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【社労士監修】会社都合の退職勧奨は違法?有効なケースと違法なケースを解説!

本当は解雇したいけれども、従業員の反発や労働基準監督署への通告、労働組合との交渉など、無用なトラブルも避けたい。そんな思いから、安易に退職勧奨を行っていませんか。

解雇や退職には、労働契約法や労働基準法、民法に定められたルールが存在します。本稿では、退職勧奨が有効となるケース、逆に違法となるケースについて、同法の条文にふれながら解説していきます。

解雇権濫用の禁止(労働契約法第16条・第17条)

労働契約法では、解雇に関して「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」には権利濫用になるとして、解雇が無効になることを示しています。解雇は、労働者の生活に与える影響も大きく、解雇に関しての紛争も増大傾向にありますのでよく理解しておく必要があります。

特に、期間を定めた契約では注意したいポイントがあります。契約期間中の解雇は、「やむを得ない事由がある場合」に該当しない場合には認められません。この「やむを得ない事由」は、その時々の内容により異なるものであり、個別具体的な事案に応じて判断されるものです。そして、使用者が契約期間を定める際には、契約期間についての配慮を行うことも重要です。

トラブル等の防止のために必要以上に短期間の有期労働契約を行い、それを反復して更新することは望ましくありません。また、必要以上に短期間、という部分も個別具体的な事案に応じて判断されるもので、特定の期間が定められているわけではありません。

解雇予告(労働基準法第20条・民法第627条ほか)

前述の通り、解雇は労働者の生活に与える影響が大きいものです。労働基準法第20条では、解雇のルールが2つ定められています。

まず1つ目は、少なくとも30日前に解雇の予告をする、というものです。2つ目は、解雇の通告と同時に「解雇予告手当」として30日分以上の平均賃金を支払うことにより即時解雇する、というものです。解雇の予告日数は、支払った解雇予告手当に相当する日数分だけ短縮することもできます。

ただし、「日々雇い入れられる者」「2カ月以内の期間を定めて使用される者」「季節的業務に4カ月以内の期間を定めて使用される者」「試の使用期間中の者」については、一定の場合を除き解雇予告または解雇予告手当が適用されません。

期間の定めのない雇用契約について、民法第627条では労働者側からいつでも解約の申し入れをすることができ、解約の申し入れがあった場合は、その後2週間(ただし就業規則等に別段の定めがあればそちらが優先)を経過すれば契約は終了する旨が定められています。

このとき、使用者の同意は必ずしも要しません。使用者からの解雇通告と労働者からの解約申し入れでは法の定めが異なりますので、こちらも確認しておく必要があるでしょう。

退職勧奨の違法性~勧奨基準の観点から~

繰り返し行われる半強制的な退職勧奨、いわゆる肩たたきは違法となります。複数かつ長期に渡る執拗な退職勧奨では、労働者の精神的自由の侵害などが認められ、損害賠償請求が認められたというケースもあります。

また、女性差別など法令に反する退職勧奨も違法となり、例えば婚姻や妊娠、出産を理由に退職や解雇をすることは違法な行為として、使用者側に損害賠償責任が生じることがあります。

ただし、経営上の必要性や使用者の対応によっては一概に違法とされるわけではありません。人件費削減の必要性に基づいての退職勧奨自体を責めることはできませんし、組合を通じて退職条件を示した際に、不誠実な対応や強引な交渉態度等が伺われない場合、使用者の対応が不法行為になるほど悪質とはいえない、と判断されたケースもあります。

退職勧奨の違法性~不利益取り扱いの観点から~

退職勧奨を行った後、労働者に退職を拒否された場合でも、労働者に対し不利益な措置を行うことは違法となります。

例えば、業務上の必要ない嫌がらせが目的で配置換えを行ったり、懲戒処分の正しい手続きを踏まずに懲戒処分として労働者の降格を行うのは違法となります。過去に、女性が違法な退職勧奨を拒否して以降、昇給が行われないことは違法な不利益取り扱いと判断され、損害賠償請求が認められたケースもあります。

一方で、満65歳となった労働者に退職勧奨を行い、これを拒否した労働者に対して賃上げを行わず、定額の一時金支給を定めた労働協約の規定は、労働者の高齢化による人件費の高騰や経営状況の悪化によるもので、動機や目的に不合理な点は認められないとして、不利益取り扱いには当たらないと判断されたケースもあります。

まとめ

今回は退職勧奨について解説しました。解雇は労働者の生活を一変させるもので、無用なトラブルを避けたいと思うあまり、安易な退職勧奨を行ってしまうと労働契約法や労働基準法に違反してしまうことがあります。

とはいえ、正しい手続きを踏んでの解雇や、経営上のやむを得ない事由によっての退職勧奨は一概に違法とはいえず、個別具体的に判断されるものです。法令の内容を理解するとともに、解雇の必要性を感じたときには、過去の判例や事例をよく確認することも必要でしょう。

社会保険労務士事務所そやま保育経営パートナー

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