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是正勧告書の持つ意味とは?労働基準監督署の調査に備える

平成21年に厚生労働省が行った調査によると、労働基準監督署の監督実施件数は146,860件に上ります。また、極めて悪質と判断され司法処分を受けた件数は1,110件ありました。

労働基準監督署の調査により、労働基準法違反などが見つかった場合は是正勧告を受けることになりますが、企業として健全な経営をしていくうえで、労働基準を守ることは不可欠な要素です。今回は法令違反をした場合の是正勧告書について解説します。

是正勧告書とは

労働基準監査署の立ち入り調査の結果、事業所に労働基準法違反が発覚した場合、「是正勧告書」が交付されます。この是正勧告書には、その違反事項および指導内容、そして是正期限などが記されています。

もし、是正勧告書が交付されてしまったのであれば、事業主はその期日までに書面で指摘された違反を是正し、それを労働基準監督署へと報告しなければなりません。労働基準監督署といえば、労働災害の手続きなどでお世話になる場所ですが、こういった立ち入り調査なども監督署の管轄です。

是正勧告書は基本的にはもらいたくないものなので、そうならないためにも、労働基準法をきちんと守れているかどうか、日頃からしっかりと確認しておきましょう。

労働基準監督署の調査

是正勧告書が交付される前に、まずは労働基準監督署による立ち入り調査が行われます。その調査としては、次の4つに分かれます。

  • 定期監督

    もっとも一般的な調査は、この定期監督です。あらかじめ決められたスケジュールのもと、監督署が調査対象の会社を抽出し、調査を行います。定期監督では、事前に調査予定日を知らせてくれる場合もあれば、本当に予告なく突然やってくる場合もあります。ただ、いずれにしても、その日にちを事業所側が決めることはできませんので、なおさら普段からの法令遵守が大切です。

  • 申告監督

    従業員からの申告があった場合に行われる調査です。こちらも事前に連絡がある場合と、連絡無しに突然やってくる場合があるので、調査開始の段階では定期監督なのか、申告監督なのかを見分けるのは難しいです。調査員に聞けば、申告があったのかどうかを知ることはできることも多いですが、いずれにしても申告者の名前は伏せられたまま、調査が進められます。

  • 再監督

    是正勧告があった場合、きちんと改善されるかどうかを確認する調査です。違反が改善されているかどうかだけでなく、期日までに報告書を提出しなかった場合なども再監督が行われます。

  • 災害時監督

    労働災害が発生した場合に、その原因の調査や再発防止のために実施される調査です。もし、事業所の環境が原因なのであれば、しっかりと改善してください。

労働基準監督署のチェック事項

立ち入り調査では、労働基準法がきちんと遵守されているかどうかが、いくつかの項目に分けて調査されます。労働者名簿や賃金台帳、タイムカードなどの書類と、労働者に対してのヒアリングなどが行われ、書類内容が事実かどうかを確認します。

そして、違反があるとみなされれば、是正勧告書が出されます。特に申告監督の場合は、非常に厳しく調査されます。重点的にチェックされる項目としては、「労働時間」「就業規則」「賃金」などが多いようです。

特に「労働時間」は全相談のなかでも約35%を占めるほど深刻な要件です。次いで多いのが「割増分の賃金」で25%ほどとなります。法定労働時間は守れているか、残業をさせる場合でもきちんと残業代が出ているか、きちんと確認しておきましょう。

チェックは労働基準法だけでなく、労働安全衛生法に関しても厳しくみられます。事業所が安全基準をきちんと満たしているかどうか、健康診断がきちんと実施されているかどうかなどの確認も、近年は厳しくなってきました。是正勧告書をもらわないことも大切ですが、何よりも労働者の安全を守るために、このあたりはしっかりと遵守しなければなりません。

是正勧告書に法的強制力はない?

事業所に違反がみられた場合に交付される是正勧告書ですが、実はこの書面には法的な強制力はありません。あくまで「勧告」をするものであって、これに基づいて改善を行うかどうかは、事業主にゆだねられています。

とはいえ、監督官には「特別司法警察職員」という権限がありますので、是正勧告を受けた後も違反を続けたり、あるいは是正していないのに嘘の報告をしたりすると、書類送検されてしまうこともあります。やはり、是正勧告書には素直に従うのがベターでしょう。

まとめ

事業主としてコストを抑えつつ事業を発展させることは、とても大切なことかもしれません。しかし、それを重視しすぎたゆえに、労働者の健康や安全を確保できていないということは、絶対にあってはならないことです。

いつ立ち入り調査が行われても問題ないよう、普段から自身の目でしっかりと確認しておきましょう。利益を出すことも大事ですが、安心して働ける環境作りを何よりも優先してください。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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