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災害に従業員が巻き込まれたら?労災、労務、税務の取り扱い解説

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人事労務管理

近年は地震や台風、豪雨などの自然災害が数多く発生しています。そのような自然災害発生時に自社の従業員が巻き込まれたらどのような取り扱いとなるのでしょうか。自然災害により被害を受けた従業員への対応に関しては労働基準法ではどのように規定されているのでしょうか。自然災害発生時の対応を人事担当者として知ることは極めて重要と言えます。そこで今回は自然災害発生時の労災、労務、税務について解説していきます。

業務中に自然災害に巻き込まれたら

従業員が業務中に地震や台風などの自然災害によって被害を受けた場合、基本的に業務災害として労災保険給付を受けることができます。
これは、地震や台風の被害を受けるような危ない環境下で仕事をしていたと判断されるためです。また、通勤途中での被災に関しても業務災害と同様に通勤災害として労災保険給付の対象となります。
一方で、業務中や通勤中であっても私的な行為をしていたときに被害を受けた場合は労災保険給付の対象にはなりません。

ここで改めて労災保険についてもその概要を確認しておきましょう。
労災保険とは正式には「労働者災害補償保険」と言い、従業員が業務中や通勤中に負傷、病気、死亡した際に、被災した労働者本人やその家族(遺族)を守るために給付を行う保険です。
労災保険は雇用保険と合わせて労働保険と呼ばれています。

企業は従業員を1人でも雇っていれば労働保険の適用事業になるため、加入手続きを行い、労働保険料を納付することになります。なお、従業員には正社員に限らずパートやアルバイトも含まれます。

この労災保険に加入することで、従業員は災害によって被害を受けた場合でも労災保険給付を受けることができるのです。

通勤途中に自然災害に巻き込まれたら

通勤途中であっても自然災害に巻き込まれたら労災保険の給付対象になると紹介しました。続いてはこの通勤について詳しく紹介します。

通勤というと自宅と会社間の移動を想像する人が多いのではないでしょうか。これは間違いなく通勤ですが、自然災害が発生した場合、たとえば台風によって家が浸水して避難所に帰ることになったという人も出てくる可能性があります。

もし、会社から避難所に帰る際に被害を受けた場合に関しても通勤災害が認定され、労災保険給付を受けることができます。
また、帰宅途中に津波にあい、死亡したというケースの場合、被災状況が詳細にわからなくても通勤災害と認定される可能性があります。

このほかにも、地震によって電車のダイヤが乱れているため、いつもよりも早めの電車に乗ったときに被害を受けた場合、電車が動かないためにバイクで通勤をしているときに被害を受けた場合なども通勤災害として認められる可能性があります。

このように災害時にはいつもの通勤とは異なるイレギュラーな状況が発生する可能性はゼロではありません。これは通勤に該当するのか?というような状況であっても、労災保険の給付が受けられることがあるため、被害を受けた場合はまず保険が給付されるのか確認するようにしましょう。

自然災害が起きたときの非常時払について

地震によってけがや、病気、家が壊れてしまうなど、緊急でお金が必要になる可能性があります。
そういった場合は、非常時払の制度を利用することができます。

非常時払とはその名のとおり、非常時に従業員がお金を必要になった際に給料の支払い期日前であっても使用者からすでに働いた分の給料をもらうことができるというものです。

この非常時払については労働基準法の25条に以下のように規定されています。

「使用者は、労働者が出産、疾病、災害そのほか厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。」

ここでいう災害には業務上の負傷だけでなく、業務外の私傷病、洪水や地震などの自然災害も含まれています。そのため、先述のとおり、地震に伴うけがや病気の際には非常時払を受けることができるのです。

また、従業員やその家族が被災した場合や住んでいる地域が避難地域に指定されたことによって住所の変更を余儀なくされる場合、必要となる費用に関しても労働基準法の「非常時の場合の費用」に該当するため、非常時払を適用することができます。

従業員に支給する災害見舞金の税務上の取り扱い

従業員が被災した場合、企業として災害見舞金を支給することがあるかと思います。そのような場合、災害見舞金は税務上ではどのように取り扱われるのでしょうか。

見舞金や見舞品などに関しては福利厚生費として扱うことができ、経費計上することができます。ただし、これには以下のような条件があります。

<災害見舞金を福利厚生費として経費計上する条件>

  • 各従業員に対する支給の基準が合理的なものになっていること(被災した全従業員に対して支給する、被害の程度に応じて支給額を決めるなど)
  • 支給金額が支給を受ける従業員に対する見舞金として社会通念条相当であること

つまり、特定の従業員にのみ支給したり、相当以上のお金を支給すると福利厚生費にはならないということです。

また、見舞金を支給された従業員に対しては、所得税が課されないため、源泉徴収をする必要がありません。

まとめ

今回は、従業員が自然災害に巻き込まれた際の労災保険の給付や非常時払、見舞金の取り扱いなどについて解説してきました。自然災害はいつ起こるかわからないものであるため、もしものときに備えて今回紹介した内容はしっかりと覚えておくようにしましょう。
また、合わせて従業員に対しても、災害時の会社の対応について説明しておくとトラブルを回避することができます。

岡 佳伸|社会保険労務士 岡 佳伸 事務所

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