「人事考課に納得がいかない」そのような話を耳にしたことはないでしょうか。人事考課は従業員の業績や会社に対する貢献度などを査定することを意味します。
これは、単なる成績にとどまらず、賃金や昇進にも影響を及ぼします。従業員の不満を避けるためにも、人事考課の意味や役割はしっかりと把握しなければいけません。この人事考課について解説します。
人事考課とは?その意味と役割
人事考課(査定)とは、簡単に言えば企業側が従業員に対して行う評価のことを指します。具体的には、
- 従業員の職務遂行能力
- 仕事に対する姿勢や勤務態度
- 勤務成績(業績)
以上3つの評価要素を重視されることが多く、企業ごとに細かく作成された評価項目に沿って評価が行われることもあります。実際の評価では、一般的に
- 従業員の直属の上司が行う一次評価
- さらに上位の上司が行う二次評価
- 役員等によって行われる部門間の調整
このような流れで行われています。
また、これらの評価は従業員の職務階級などの昇格や降格に大きな影響を与えます。さらに、直近の賞与にも影響を与えることから、人事考課は従業員にとって非常に重要なものであると認識されています。
次項からは、香川県丸亀市の人事考課制度をモデルに解説します。丸亀市のホームページより、「令和4年度丸亀市人事行政の運営等の状況について」をご参考ください。
人事考課の必要性と目的
人事考課は、単純に給与や賞与を決めるためのものではありません。従業員それぞれの仕事に対する意欲や能力を正当に評価し、その評価に対して適切な報酬を与えることによって、企業内でのモラルを高めることができます。
そして、評価を行うことは従業員の労働に対する意欲の向上や、仕事の効率化を目指していくことが期待できるのです。従業員自身が客観的に評価された自己の仕事ぶりを確認することにより、各々の問題を認識して、直すべきところは改善していく、良い部分についてはより向上させていくなどの、変化のための良いきっかけとなるでしょう。
また、一般従業員だけでなく、人事考課の評定を行う役職者についても、管理職としての管理能力の向上などを図ることができます。人事考課には、評価されるもの、評価するものの能力向上が期待できるのです。そして、公正な人事管理を行っていくための基礎資料となります。
何に対して人事考課を行うのか
人事考課は、従業員のマネジメントサイクルによって作られていきます。
このマネジメントサイクルは、人事考課期間の最初に具体的な目標を打ち立て、実行に移ります。その後、目標に対しての成果がどれくらいできたのか、どの程度達成できたのか反省を踏まえて、次の目標を打ち立てるという仕組みになっています。
また、このマネジメントサイクルのなかで、上席者は主に次のような内容を評価していきます。
評価内容
- 成績考課
仕事によって達成された成果
- 意欲、態度考課
仕事への取り組み姿勢、勤務態度
- 能力考課
仕事を進めていくうえでの知識、情報の取得度合いや実務経験の度合い
管理職の場合は、これらの考課に加えて管理統率力などを評価されることとなります。
人事考課実施に際した留意点
人事考課は公正であり、誰でも納得できるものでなければなりません。そのため、実施する際は次のようなことに気をつけながら行う必要があります。
気をつけるべきポイント
- 用意されている考課項目の基準や着眼点に基づいて評価を行う
- 日常の行動や目標に対する成果などの事実に対して考課を行い、想像や推定で評価をしない
- 派閥や学閥、信念や家庭事情などの人事考課と直接関係ないことを判断に加えない
- 思い込みや先入観で考課をしない
- あくまで人事考課期間における行動や成果により考課を行い、過去の実績や将来性で考課をしない
- 年齢や経歴、性別などの属人的な内容によって考課をしない
- 部下に対する義理や人情、好き嫌い等に左右されない
- 平等な考課を行い、比較考課をしない
- 減点化や極端化、無関心などの陥りやすい傾向に気をつける
- フィードバックの際は次のようなことに注意する
・個別に話し合う
・自己評価との差異のすり合わせを行う
・できるだけ考課項目だけでなく、考課区分で良かった点や努力すべき点、今後取り組んでほしい点を話し合う
・部下に納得しない点がある場合は、無下にせずしっかりと聞く
・面接はあくまでも結果の通知だけではなく、本人の仕事の取り組み姿勢の向上を目指すものであることを十分認識する
まとめ
人事考課は、従業員自身だけではなく、評価をつける役職者の管理能力向上にも役立つ制度だということが分かりました。しかし、評価をつける人の先入観や職場内での雰囲気によって、不公平な評価が出来上がってしまう可能性も見過ごすわけにはいきません。
公正で適切な人事考課制度を作り上げ、不満が出ないような考課を行っていくことで、従業員や役職側の能力や意欲を向上させることが期待できます。結果的に会社の業績アップにもつながりますので、経営者としても適正な判断を下せるように整備していきましょう。