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賃金支払基礎日数とは|計算方法について解説

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企業の労務管理において、一般的に賃金計算担当者は、社員の賃金計算のみではなく、「失業保険」や「社会保険」の手続きをおこなう必要があります。
「失業保険」や「社会保険」の手続きの際に用いられる労働日数が「賃金支払基礎日数」です。
賃金支払基礎日数の定義や計算方法について解説します。

監修者
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賃金支払基礎日数とは

賃金支払基礎日数とは

賃金支払基礎日数とは、賃金や報酬などを算出する際に用いられる、支払い対象となる日数を指します。

賃金支払基礎日数計算が用いられる場面

賃金支払基礎日数は、以下の2つの場面で用いられます。

・雇用(失業)保険を受給するとき

雇用(失業)保険の支給要件の基準を満たしているか確認する際に、賃金支払基礎日数が用いられます。
基本(失業)手当は、離職した日以前の2年間に、「被保険者期間」が通算して12カ月以上あることが支給要件とされており、この基準となる「被保険者期間」を算定する際に賃金支払基礎日数が必要です。
賃金支払の基礎となる日数が11日以上ある月、または賃金支払の基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1カ月として計算します。

・「標準報酬月額」を求めるとき

社会保険(健康保険・厚生年金保険)の保険料や保険給付額を計算する際に「上旬報酬月額」が必要です。この「上旬報酬月額」を求める際に、賃金支払基礎日数が用いられます。
標準報酬月額は、4月から6月までの、(賃金)支払基礎日数が17日以上ある3カ月の平均が用いられ、17日未満の月がある場合は、該当月を除いて標準報酬月額が決定されます。

離職票における賃金支払基礎日数と基礎日数の違い

「離職票」(雇用保険被保険者離職票)を作成する際、「賃金支払基礎日数」(9欄)と「基礎日数」(11欄)の2つの項目があり、両者の違いについて疑問を抱く場合も多いでしょう。

完全月給制の場合、「被保険者対象期間」と「賃金支払対象期間」の土日を含めた全日数を記載します。
完全月給制以外の場合は、「被保険者対象期間」と「賃金支払対象期間」において、賃金支払の対象となった日数を記載します。

賃金支払方法別の賃金支払基礎日数の数え方

賃金支払方法別の賃金支払基礎日数の数え方

賃金支払基礎日数は、賃金支払方法別に数え方が異なり、以下の3パターンに分けられます。

完全月給制の賃金支払基礎日数の数え方

「完全月給制」とは、1カ月ごとに定額の賃金を支払う賃金支払方法です。
欠勤や遅刻早退が発生した場合においても満額が支払われ、所定労働時間を超えた労働時間分は残業が発生します。

完全月給制では、「暦日数」の30日または31日を賃金基礎日数として数えます。

完全月給制の賃金支払基礎日数の数え方の例

  • 4月20日から5月20日までの期間の場合 → 賃金支払基礎日数は30日
  • 5月20日から6月20日までの期間の場合 → 賃金支払基礎日数は31日

日給月給制の賃金支払基礎日数の数え方

「日給月給制」とは、賃金の支払対象期間は1カ月単位ですが、完全月給制と異なり「1日」を賃金計算単位とします。そのため、欠勤や遅刻早退が発生した場合は、その日数に応じて減額が必要です。

日給月給制では、一般的に就業規則や賃金規程などで定めた日数から、欠勤日数を引いて数えられますが、日給月給制の数え方は企業によって異なります。年平均の月所定労働日数に応じて数える場合もあります。

日給月給制の賃金支払基礎日数の数え方の例

  • 基礎となる労働日数を22日とし、計算対象月の1カ月間に2日欠勤した場合 → 賃金支払基礎日数は20日

時給制・日給制の賃金支払基礎日数の数え方

「時給制・日給制」とは、「1日あたり」または「1時間あたり」の単価にもとづき、賃金を支払う賃金支払方法です。

時給制・日給制の場合、労働日数・時間がそのまま賃金支払基礎日数となります。

賃金支払基礎日数計算における注意点

賃金支払基礎日数を計算する際にはいくつか注意点があります。

土日祝日について

賃金支払基礎日数の計算における土日祝日の扱い方は、賃金計算において日にち単位、または月・週単位で数えるかによって異なります。
日給制(時給制)の場合、土日祝日に働いた場合のみ、土日祝日分も労働日数として含められます。
しかし、月・週単位の場合は、土日祝日の労働有無にかかわらず、暦日数として数えるなど違いがある点を留意しましょう。

特別休暇について

有給休暇や慶弔休暇などの「特別休暇」は、賃金支払基礎日数に数えられます。
特別休暇は「賃金が支払われる休暇」です。そのため、労働の有無にかかわらず、賃金支払の対象日(対象期間)であれば、賃金支払基礎日数として算入される点に注意しましょう。

休職・産休期間について

休職や産休期間における賃金支払基礎日数の数え方には注意が必要です。
業務に関係のない病気やけが、事故などによって、一定期間休職する場合、賃金の支払がないため、該当期間は賃金支払基礎日数に含まれません。
また、産休期間も賃金支払基礎日数として数えられないため、注意しましょう。

所定労働日数(時間)について

欠勤や遅刻・早退により、労働時間が所定労働日数(時間)に満たない場合、1時間でも勤務をしていれば、給与支払基礎日数は「1日」として数えられます。

途中入社社員について

中途採用など、賃金算定期間の途中で入社した社員における、賃金支払基礎日数の数え方には注意が必要です。
一般的に、途中入社社員の初月給与は、日割り計算されます。
そのため、賃金計算の締め日によっては、たとえ4月1日入社であっても、初月(4月分)給与は、全額支払われません。
この場合、初月(4月)の(賃金)支払基礎日数が17日以上であったとしても、算定対象月には含めず、初月(4月)を除いた月を算定対象月として計算します。

短時間労働社員について

パートタイムなど、短時間労働社員の場合、労働日数に変動があるため、「標準報酬月額」を求める際の賃金支払基礎日数の捉え方に注意が必要です。

先述したように、標準報酬月額を算出する際は、4月から6月までの、(賃金)支払基礎日数が17日以上ある3カ月の平均が用いられ、17日未満の月がある場合は、該当月を除いて標準報酬月額が決定されます。

短時間労働者の場合、(賃金)支払基礎日数が17日以上の月がある場合は、上記のように計算されますが、4月から6月の3カ月、いずれも17日未満の場合は、(賃金)支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬平均を用いて計算します。

まとめ

まとめ

賃金支払基礎日数は、「雇用(失業)保険」受給時や社会保険の「標準報酬月額」を求める際に必要となる基準日数です。
賃金支払基礎日数により、社員の失業給付や社会保険料の金額が決定されるため、ミスなく適切に計算する必要があります。

しかし、賃金支払基礎日数は、賃金支払方法や、休暇の取り扱いなどによって算出方法が異なるため、計算が複雑です。

賃金支払基礎日数を求める際は、「給与計算」ソフトなど、自動で賃金支払基礎日数を計算できるツールを活用し、業務効率化を図るとよいでしょう。

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