2017年1月は新たに施行される労働社会保険諸法令の改正が目白押しでした。特に、男女雇用機会均等法と育児・介護休業法については大きな改正がありました。就業規則や諸規程の改訂など、みなさまの職場ではもれなく対応、お済みでしょうか。情報を見逃してしまった方、情報を十分に調べる余裕のない方など、この記事を読めば要対応項目とそのポイントが一目瞭然です。それでは早速チェックしていきましょう。
目次
今回の法改正において、いわゆる「マタハラ」「パタハラ」について次のように定義され、すべての事業主にその防止措置が義務付けられました。
女性についてはこの両者を総じて「マタニティハラスメント」と、男性については後者を指して「パタニティハラスメント」と呼んでいます(ただし、業務上の必要性にもとづく言動については防止措置の対象外)。
なお、今回の改正ではセクハラの解釈にあたり、LGBTへの配慮として、被害者の性的指向または性自認にかかわらず対象とする旨の通達が発せられていることにも注目です。
事業主が当該防止措置を講じるにあたって、まず確認すべきなのは、厚生労働省より2つの指針です。防止措置の第一歩として「事業主の方針の明確化及びその周知・啓発」の重要性について触れており、特に次の2つのポイントが指摘されています。
マタハラ・パタハラを早期に発見するための二次予防策として指針で示されているのが、「相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備」です。指針では次の4つのポイントが示されています。
残念ながら職場においてマタハラ・パタハラの被害が実際に発生してしまった場合はどうすればいいのでしょうか。対処方法として、指針では次の4つのポイントが示されています。
派遣労働者について、改正法では派遣元のみならず派遣先も、当該派遣労働者を含めて防止措置を講じることとしています。たとえば、次のようなケースは派遣先の不利益取扱いとしてハラスメントの対象とみなされる可能性があります。
セクハラに続き、マタハラ・パタハラに対する防止措置と不利益取扱いの禁止が、このたびすべての事業主に義務付けられました。このことは単なる法改正や形式的な義務付けとしてとらえるのではなく、女性活躍や働き方改革、ひいては少子化対策や持続的な社会保障水準の維持向上といった、将来の日本社会を見据えた時代の必然という認識でとらえるべきでしょう。
ぜひ今回の法改正を契機として、誰もが働きやすい職場づくりにご活用いただくことを願ってやみません。
社会保険労務士事務所 そやま保育経営パートナー 代表社会保険労務士:
楚山 和司(そやま かずし) 千葉県出身
株式会社日本保育サービス 入社・転籍
株式会社JPホールディングス<東証一部上場> 退職
詳しいプロフィールはこちら