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9割超が被害経験あり!300名調査で判明したカスハラの実態と企業対策の"致命的な遅れ"

9割超が被害経験あり!300名調査で判明したカスハラの実態と企業対策の“致命的な遅れ”

監修者:労務SEARCH 編集部
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近年、社会問題として注目が高まっている「カスタマーハラスメント(カスハラ)」。顧客や取引先からの理不尽な要求や暴言は、現場の従業員を深く傷つけ、企業経営そのものにも大きな影響を及ぼしています。2026年10月には、カスハラ対策がすべての事業主に義務化される予定ですが、企業の準備は追いついているのでしょうか。

今回、当メディアでは会社員300名を対象に、カスハラの被害実態と企業の対策状況に関するアンケート調査を実施しました。その結果、約9割が自身の被害経験または職場での見聞き経験があり、一方で6割以上が社内研修を受けたことがないなど、対策の深刻な遅れが浮き彫りになりました。

本記事では、調査結果を詳しく読み解きながら、人事労務担当者がいま取るべきアクションを探ります。

カスハラの被害実態と従業員への影響

まず、カスハラがどの程度広がっているのか、そして従業員にどのような影響を与えているのかを調査しました。現場の声からは、想像以上に深刻な実態が見えてきます。

約7割がカスハラ被害を経験

カスハラと思われる行為を受けた経験について尋ねたところ、「1〜2回ある」が40.3%で最多となり、「何度もある」の28.0%と合わせると、実に68.3%が自ら被害を経験していることが判明しました。

さらに「自分はないが、職場の同僚が受けているのを見聞きしたことがある」23.0%を含めると、91.3%がカスハラに何らかの形で接触していることになります。「ない」と回答したのはわずか8.7%に過ぎません。

この数字は、カスハラがもはや一部の業界や特定の従業員だけの問題ではなく、職場全体に蔓延する構造的な課題であることを示しています。特に「何度もある」と回答した約3割の層は、慢性的にハラスメントにさらされ続けている可能性が高く、早急な対策が求められます。

カスハラの具体的な内容:「暴言・怒鳴り声」が78.5%と圧倒的

経験・見聞きしたカスハラの内容では、「暴言・怒鳴り声」が78.5%と群を抜いて最多でした。次いで「長時間・繰り返しの執拗なクレーム」が61.3%と高く、この2つが突出しています。

以降は「担当者への個人的な攻撃・中傷」22.3%、「過度な謝罪・土下座の要求」17.2%、「不当な金銭補償の要求」12.0%、「SNS・口コミへの投稿をちらつかせた脅し」9.5%、「その他」6.2%、「身体的な接触・暴力」5.5%と続きます。

注目すべきは、SNSを武器にした脅しが約1割存在する点です。デジタル時代特有の新しいカスハラの形態として、企業は口コミサイトやSNS上のレピュテーションリスクへの対応も含めた包括的な対策を講じる必要があります。また、「身体的な接触・暴力」が5.5%存在することは、従業員の安全確保という観点から見て、決して軽視できない数字です。

カスハラの影響:58.3%が「強いストレス・精神的な疲弊」を実感

カスハラを受けた際の影響については、「強いストレス・精神的な疲弊を感じた」が58.3%で圧倒的に多く、「仕事へのモチベーションが下がった」22.0%が続きました。「休職・退職を考えた」という深刻な回答も3.7%存在しています。一方で「特に影響はなかった」は8.3%、「経験がないのでわからない」は7.7%でした。

8割以上が何らかのネガティブな影響を受けているという事実は、カスハラが単なる「接客上のトラブル」ではなく、従業員のメンタルヘルスと組織の生産性を直接的に毀損する経営課題であることを物語っています。特に「休職・退職を考えた」層の存在は、人材流出リスクに直結しており、人事労務担当者として見過ごせないシグナルです。

企業の対策状況:“整備の遅れ”が鮮明に

カスハラが深刻な実態である一方、企業側の対策はどの程度進んでいるのでしょうか。社内方針の整備状況や発生時の対応、研修体制、相談窓口の有無について調査したところ、多くの企業で対策が不十分な現状が明らかになりました。

社内方針・マニュアルの整備は「ない」が30.3%

カスハラに関する社内方針やマニュアルの有無を尋ねたところ、「あるが、周知が不十分だと感じる」が41.0%で最多でした。「ない」は30.3%、「わからない」は15.7%で、「ある(内容も全従業員に周知されている)」はわずか13.0%にとどまっています。

つまり、マニュアルが「ある」と答えた層の中でも、実際に機能しているのはごく一部に過ぎないことが分かります。「わからない」と回答した15.7%の存在も見逃せません。従業員が自社の方針を把握していない状態は、方針が「ない」のとほぼ同義と言えるでしょう。形だけの整備ではなく、全従業員への周知・浸透を伴った実効性のある体制構築が急務です。

カスハラ発生時の対応:約27%が「1人で対応せざるを得なかった」

カスハラ発生時の職場の対応については、「上司・責任者がすぐに対応した」が36.3%で最も多かったものの、「従業員が1人で対応せざるを得なかった」が26.7%と高い割合を示しました。「特に明確な対応ができなかった」15.3%と合わせると、約4割の現場で適切な組織的対応がなされていないことになります。「マニュアルに沿って組織的に対応した」は11.7%にとどまりました。

「従業員が1人で対応せざるを得なかった」という回答は、最も深刻な問題を示しています。カスハラの現場で孤立する従業員は、精神的なダメージがより大きくなるだけでなく、不適切な対応をしてしまうリスクも高まります。「すぐにエスカレーションできる体制」と「1人にさせない現場ルール」の確立は、従業員を守るための最低限の防衛ラインと言えるでしょう。

社内研修・教育の実施:63.3%が「受けたことはない」

カスハラ対応に関する社内研修の経験を問うと、「受けたことはない」が63.3%と過半数を大きく超えました。「過去に1度受けたことがある」は25.3%、「定期的に受けている」はわずか9.3%です。

6割以上が研修未経験という現実は、多くの企業がカスハラ対策を「現場任せ」にしている実態を浮き彫りにしています。2026年10月の義務化を前に、対応スキルの標準化と定期的な教育機会の提供が不可欠です。1度きりの研修で終わらせず、ケーススタディやロールプレイングを交えた継続的なプログラムの構築が求められます。

相談窓口・メンタルケア体制:「ない」が44.7%で最多

カスハラ被害後の相談窓口やメンタルケアの仕組みについては、「ない」が44.7%で最多となり、「あるが、利用しにくい雰囲気がある」33.0%と合わせると、77.7%の職場で実質的なサポート体制が機能していないことが分かりました。「ある(実際に活用されている)」はわずか8.7%にすぎません。

「あるが利用しにくい」という回答が3割を超えている点は特に重要です。制度の有無だけでなく、「相談しても大丈夫」と思える心理的安全性が担保されているかどうかが問われています。匿名で利用できる外部相談窓口の導入や、相談したことによる不利益がないことの明確化など、「使われる仕組み」への転換が必要です。

義務化への認知と今後の課題

2026年10月のカスハラ対策義務化を目前に控え、企業と従業員の準備状況はどうなっているのでしょうか。また、カスハラを放置した場合のリスクや、今後企業に求められる対策について、現場の声を探ります。

2026年10月の義務化への認知:過半数が「今回初めて知った」

2026年10月からカスハラ対策がすべての事業主に義務化されることについて、「義務化されることを今回初めて知った」が51.3%と過半数を占めました。「義務化は知っているが、準備はまだできていない」26.7%と合わせると、78.0%が実質的に未対応の状態にあります。「すでに具体的な準備が進んでいる」はわずか7.3%でした。

義務化まで半年を切った段階で、過半数が制度の存在すら知らないという事実は衝撃的です。人事労務担当者はもちろん、経営層を含めた組織全体への情報伝達が急がれます。方針策定、マニュアル整備、研修実施、相談体制の構築など、やるべきことは多岐にわたるため、今すぐ着手しなければ義務化に間に合わない企業が続出する恐れがあります。

カスハラ放置のリスク:「離職・休職の増加」が47.3%で最大の懸念

カスハラを放置した場合のリスクとして最も大きいと思うものを尋ねたところ、「従業員の離職・休職の増加」が47.3%でトップとなりました。「職場全体のモチベーション低下」41.3%がこれに迫り、この2項目で約9割を占めています。「企業ブランド・イメージの低下」6.0%、「採用への悪影響」1.7%は相対的に少数でした。

現場の従業員が最も強く感じているリスクは、「人が辞めること」と「やる気がなくなること」という、組織の根幹を揺るがす2大問題です。人手不足が深刻化する昨今、カスハラ対策の遅れは採用競争力の低下にも直結します。カスハラ対策は「コンプライアンス」の問題にとどまらず、人材確保・定着戦略の一環として位置づけるべきでしょう。

企業に求められる対策:「マニュアル整備」と「相談窓口の強化」

今後カスハラ対策として企業が最も力を入れるべきことについては、「社内マニュアル・対応フローの整備」27.0%と「相談窓口・メンタルケア体制の強化」26.7%がほぼ同率で上位を占めました。

「毅然とした対応方針の社外への発信(HP掲載など)」20.3%、「従業員向けの研修・教育の実施」13.0%、「法整備・行政による規制強化」12.3%と続いています。

興味深いのは、「毅然とした対応方針の社外への発信」が20.3%を占めている点です。従業員は「会社が自分たちを守ってくれる」という姿勢を、社内だけでなく社外に対しても明確に示してほしいと感じています。ホームページや店頭でのカスハラ防止方針の掲示は、顧客への抑止力として機能するだけでなく、従業員のエンゲージメント向上にもつながります。

まとめ:義務化をきっかけに、従業員を守る組織へ

今回の300名アンケートは、カスハラが日本の職場に広く深く根を下ろしている実態と、企業対策の致命的な遅れを明確に示しました。

約7割が直接被害を経験し、6割以上が研修を受けたことがなく、8割近くが相談体制の不備を感じている。そして義務化の事実すら半数以上が知らない。この現状を放置すれば、離職・休職の連鎖、モチベーション低下、そして企業の社会的信用の失墜は避けられません。

2026年10月の義務化を単なる「コンプライアンス対応」として捉えるのではなく、従業員を守り、選ばれる企業であり続けるための転機として活用すべきです。人事労務担当者がいま着手すべきアクションは以下の3点に集約されます。

対応方針・マニュアルの策定と全社周知については、形だけの整備ではなく、全従業員が内容を理解し、有事に迷わず行動できるレベルまで浸透させることが求められます。社外への方針発信も同時に進め、顧客への抑止力とすることが重要です。

相談窓口の実効化と「1人にさせない」体制の構築においては、外部窓口の導入や匿名相談の仕組みを整え、「相談しても不利にならない」ことを制度として保証することが必要です。現場では即座にエスカレーションできるルールを徹底することも欠かせません。

定期的な研修プログラムの導入については、座学だけでなく、ロールプレイングやケーススタディを交えた実践的な教育を定期的に実施し、対応スキルを組織全体で底上げすることが求められます。

カスハラから従業員を守ることは、企業の持続的な成長を支える土台づくりそのものです。義務化を待つのではなく、今日から動き出すことが、未来の組織力を左右する分かれ道となるでしょう。

アンケート調査概要

調査名 カスタマーハラスメント(カスハラ)
に関するアンケート
調査対象 企業で働く会社員300名
調査期間 2026年4月8日~2026年4月22日
調査方法 インターネット調査
監修者労務SEARCH 編集部

労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
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