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36協定の新様式は2021年4月から変更。変更点と注意点をわかりやすく解説

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2021年4月から36協定届が新様式に変更されました。また、届出の変更に伴い、「押印・署名の廃止」「協定当事者に関するチェックボックスの新設」「e-Govからの電子申請が可能」という点でも変更がされています。

今回は、36協定の概要や新様式の変更点を中心に解説します。

監修者
蓑田 真吾

みのだ社会保険労務士事務所 社会保険労務士
https://www.minodashahorou.com/

大学卒業後、鉄鋼関連の企業に総合職として就職し、その後医療機関人事労務部門に転職。 約13年間人事労務部門で従業員約800名、新規採用者1,000名、退職者600名の労務、社会保険の相談対応にあたる。 社労士資格取得後にみのだ社会保険労務士事務所を開設し、独立。

36協定とは

36協定とは、時間外労働・休日労働に関する協定です。

労働基準法では、法定労働時間(1日8時間/1週40時間)と週1日を法定休日として定められています。

その時間を超えての労働、または休日労働をさせる場合は、第36条に基づく労使協定を締結し、所轄の労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

36協定の締結から届け出るまでの流れ

労使間の協定締結だけでなく、労働基準監督署長に届け出てはじめて、有効となります。届出なしに従業員に時間外労働をさせた場合、労働基準法違反となります。

36協定を締結する場合、労働者の過半数で組織する労働組合、その労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定が必要です。

また、大企業・中小企業ともに時間外労働時間の上限規制(罰則付き)により、臨時的に特別な事情がある場合でも、規定の上限を超えて従業員を労働に従事させることはできません。

上記を違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられます。

また、36協定を締結していない従業員に対して、法定労働時間を超えた労働や法定休日に労働をさせることも、労働基準法違反となります。

2021年4月1日から新様式に変更

2021年4月1日から新様式に変更

2021年4月1日から36協定届が新様式に変更となりました。変更点は以下の通りです。

新様式の変更点

  • 使用者の押印および署名が不要
  • 36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設
  • e-Govからの電子申請が可能

使用者の押印および署名が不要

36協定届における押印・署名が廃止されました(下記画像、①の部分)。

新様式の36協定届

しかし、協定届が協定書を兼ねる場合は、使用者および労働者代表の押印・署名が必要となります。協定届と協定書を分けている企業は少なく、兼用する企業が多いため、協定届と協定書を兼用する場合は注意が必要です。

36協定の協定当事者に関するチェックボックスの新設

労働者代表の適格性を確認するために、新たに要件へのチェックボックスが新設されました(下記画像、②の部分)。

新様式の36協定届

労働者代表は、事業場における過半数労働組合または過半数代表者でなければなりません。また、管理監督者は一般的な管理職を指しません。

労働者代表は投票、挙手、労働者の話し合い、持ち回り決議で決定します。
労働者代表の決定には、労働者全員の意思を確認しなければならず、対象となる労働者は、アルバイト、パート、有期雇用労働者、休職者、育児・介護休業者も含まれます。

使用者は、直接的かつ間接的に労働者代表を指名することができません。

3つの要件を満たしていない労働者代表との36協定締結は無効となります。

e-Govからの電子申請が可能

事業所ごとに労働者代表が異なる場合であっても、e-Gov電子申請による本社一括届出が可能です。

また、e-Gov電子申請による本社一括届出は、電子署名・電子証明書の添付も不要です。

上記の要件(事業所ごとに労働者代表が異なる場合)で本社一括届出ができるのは、e-Gov電子申請のみです。郵送・窓口による手続きはできません。

届出の新様式7種類とその用途

届出の新様式7種類とその用途

36協定届の新様式は全部で7つとなります。

36協定届の新様式

  • 様式第9号(時間外労働・休日労働に関する協定届:一般条項)
  • 様式第9号の2(時間外労働・休日労働に関する協定届:一般条項)
  • 様式第9号の3(時間外労働・休日労働に関する協定届:新技術・新商品等の研究開発業務)
  • 様式第9号の4(時間外労働・休日労働に関する協定届:適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務。自動車運転者、建設業、医師等)
  • 様式第9号の5(時間外労働・休日労働に関する協定届:適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務において、事業場外労働のみなし労働時間に係る協定の内容を36協定に付記して届出する場合)
  • 様式第9号の6(時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議届)
  • 様式第9号の7(時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議届)

様式第9号

36協定届 様式第9号

特別条項なしの一般条項。法定時間外労働の限度時間内で時間外・休日労働をおこなわせる場合に届出が必要です。

様式第9号の2

特別条項付き36協定届

特別条項付き36協定届2

法定時間外労働の限度時間を超えて時間外労働や休日労働をおこなわせる場合は、特別条項付き様式で届け出なくてはなりません。

様式第9号の3

適用除外業務に従事する労働者に、時間外・休日労働をおこなわせる場合に届け出ます。

様式第9号の4

適用猶予期間中における適用猶予事業・業務に従事する労働者に、時間外・休日労働をおこなわせる場合に届け出ます。

様式第9号の5

適用猶予期間中における適用猶予事業・業務において、事業場外労働のみなし労働時間にかかる協定の内容を、36協定に付記して届け出ます。

様式第9号の6

適用猶予期間中において、時間外労働・休日労働に関する労使委員会の決議を届け出ます。

様式第9号の7

適用猶予期間中において、時間外労働・休日労働に関する労働時間等設定改善委員会の決議を届け出ます。

まとめ

36協定届の新様式では、押印・署名の廃止(行政手続きの簡略化)や協定無効を防ぐための協定当事者の要件確認、そして電子申請による行政のペーパーレス化が強化されています。

大企業・中小企業ともに、時間外労働の上限規制における規定や罰則には変更はないため、36協定の締結が必要な企業は必ず36協定の締結と協定届の提出をおこないましょう。

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