先ほど触れたとおり、指揮命令を下すことはできません。
具体的には、「他社の業務よりも自社の業務を優先してほしい」「オフィスを使ったついでにトイレを掃除してほしい」などと、業務の進め方や、直接業務と関係ない雑務について依頼できません。
業務委託契約では、委託先は依頼された成果物に対して責任を負いますが、そのプロセスは委託先の裁量で決められます。

専従性

あたかも自社の専従であるような働き方は求められません。
具体的には、「ある一社の拘束時間が長く、他社の業務を受けられない」「ある一社からの報酬割合が高く(または固定給で)、経済的に従属している」などの理由で、実質的に雇用契約とみなされる可能性が高まります。

業務委託契約では、受注者は取引先を自由に選べます。また、発注者が受注者の他の取引に対して口出しすることはできません。

業務委託契約とは

業務委託契約とは

そもそも「業務委託契約」とは、外部のフリーランスや企業に対し、業務の一部あるいはすべてを委託するための契約書です。

大きく3種類に分けられます。

請負契約

時間給ではなく、成果物に対し報酬を支払う契約です。たとえば、デザイナーに「1月20日までにポップ広告を制作してもらう」といった依頼をかけます。成果物が基準に満たない場合は、修正を依頼することも可能です。

委任契約

委任契約とは、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生じる契約をいいます(民放643条)。
法律行為を委任する契約で、請負契約のように成果物がなくとも報酬を支払います。たとえば、弁護士に訴訟代理を依頼したり、不動産業者に土地の売買を依頼するケースで用いられます。

準委任契約

準委任契約とは、法律行為でない事務の委託について準用する契約です(民放656条)。委任契約と同じく、成果物がなくとも報酬を支払います。この委任できる行為の範囲は広く、商品の宣伝販売やセミナーの講演、市場リサーチなどが当てはまります。

管理責任者の設置・役割

管理責任者の設置・役割

業務委託を進める際には、一般的に「管理責任者」を設置します。
管理責任者とは、発注側と受注側の間に入る、現場責任者です。業務委託契約では、発注側が直接、受注側に指示や命令することを禁止しています。これを代わりにおこなうのが、管理責任者の役割です。管理責任者は、現場の作業員が2名以上いた場合に兼任できます。

もし管理責任者を設置していないと、発注側が直接指示を出しているのと同義で、「偽装請負」に当たる恐れがあります。偽装請負に該当すれば、懲役・罰金などの罰則を科せられるため、注意しなければなりません。

業務委託契約と雇用契約の違い

具体的なポイントに絞って、2つの違いを解説します。
実質的には雇用契約にもかかわらず、業務委託契約を結んでいると、偽装請負という違法行為になるため注意してください。

指揮命令権

雇用契約では業務をおこなう時間・場所を指定、管理できますが、業務委託契約ではできません。

業務委託契約 雇用契約
・事業者同士の対等な契約であり、発注側は受注側への指揮命令権をもたない
・発注側からの指示や命令に対し、拒否することもできる
・業務をおこなう時間や場所を指定、管理できない
・雇用主と労働者という主従関係が発生し、雇用主は指揮命令権をもつ
・雇用主からの指示や命令には従わなければならない
・業務をおこなう時間や場所を指定、管理できる

労働基準法などの適用

業務委託契約 雇用契約
・受注側には労働法を適用されない
・1日8時間、週40時間の「法定労働時間」の制限がなく、残業代を支払う義務はない
・最低賃金はない
・発注側が健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料を支払う義務はない
・契約の打ち切りに対する失業保険や、業務中のけがに対する労働者災害保険はない
・労働者には労働法が適用される
・1日8時間、週40時間の「法定労働時間」があり、超えた時間の残業代を支払う
・最低賃金がある
・雇用主が健康保険料や厚生年金保険料などの社会保険料を一部負担する
・条件を満たした労働者には、有給休暇を付与する
・客観的・合理的な理由なく、相当な理由がなければ、労働者を解雇できない

報酬(対価)

業務委託契約 雇用契約
・成果物や業務遂行に対して、報酬を支払う ・成果に関係なく、労働時間に対して報酬を支払う

代替性

業務の代替性とは、他の人が代わりに業務をおこなえるかどうかを判断するものです。

業務委託契約 雇用契約
・代替性のない(他の人が代われない)業務は、業務委託契約に適している ・代替性のある(他の人が代われる)業務は、雇用契約に適している

器具・機械の負担

業務で使用するPCや工具などの負担範囲についてです。

業務委託契約 雇用契約
・発注側は器具・機械を負担せず、受注側が準備する ・雇用主が器具・機械を負担する

まとめ

業務委託では原則として勤怠報告をさせられません。さらに、稼働時間・場所や指揮命令、専従性などの項目で労務管理を求めることもできません。業務委託契約の定義を理解した上で、雇用契約と混同せず、適切な契約書を作成することが大切です。

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