この記事でわかること
- トライアル雇用の対象者の条件
- トライアル雇用と試用期間の違い
- トライアル雇用助成金の受給条件・金額、申請方法
この記事でわかること
早期離職の防止や人材確保のため、近年ではトライアル雇用制度が注目されています。
トライアル雇用は原則3カ月の試用期間を設けて雇用される制度ですが、単に試用期間を設けて雇用されるのとは異なります。
そこでこの記事では、トライアル雇用の対象者となる条件や試用期間との違い、トライアル雇用制度の利用の流れに加え、障害者向けのトライアル雇用についても詳しく解説します。
目次
トライアル雇用とは、企業がハローワークや人材紹介会社等の紹介で特定の求職者を試用期間(原則3カ月)を設けて雇用し、企業と求職者双方が適性を判断した後に両者の合意のもとで本採用が決まる制度です。
トライアル雇用は、職業経験不足な方・未経験な職業に就職したい方などを対象としています。
3カ月の試用期間を設けることで、企業と求職者双方が適性や能力を判断でき、試用期間後に雇用期間に定めがない「無期雇用」に移行できるきっかけとなることが目的です。
トライアル雇用の対象となる求職者の条件は、下記の通りです。
トライアル雇用の対象者の条件
紹介日とは、ハローワークが職業紹介をした日です。35才未満の対象者に対してトライアル雇用を実施する場合
ニートやフリーター等で45歳未満の人、生活困窮者もトライアル雇用の対象者となります。
トライアル雇用には3カ月の試用期間があると言いましたが、トライアル雇用されるのと、トライアル雇用なしに試用期間を設けて雇用されるのは違いがあります。
大きな違いとして、トライアル雇用には本採用義務がない(試用期間は本採用が前提)、助成金が支給されるという点が挙げられます。
トライアル雇用 | 試用期間 | |
雇用のハードル | 本採用の義務なし | 本採用を前提とした採用 |
---|---|---|
期間 | 原則3カ月 | 1年以内なら企業の判断 |
助成金 | あり | なし |
またトライアル雇用の試用期間は原則3カ月ですが、トライアル雇用ではなく本採用が前提の試用期間の場合、期間は1年以内であれば自由に企業が決められます。
トライアル雇用を活用するメリット・デメリットは、下記のとおりです。
トライアル雇用のメリット・デメリット | |
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メリット |
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デメリット |
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トライアル雇用制度を利用する方法を求職者側の手続きと企業側の手続きそれぞれ解説していきます。
トライアル雇用制度を利用したい求職者は、まずハローワークや人材紹介会社等に登録をしましょう。そこにトライアル雇用求人を提出している企業の中から応募し、求職活動をおこないます。
トライアル雇用制度を活用したい企業は、トライアル雇用求人をハローワーク等に提出しなければいけません。またトライアル雇用開始後は「トライアル雇用実施計画書」の作成が必要です。
助成金については、次の項で解説します。
トライアル雇用助成金とは、職業経験・技能・知識不足による就職が困難な求職者を試行的に雇用する事業主に支給される助成金です。
トライアル雇用助成金がいくらもらえるか先に知りたい方はこちらを読んでみてください。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)を受給するには、次の条件を満たさなければなりません。
トライアル雇用助成金の受給条件
上記のほかにも雇用関係助成金共通の要件など、いくつかの受給要件があります。
詳細は厚生労働省に掲載されているトライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の雇用関係助成金共通の要件をご確認ください。
厚生労働省で掲載されているpdfがダウンロードできます。
トライアル雇用助成金を受給するには、トライアル雇用終了後に事業所を管轄するハローワークまたは労働局へ結果報告書兼支給申請書を提出します。
申請期限(トライアル雇用の終了日の翌日から起算して2カ月以内)を過ぎると、助成金を支給できません。
対象者がトライアル雇用期間の途中で常用雇用へ移行した場合や、対象者の自己都合で離職した場合は助成金の支給申請期間も変わります。
これらの事案が発生した際は、速やかに紹介を受けたハローワークへ連絡をしてください。
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)の受給額 | |
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支給期間 | 対象者のトライアル雇用の開始日から 1カ月単位で最長3カ月間 支給期間中の各月の合計額がまとめて支給されます |
助成金の支給金額 | 対象者1人あたり 月額最大4万円(合計12万円) |
対象者が母子家庭の母等または父子家庭の父である場合や、若者雇用促進法に基づく認定事業者が35歳未満の対象者にトライアル雇用を実施する場合は、1人あたり月額最大5万円が支給(合計15万円)されます。
(1)または(2)に該当する場合、その月の月額はそれぞれに示す期間中に就労した日数に基づき、
によって計算した額となります。
(1)次の(a)、(b)いずれかに該当する場合で、トライアル雇用に係る雇用期間が1カ月に満たない月がある場合
(1)の(a)(b)の事案 | |
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(a) | 対象者が支給期間の途中で離職 (下記いずれかに該当する理由による離職)した場合は、 その離職日の属する月の初日から当該離職日までの トライアル雇用期間中に就労した日数 ・本人の責めに帰すべき理由による解雇 ・本人の都合による退職 ・本人の死亡 ・天災その他のやむを得ない理由により、 事業の継続が不可能になったことによる解雇 |
(b) | トライアル雇用の支給期間の途中で 対象者を常用雇用へ移行した場合、 常用雇用への移行日の前日の属する月の初日から、 当該移行日の前日までのトライアル雇用期間中に 実際に就労した日数 |
(2)対象者の都合による休暇、または事業所の都合による休業があった場合は、その1カ月間に就労した日数
ただし、年次有給休暇等法令により事業所が労働者に対し、付与を義務付けられている休暇は就労した日数とみなす
障害者トライアルコースとは、障害者の早期就職の実現や雇用機会の創出を図ることを目的としている制度です。
トライアル雇用と同じく、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、就職が困難な障害者を事業所が一定期間試行雇用することで、助成金が支給されます。
障害者トライアルコースがいくらもらえるか知りたい方はこちらを先に読んでみてください。
障害者トライアルコースの対象者
障害者トライアルコースの手続き
障害者トライアルコースの受給額 | |
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支給期間 | 対象者のトライアル雇用の開始日から、 1カ月単位で3カ月間から 最長12カ月まで設定できます |
助成金の支給金額 | 対象者1人あたり月額最大4万円 |
精神障害者を試行雇用する場合の受給金額 | |
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支給期間 | 対象者のトライアル雇用の開始日から 1カ月単位で最長6カ月間 |
助成金の支給金額 | 月額8万円×3カ月+月額4万円×3カ月 |
障害者の職場適応状況や体調等によっては、雇用時の週の所定労働時間を10時間以上20時間未満とし、期間中に20時間以上とすることを目指す「障害者短時間トライアルコース」を活用できます。
詳細は、厚生労働省の障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコースをご確認ください。
企業によっては、新卒採用からトライアル雇用に移行したことで、人材不足の解消および社員の定着率の向上に成功した事例も存在します。
トライアル雇用は試用期間と異なり本採用の義務がなく、助成金により採用コストも低く抑えることができます。
社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞、女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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