この記事でわかること・結論
- 2026年から自営業者やフリーランスの方などは、育児期間中の年金保険料が免除される
- 対象となる免除期間は、原則として子を養育することになった日から1歳になるまで
- 対象者は、国民年金第1号被保険者である子を養育する父母(養母を含む)
投稿日:
ニュースこの記事でわかること・結論
2026年から、自営業者やフリーランスを対象とした国民年金保険料の免除措置が開始されます。
これにより、従来の制度では十分なサポートを受けられなかった国民年金第1号被保険者の、育児期間中における経済的な負担が軽減されることが期待できます。
この記事では、新たに始まる育休支援の概要と、人事・労務担当者が対応すべきことを解説します。
目次
厚生労働省は、多様な働き方と子育ての両立支援を強化するために、国民年金における育児期間の保険料免除措置を創設する案を示しました。
この改正は、2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略」に含まれており、自営業者やフリーランスなど育児休業給付を受けられない国民年金第1号被保険者に対する経済的支援を目的としています。
現在、自営業者やフリーランスが加入する国民年金には、出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間※にあたる産前産後期間において、女性のみ保険料免除制度がありますが、会社員などが加入する厚生年金と比較すると支援は不十分な状況と言えます。
多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間
そこで自営業者やフリーランスなどの方も安心して子育てができるよう、国民年金においても育児期間中の保険料免除措置が創設されます。
この免除措置は2026年からの施行が予定されています。以下にこの免除措置の対象者や対象期間、免除要件などをまとめました。
対象となるのは、国民年金第1号被保険者である子を養育する父母(養父母を含む)です。第1号被保険者とは具体的に、自営業者やフリーランス、無職の方などが挙げられます。
原則として、子が生まれた日(養子縁組の場合は縁組の日)から1歳になるまでの期間です。実母の場合は、産後免除期間に続く9カ月間が対象となります。
この免除措置には、所得や休業要件は設けられていません。つまり、収入の減少の有無や休業の取得有無に関わらず、対象者は年金保険料が免除されます。
これは、国民年金第1号被保険者は厚生年金保険のように明確な”休業”が発生しない場合が多いことや、休業した場合でも育児休業給付による所得保障を受けられないこと、自営業者やフリーランスなどの方の就業形態や所得状況が多様であることなどを考慮したためです。
また所得や休業要件を設けないことで、より多くの育児期間中の経済的支援を必要とする国民年金第1号被保険者を対象とする狙いがあります。
免除対象期間中は保険料を納付しなくても国民年金の加入期間として認められ、将来受け取る基礎年金は満額が保障されます。これは、育児期間中の経済的負担を軽減しつつ、将来の年金受給権を確保するという、二重の意味での支援策となっています。
財源は、社会全体で子育て世代を支援するために新設される「こども・子育て支援納付金」が充てられる予定です。この制度は、従来の保険料免除のように被保険者間の支え合いによって財源を賄う考え方ではなく、社会全体で子育て世代を支援するという考え方に基づいています。
今回の免除措置創設の背景としては、多様な働き方と子育ての両立支援が求められる社会的なニーズが挙げられるでしょう。
特に自営業者やフリーランスなど、育児休業給付の対象外である国民年金第1号被保険者は育児期間中の経済的な負担が重く、深刻な少子化問題を考慮するとそれを軽減する必要があります。そこで政府はこの免除措置により、育児休業給付を受けられない層にも手厚い支援を提供することを目指しています。
先述のとおり、国民年金第1号被保険者の育児期間における保険料については、現在は女性のみ免除措置があります。そこが2026年からは父親も対象者となり、男性の育児参加も支援する形となります。
また新たな免除措置は、免除期間が大幅に延長されている点、養子も対象となり多様な家族形態に対応している点も大きな特徴です。
2026年施行以降 | 現在 | |
---|---|---|
対象者 | 国民年金第1号被保険者の父母(養父母含む) | 国民年金第1号被保険者の女性のみ(産前産後期間のみ) |
対象期間 | 子が1歳になるまで (実母の場合は産後免除期間後9か月間) |
出産予定月の前月から出産後3か月間 |
対象となる子 | 実子・養子 | 実子のみ |
免除される条件 | 所得要件・休業要件なし | |
給付への影響 | 満額の基礎年金を保障 | |
財源 | こども・子育て支援納付金 (新設予定) |
社会保険料、税金、公費負担など |
この新制度の導入は、自営業者やフリーランスなどを対象としているので、企業の人事・労務担当者がすべきことは基本的にありません。ただし、厚生年金保険の育児期間における保険料免除制度との違いを適切に理解しておくためにも、新制度の把握はしておきましょう。
2026年から施行される国民年金保険料の免除措置により、自営業者やフリーランスなどの国民年金第1号被保険者は、子どもが1歳になるまで保険料の支払いが免除されます。これは、育児休業給付の対象外である国民年金第1号被保険者は、育児期間中の経済的負担が重いためです。
この改正に伴い、企業の人事・労務担当者が直接おこなうべきことは基本的にありません。しかし、フリーランスなどと取引する企業は念のため覚えておきましょう。
労務・人事・総務管理者の課題を解決するメディア「労務SEARCH(サーチ)」の編集部です。労働保険(労災保険/雇用保険)、社会保険、人事労務管理、マイナンバーなど皆様へ価値ある情報を発信続けてまいります。
詳しいプロフィールはこちら