社会保険の資格喪失手続きの流れ
- 企業が退職翌日より5日以内に、管轄の年金事務所などに「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失届」を提出する
- 交付している場合は「健康保険被保険者証」「高齢受給者証」などを従業員から預かり、年金事務所へ提出する書類と一緒に添付する
- 「健康保険・厚生年金保険の被保険者資格喪失確認通知書」が送られてくる
- 退職が希望する場合は「健康保険資格喪失証明書」を任意発行する
月の途中で退職した従業員がいた場合に社会保険料をいつまで控除するべきなのでしょうか。企業の担当者であれば理解しておきたい内容です。
そこで今回は、月の途中で退職した場合の社会保険料控除について、基本事項や社会保険料控除の方法などをくわしく解説していきます。
目次
社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)は会社と従業員とが折半で支払わらなければならないため、毎月の給与から差し引かれています。会社が従業員から徴収した保険料と合わせて納付してくれています。
では月の途中で退社した従業員に関しては、社会保険料の控除をおこなうのでしょうか。
社会保険料は1カ月単位で計算するものとされています。つまり、月の途中で退社する場合は1カ月に満たないことになるため、給与から社会保険料を控除する必要はありません。
社会保険料は被保険者となる月から被保険者でなくなった日の前月、つまり入社した月から退職日の前月までが徴収されます。
退職日までの労働日に対して社会保険料の控除ができると思うかもしれませんが、退職月は社会保険料控除をしないため覚えておいてください。
社会保険料の徴収に関して、詳しくは「被保険者の資格喪失日の前月分まで」を納付する必要があります。被保険者の資格喪失日についてもう少し解説します。
企業の担当者が間違えやすい箇所として「社会保険の被保険者喪失がいつからなのか」という内容があります。
実は被保険者の資格喪失は退職日の翌日からです。つまり14日に退職する従業員がいたとしたら15日より被保険者資格喪失となります。企業担当者は、この被保険者資格喪失について手続きなどもあるため間違えないよう覚えておきましょう。
社会保険料は、被保険者の資格喪失日の前月分までを企業が徴収します。仮に末日に退職する場合は被保険者の資格喪失日は翌月の1日となります。
そのため、先月分(前日の末日まで)の社会保険料控除が発生します。
8月末が退職日の場合は、社会保険の資格喪失日が翌月の9月1日になります。そして、社会保険料は「資格喪失日の先月分までが徴収」であるため、8月分の給与に関して社会保険料の控除する必要があります。また、資格喪失日を含む9月分に関しての社会保険料控除はする必要がありません。
この退職日と資格喪失日に関しては、混同しがちであるため注意が必要です。
一緒に覚えておきたい内容として、入社時や賞与がある時の社会保険料控除について解説します。
月の途中から入社した場合は、入社月から社会保険の資格取得となるため、会社に入った月から社会保険料を支払う必要があります。
企業は入社月より社会保険料の控除をしましょう。保険料については、毎月の給与から差しかれるため労働者自身がなにか手続きをするということはありません。
入社してその月に退職した場合、つまり労使関係が1カ月も満たない場合の社会保険料控除はどうなるのでしょうか。
入社した月に退職などして被保険者としての資格喪失をした場合は、保険料の納付が必要です。従来通り退職時の給与から差し引かれ会社が納付します。ですが退社した月に、再度保険について資格取得をした場合は前に喪失した分の保険料については納付する必要がありません。
上記の場合、会社側は年金事務所などから還付金の通知が来ます。通知が来てからの還付について、被保険者であった方への対応フローなど再確認しておきましょう。
退職月に賞与を受け取る場合については、通常の退職時と同様に資格喪失日から判断します。つまり、月末以外で退職した場合、その月に賞与を受け取っていたとしても資格喪失日の先月分までの控除となります。
そのため、月末以外で退職したならば社会保険料を差し引かれることはありません。月末時も通常時と同様に、翌月の1日が資格喪失日となり退職日を含む月は社会保険料控除が発生します。
企業側は従業員が退職したら、退職翌日(資格喪失日)より5日以内に「社会保険の資格喪失手続き」が必要です。管轄の年金事務所へ提出しなければならない書類などあるため注意しましょう。
社会保険の資格喪失手続きの流れ
上記が、退職者がいる場合の社会保険資格喪失手続きとなります。5日以内での対応が求められるため、健康保険証など交付している場合は退職日翌日などに回収できるとスムーズです。
社会保険料は毎月の給与から差し引いています。健康保険料や厚生年金保険料は、労働者から徴収した分を企業分と合わせて納付をします。そのため、従業員分の社会保険料の計算は正しく進める必要がありとても大変でしょう。
給与計算システムは、従業員ごとの基本情報を入力しておくだけで毎年度の大変な手動計算を自動化してくれます。もちろん毎月の給与計算や賞与計算から社会保険料の自動抽出までシステムがやってくれます。退職日などの簡単に管理ができるため、計算ミスなども減らせるでしょう。
多くの企業ではすでに導入している給与計算システムは、抽出したデータを応用してそのまま電子申請などにも対応しています。導入することでバックオフィスだけではなく、社内の業務効率化アップにも役立ちます。
検討している企業さま、担当者さまは一度「給与計算システム」の記事を見てみてください!
社会保険料は1カ月単位での計算になるため、月の途中で退職した場合でも日割り計算はしません。また基準となるのは退職日ではなく、翌日の社会保険の被保険者喪失日であることがわかりました。
月の途中であれば会社を辞める月の社会保険料控除は必要なし、末日退職であれば翌日が資格喪失日となってしまうため退職日を含む先月分は社会保険料が徴収(控除あり)されます。
企業の担当者であれば上記2つの違いは覚えておきましょう。また、退職者がいる場合は5日以内に「資格喪失の手続き」もする必要があります。今記事を参考に、正しい社会保険料控除と給与計算、退職手続きを心がけましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら