保険料控除申告書の記入手順
- 次の資料を用意する
- 生命保険料控除証明書から転記する
- 上記(2)の転記した内容から生命保険料控除額を計算する
生命保険料控除は分かりづらいです。控除額が社会保険料控除や地震保険料控除などと違い、保険料の支払額とイコールでないからです。
また、生命保険料控除の種類は5種類あるため、控除額の計算前にそれらを区分する必要があります。そこで、生命保険料控除で控除できる金額の計算方法を中心に、他の人の保険料を負担した場合などのイレギュラーなケースを含めて解説します。
目次
結論から述べると、年末調整で生命保険料控除を申請することは可能です。ただし、生命保険料控除の種類ごとに控除の受けられる金額が次のように決まっています。
平成24年1月1日以後に締結した保険契約のことを指します。
の3種類があり、それぞれの保険料について控除できる金額は年間保険料に応じて次のとおりです。
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
2万円以下 | 年間保険料の全額 |
2万円超~4万円以下 | 年間保険料÷2+1万円 |
4万円超~8万円以下 | 年間保険料÷4+2万円 |
8万円超 | 一律4万円 |
平成23年12月31日以前に締結した保険契約のことを指します。旧(一般)生命保険料、旧個人年金保険料の2種類があり、それぞれの保険料について控除できる金額は、年間保険料に応じて次のとおりです。
年間保険料 | 控除額 |
---|---|
2万5,000円以下 | 年間保険料の全額 |
2万5,000円超~5万円以下 | 年間保険料÷2+1万2,500円 |
5万円超~10万円以下 | 年間保険料÷4+2万5,000円 |
10万円超 | 一律5万円 |
上記(1)と(2)で計算した金額が12万円を超える場合の生命保険料控除額は、最高額の12万円となります。
そもそも生命保険料控除が受けられる生命保険契約は、保険料の受取人が支払う本人とその配偶者や親族であることが条件となります。つまり、契約者が誰なのかは関係ありません。
たとえば、生命保険の受取人が配偶者とします。その配偶者が保険料を負担すれば、生命保険料控除の対象となります。
また別の例として、保険金の受取人が配偶者と年の途中で離婚した場合、以下のようになります。
婚姻関係のあった月までの 保険料 |
生命保険料控除の 対象となる |
---|---|
離婚した後の月からの 保険料 |
生命保険料控除の 対象とならない |
ただし、受取人を離婚した元配偶者から子どもに切り替えた場合、その月の保険料から生命保険料控除の対象となります。
生命保険を年の途中で途中解約をした場合、「支払った保険料-解約時の剰余金の分配や割戻金」が生命保険料控除の対象となります。
たとえ保険金を受け取ったとしても、その収入金額は年末調整の計算とは関係ありません。また、保険金を受け取った後の剰余金の分配や割戻金も同じように生命保険料控除の計算の対象外です。
ただし「受け取った保険金-過去に支払ったトータルの保険料」が50万円を超える場合、本人が一時所得として確定申告をしなければなりません。
保険金控除申告書の記入を本人ができるようになる、ならないによって年末調整業務の効率性が違ってきます。
たとえば、従業員から回収した生命保険料控除証明書を総務部が記入することを肩代わりすると、事務作業が増えてしまいます。そこでここからは、保険料控除申告書の具体的な記入方法について説明します。
記入する手順は次のとおりです。
保険料控除申告書の記入手順
まず最初に以下の資料を用意します。
生命保険料控除の種類ごとに、保険料控除申告書に転記する項目は次のとおりです。
生命保険料控除証明書を紛失した場合、生命保険会社へ速やかに再発行の手続きをすることが必要です。再発行の手続きには保険契約の証券番号の用意が必要であり、おもに3つの方法があります。
また上記1~3とは別に、最寄りの保険相談窓口で再発行の手続きを受け付けている生命保険会社も存在します。
万が一、年末調整まで回収できない場合は本人に確定申告を促しましょう。翌年から5年以内に生命保険料控除を確定申告すれば、税金の一部が還付(返金)されます。
年末調整で生命保険料控除の計算をスムーズに行うためには、控除額の計算方法を理解することに尽きます。
たとえば、本人が保険料控除申告書を記入できるようになるポイントは年間保険料をもとに「年間保険料÷4+2万円」などの計算式に当てはめられるかどうかにかかってきます。
また別の例として、途中で解約して本人が保険金を受け取るなどのイレギュラーなケースが発生しても、冷静に対処できます。まずは生命保険料控除の計算方法をきちんと押さえましょう。
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