年間休日105日の計算
- 365日 ÷ 7 = 年間52週
- 年間52週 × 40時間 = 2080時間(1年で働ける時間)
- 2080時間 ÷ 8時間 = 260日(法定労働で働ける最大日数)
- 365日 – 260日 = 105日(1年で最大数働いた場合の年間休日)
「年間休日」という言葉は、就職活動で企業の採用ページなどにも記載があるため見たことある人が多いと思います。しかし、似たような言葉に「休暇」や「休業」などがありその違いについて理解している方は少ないのではないでしょうか。
社会人になれば有給休暇なども耳にしますが、年間休日に含まれているものなのでしょうか。
本記事では、就職や転職するときに正しく企業情報を理解できるように、年間休日について平均日数や決め方などを解説していきます。
年間休日とは、各会社が定めている1年間の休日日数のことを指します。もっと詳しく説明すると年間休日は「法定休日」と「法定外休日」に分けられ、合計した日数のことを言います。
法定休日は労働基準法第35条で定められており、「毎週に1回以上の休日(週休1日原則)」もしくは「4週間で4回以上の休日(変形週休制)」とされています。従業員を雇っている企業は上記を遵守して、必ず休日を与えなければなりません。
使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。
上記の労働基準法規定を守らずに法定休日を与えなかった場合は、労働基準法119条に基づき6カ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられることがあります。
対して、法定外休日は各企業が決めた日数が適用されます。先ほど解説した法定休日はあくまで最低ラインとして決められていますが、会社が独自に休日を増やしても問題はありません。
実際、就職活動などでよく耳にする「週休2日制」「完全週休2日制」というのは週1日以上であるため、労働基準法の規定よりも多い休日となります。
「週休2日制」や「完全週休2日制」という言葉を求人サイトや企業の採用ページなどで見たことがある人も多いでしょう。その違いについて解説します。
週休2日制と完全週休2日制は似ていますが休日日数が異なります。「週休2日制」は毎月1回以上、週2日の休日が付与される制度のことを言います。対して「完全週休2日制」は毎週必ず2日の休日が付与される制度です。
就職活動などのシーンで言えば、毎週土日は絶対に休みが欲しいという場合には「完全週休2日制」を提示している企業を選びましょう。ただし、休日となる曜日を指定していない場合は土日ではない可能性もあるため注意しましょう。
基本的に労働をしない日には「休日・休暇・休業」などの言葉があります。休暇や休業とは主に「本来労働日である日が免除された日」のこと指します。休日は、労働基準法や会社規定によって決められた公休日(労働義務がそもそもない日)であるという点が、休暇や休業との大きな違いです。
労働義務が免除された日を「休暇・休業」と呼びます。そのなかでも休暇については、一定条件を満たしている場合付与する必要がある「法定休暇」と、事業者が任意で定められる「特別休暇」があります。
法定休暇には、聞きなじみのある年次有給休暇や育児休暇などが含まれます。また、企業が定めている特別休暇には以下のようなものがあります。
そのほかの特別休暇については就業規則などに記載されている会社が多いため、気になる方は確認してみましょう。
年次有給休暇とは法定休暇であり、連続して勤務する従業員に対して一定日数の休暇を付える仕組みのことです。労働基準法第39条では、使用者に対する労働者への年次有給休暇の義務が明記されています。
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
従業員が年次有給休暇をもらうためには、労働基準法に記載されている条件を満たす必要があります。条件をどちらも満たしている従業員に対して、会社側は勤続年数に応じて10日以上の年次有給休暇を付与しなければなりません。
また、事業者には従業員に年5回の年次有給休暇を取得させる義務があるため、担当者は忘れず対応しましょう。
年次有給休暇は法律で決められた制度ではありますが、各個人によって付与日数が異なることや公休日ではないという理由から年間休日には含まれません。
年間休日を企業の採用ページなどで見てみると「125日」や「120日」などの記載があります。それぞれの年間休日の決め方はどのような感じなのでしょうか。実際に含まれる休日など例をまとめて紹介します。
年間休日120日は「完全週休2日 + 日本国民の祝日」であるパターンです。それぞれカレンダーで確認できる祝日が16日(2023年の場合、うち振替休日あり)、勤務先により免除されている休日が104日※となります。
(完全週休2日制)×52(週)=104日
サービス業や配送業など、なかには祝日などでも働いている業種はありますが民間の企業であれば年間休日120日であることも多いでしょう。
年間休日125日は、年間休日120日の完全週休2日と日本国民の祝日に、プラスして夏季休暇や年末年始休暇が与えられているケースです。
そのため「完全週休2日 + カレンダーで確認できる祝日 + 夏季休業や年末年始休暇が5日程度」の合計日数が基本パターンとなります。
年間休日105日は、1日8時間勤務の場合、基準法が定めている年間休日の最低ラインを指します。法定の労働日数や休日について今一度おさらいしておきましょう。
上記のように労働基準法では「週40時間、1日8時間まで」とされていることから以下のような計算で年間休日の105日が算出されます。
年間休日105日の計算
労働基準法のもと、週40時間と1日8時間の条件下であれば年間260日が最大労働日数となります。その場合、365日から260日を差し引いて残った105日が最低ラインの年間休日ということになります。
さまざまな企業によって異なる年間休日について、労働者1人に対する平均日数はどのくらいなのでしょうか。厚生労働省とその外部企業が実施した調査を参考に見てみましょう。
調査によると2022年における年間休日の平均日数は、1企業あたり「107.0日」、1労働者あたり「115.3日」とのことでした。
また、同調査では企業規模ごとに年間休日の平均日数についてもまとめられています。
企業規模 | 平均日数 (1企業あたり) |
---|---|
1,000人以上 | 115.5日 |
300人〜900人 | 114.1日 |
100人〜299人 | 109.2日 |
30人〜99人 | 105.3日 |
上記より、企業規模が大きいほど年間休日が多いということが分かります。
年間休日は、法定休日や会社が決めた法定外休日をあわせた公休日のことを指します。全社員が共通してもらえるような休みの日が基本的に年間休日に含まれます。
そのため通常の休日以外にも、夏季休暇や年末年始休暇などは年間休日に含まれ、年次有給休暇など個人差のある休暇については含まれません。
また、労働基準法によって最低ラインが決まっており事業者は労働者に対して休日を与える義務があります。法律違反などにならないためにも責任をもって年間休日を決めましょう。
1984年生まれ。社会保険労務士。
都内医療機関において、約13年間人事労務部門において労働問題の相談(病院側・労働者側双方)や社会保険に関する相談を担ってきた。対応した医療従事者の数は1,000名以上。独立後は年金・医療保険に関する問題や労働法・働き方改革に関する実務相談を多く取り扱い、書籍や雑誌への寄稿を通して、多方面で講演・執筆活動中。
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