旅行費用が非課税となる条件
- 旅行の期間が4泊5日以内であること
- 旅行に参加した人数が全体の人数の50%以上であること
みなさま、福利厚生費の支給や支出の仕方によって、課税(社員に所得税が課税される)、非課税(社員に所得税が課税されない)の違いが生じることをご存じでしょうか?
福利厚生費として支出する中身としても、法定福利費(社会保険料)と法定外福利費に分かれており、個人負担分の社会保険料については所得税の社会保険料控除の対象となり、所得税が課税されないことになります。
この記事では、法定外福利費にあたる福利厚生費について解説していきます。
目次
労働者に対して住宅手当を支給する場合は、その全額が労働者の給与所得として「課税対象」となります。
そのため、もしできる限り労働者の課税所得を小さくしたい場合には、会社が社宅を借り上げて、労働者に貸与したうえで一定額の賃料相当額を徴収しておくことで、給与所得として課税対象とならないようにすることができます。
一定の賃料相当額とは、次の3つの合計額となります。
借上社宅において、これらの合計額に満たない場合は、その差額を給与所得として「課税対象」としなければなりません。またこれらの計算をするためには、貸主から固定資産税の課税標準額などを確認しておく必要があります。
福利厚生として、社員食堂を提供している会社は少なくありません。
食事の提供に関して、役員や労働者が食事の価額の半分以上を負担しており、なおかつ食事の価額から労働者負担分を差し引いた金額が税抜3,500円以下である場合に限っては、給与として課税されることはありません。
食事の価額とは、提供している食事が仕出し弁当などの場合は業者に支払う金額、食堂内で食事を作って提供している場合は食事の材料費や調味料などの直接費用の合計額となります。
また、食事の提供ではなく、金額を補助する場合は、深夜勤務者に夜食の提供ができないことによる1食あたり300円(税抜)以下の金額を支給する場合を除いて、給与所得として「課税対象」となります。ちなみに、残業者や宿日直者のために無料で食事を支給する場合においては、課税する必要はありません。
多くの会社では、社員旅行などの従業員レクリエーションや研修旅行を行った場合、労働者から実費負担をせずに、会社負担で開催するケースが多くなっています。
そのような場合は、旅行の条件などを鑑みて課税するかどうか判定されます。
従業員レクリエーション旅行の場合は「少額不追求」の趣旨を逸脱しないものと考えられています。そのため、下記の要件を満たす場合に限っては、原則として旅行費用を給与として課税しなくてもいいとされています。
旅行費用が非課税となる条件
海外旅行を開催した場合は、旅行先の外国での滞在日数が4泊5日以内であれば構いません。また、会社によっては、全社員で一斉に旅行を開催するのではなく、支社や支店、工場ごとに行うケースもあります。そのような場合は、それぞれの職場ごとで50%以上の参加率である必要があります。
創業記念品や永年勤続記念品に関しては、次の要件を満たした場合に限り、給与として課税する必要がないとされています。
なお、記念品や旅行・観劇への招待費用の代わりに現金や商品券などを支給する場合は、給与として課税対象となるので気をつけてください。
労働者の学資に充てるための費用を支給する際、次の要件を満たした場合は給与として課税する必要がありません。
なお、特別な関係がある者とは次の者のことをいいます。
会社の労務を担当する、もしくは管理監督する者としては、どのような福利厚生が人件費の給与所得として課税となるのか非課税となるのかを、しっかり把握しておく必要があります。
課税対象となるものはしっかり徴収しておかないと、後々税務的なペナルティを負ってしまうリスクがあります。また、できるだけ「非課税」になるように福利厚生を整えておくことで、従業員の満足度が高くなることでしょう。
社会保険労務士法人|岡佳伸事務所の代表、開業社会保険労務士として活躍。各種講演会の講師および各種WEB記事執筆。日本経済新聞、女性セブン等に取材記事掲載。2020年12月21日、2021年3月10日にあさイチ(NHK)にも出演。
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