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年末調整の還付金はいつ・いくら・どうやってもらえる?仕組みを徹底解説

年末調整の還付金はいつ・いくら・どうやってもらえる?仕組みを徹底解説

監修者:労務SEARCH 編集部
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毎年の源泉所得税は概算であるため、税金の過不足が発生します。その精算を年末調整でおこない、税金を払い過ぎていた場合は還付金としてお金が返還されます。

労働者であれば年末調整で還付金が受け取れる時期や、受け取り方は覚えておきたいところです。また、控除など自身での申告が必要なケースもあるため知っておくと良いでしょう。

この記事では年末調整における還付金の基本から、受け取れる金額と支払日、受け取り方などを解説します。

年末調整の還付金とは?

年末調整の還付金とは

給与所得者がもらう給与から、毎月差し引いていた税金に過不足がないかを確認するのが年末調整です。

年末調整で仮に税金を多く支払い過ぎていたということが分かれば、その人には還付金として返還されます。逆に徴収された税金では不足しているという場合は、追加徴収になります。

給与所得者に関する納税は、この年末調整で完了します。そのため、会社の担当者にとっては大切な業務になります。会社側が勝手にやってくれる印象がありますが、年末調整は自身の税金に関することであるため給与所得者側もちゃんと理解しておきましょう。

ちなみに給与所得者でも、副業収入がある方や医療費控除など利用したい方は確定申告が必要です。確定申告は、年末調整とは別であり自身で対応しなければならないため覚えておきましょう。

年末調整の還付金はなぜ発生する?

年末調整の還付金は、源泉徴収した所得税が超過している場合に発生します。では、そもそもなぜ税金の支払い過ぎが起こり、還付金が発生するのでしょうか。

実は、源泉徴収した税額は実際の支払給与から算出した税額と一致しないのが通常であり、その理由には以下3つがあります。

会社側は源泉徴収税額表というものを参考に、所得税などを差し引いて給与を支払いますが、給与変動までは想定して計算していません。そのため、年の途中で給与の変更などがある方は、源泉徴収税と年末調整で計算された額に差分が出ます。

また、生命保険料控除地震保険料控除などの保険料控除を利用する場合は、1年間の給与額が正式に決まる年末調整時に申告をするため同様に差分が出ます。

まとめると、年の途中で給与や控除対象の変動がある場合や、各個人が加入している保険の控除を年末調整時に申告する場合は源泉徴収税との差分が出ます。そして対象者には還付金として返還されます。

12月で年間の給与額が確定してから変動分や控除分を考慮していき、差分を算出するということです。では、年末調整の還付金はいつごろもらえるのでしょうか。次の項で説明します。

年末調整の還付金はいつもらえる?

年末調整の還付金はいつもらえる?

年末調整で実際の所得税額を算出した後、払い過ぎということであれば還付金が支払われます。還付金の支払いがいつになるのかは会社の方針によって異なりますが、以下2つのパターンであることが多いです。

基本的には年末調整をした12月中に給与振込と一緒に返還する、という方針を取っている会社が多い印象です。年明けまで伸ばさずに年内で完了したいという目的や、給与と一緒に振り込むことで手数料を削減させるという目的もあります。

対して、還付金の返還が遅い場合は1月中旬から下旬に支払われます。年末調整で確定した所得税額を、年明けに変更する可能性がある場合などを考慮して1月中に還付金を支払う会社もあります。

たとえば、配偶者控除を利用したいけど配偶者の所得額が年末で確定しないときなどは、年末調整で還付金を決めてもその後控除額の修正が入るため最初から1月支払いに設定するということです。

また、会社は1月中に年末調整を済まして、税務署へ書類を提出しなければなりません。そのため、年末調整で算出した還付金の支払いは遅くても1月中にはされるでしょう。

年末調整の還付金はいくらもらえる?還付金の計算方法

戻ってくる金額は?還付金の計算方法

年末調整で還付金があると分かれば、どのくらい返還されるのかが気になるところです。ここでは、還付金の計算方法について例を用いて解説します。

実際の計算は、源泉徴収済みの所得税額と年調年税額(本当に納めるべき税額)を比較しておこないます。「源泉徴収済みの所得税額」と「年調年税額」の確認・計算方法は、それぞれ下記のとおりです。

源泉徴収済み所得税額
給与をもとに作成された源泉徴収簿に記載
年調年税額の計算
1. 給与 – 給与所得控除 – 所得控除額 =課税所得
2. 課税所得 × 所得に応じた税率 = 所得税
3. 所得税 × 2.1% = 特別復興所得税
4. 所得税 + 特別復興所得税 = 年調年税額

上記を参考に、以下の条件の会社員を例に還付金を計算してみましょう。

まず、源泉徴収簿に記載されている「給与所得控除」後の給与収入を確認します。今回の場合は340万円です。次に上記のなかで所得控除にあたる、

  • 社会保険料控除など72万円
  • 生命保険料控除8万1,000円
  • 配偶者控除38万円
  • 基礎控除48万円

の合計である166万1,000円を340万円から差し引き「課税所得173万9,000円」を算出します。

そして課税所得に税率をかけて所得税を計算します。課税所得である173万9,000円に適用するのは「税率5%・控除額0円」であるため、計算すると所得税が8万6,950円になります。

最後に別途課される特別復興所得税を合計します。特別復興所得税の求め方は「所得税 × 2.1%」であるため、計算すると所得税および特別復興所得税の合計は8万8,776円であり、この額が年調年税額となります。

過不足を確かめてみましょう。年間で源泉徴収されたのは10万8,900円であり、計算で出した年調年税額は8万8,776円でした。今回は払い過ぎに該当するため、差分である2万124円が還付金として返還されます。

このようにして年末調整では還付金を計算します。ほかにも控除がある場合や、年収額による税率が異なる場合はより複雑になっていきます。

年末調整の還付金の受け取り方

年末調整の還付金の受け取り方

年末調整の還付金は、所属する会社によって受け取り方が異なります。給与所得者の還付金受け取りについて2つのパターンがあります。

給与振込と一緒に受け取る

還付金の支払日でも少し説明したように、12月や1月の給与と一緒に振り込まれるパターンが多いです。会社によっては給与と一緒ではなく、あとから登録銀行口座へ振込ということもありますが手数料を考慮すれば給与と一緒に振込が好ましいでしょう。

通常給与に還付金がプラスして振り込まれるのは早くても12月分、遅くても翌年1月分の給与になります。気になる方は自身が所属している会社に確認しておきましょう。

現金手渡しで受け取る

実は還付金の返還方法には、明確な規定がありません。口座振込が必須ではないため、現金手渡しで還付金を返還している会社もあります。場合によっては、従業員が指定口座振込と現金手渡しを選択できるようにしているケースもあるそうです。

まとめ

年末調整の還付金は、所得税を年間で払い過ぎていた場合に返還される仕組みのことをいいます。年末調整では、実際に毎月差し引かれていた所得税と、年間給与所得が確定してから算出した所得税を比較して過不足がないかを確認します。

差分によって還付金として返還されたり、追加徴収になったりします。年末調整で差分が出る理由は、主に給与変動や各種控除額などの影響が原因です。

年末調整の還付金は、給与所得者個人によって異なります。自身の所得税に関する内容であるため、不明点があればしっかりと経理担当者に確認を取りましょう。

監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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