配偶者控除の条件
- 以下の条件を満たす配偶者であること
・婚姻関係にあること
・本人と同じ家計であること
・年間の合計所得金額が38万円以下であること(パート収入など給与のみの場合は年収103万円以下)
・青色申告者の事業専従者として一度も給与の支払を受けていないこと
・白色申告者の事業専従者でないこと - 本人の合計所得金額が1,000万円以下(給与のみの場合は年収1,220万円)であること
年末調整における配偶者控除は、2017年までは配偶者のパート収入のみが基準でした。
しかし2018年からは控除を受ける納税者本人(以下、本人)の給与年収も控除額に関わってきます。しかも、2020年にも改正がおこなわれました。
この記事では配偶者控除と配偶者特別控除のアウトライン、所得控除額を説明します。また、配偶者に臨時収入があった場合などのイレギュラーなケースと2020年の税制改正についても解説します。
目次
配偶者の年収が一定額以下の場合、配偶者控除または配偶者特別控除のいずれかにより、年末調整で所得控除ができます。それぞれのアウトラインを見ていきましょう。なお、両方の所得控除を併用することはできません。
配偶者控除では、次の条件のすべてを満たす場合には、所得控除が可能です。
配偶者控除の条件
配偶者特別控除では、次の条件のすべてを満たす場合には所得控除をすることができます。
配偶者特別控除の条件
合計所得金額とは、給与の場合は年収から給与所得控除額を差し引いた残額のことを指します。
配偶者控除と配偶者特別控除の控除できる金額は、配偶者と本人の合計所得金額によって決まります。
配偶者の年齢に応じて、次の金額になります。
年齢 | 控除額 |
---|---|
一般の配偶者 | 38万円 |
その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の配偶者 | 48万円 |
また配偶者が障害者の場合、配偶者控除のほかに障害者控除27万円(特別障害者の場合、最高75万円)が受けられます。
本人と配偶者の合計所得金額に応じて、以下の金額となります。
本人の合計所得金額 | ||||
---|---|---|---|---|
900万円以下 | 900万円超 950万円以下 |
950万円超 1,000万円以下 |
||
配偶者の合計所得金額 | 38万円超 85万円以下 |
38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万円超 90万円以下 |
36万円 | 24万円 | 12万円 | |
90万円超 95万円以下 |
31万円 | 21万円 | 11万円 | |
95万円超 100万円以下 |
26万円 | 18万円 | 9万円 | |
100万円超 105万円以下 |
21万円 | 14万円 | 7万円 | |
105万円超 110万円以下 |
16万円 | 11万円 | 6万円 | |
110万円超 115万円以下 |
11万円 | 8万円 | 4万円 | |
115万円超 120万円以下 |
6万円 | 4万円 | 2万円 | |
120万円超 123万円以下 |
3万円 | 2万円 | 1万円 |
本人と配偶者に臨時収入がある場合、たとえばパートでの年収が103万円以下でも合計所得金額が38万円を超えるため、配偶者控除が受けられません。
また本人の給与年収が1,220万円以下でも、臨時収入により合計所得金額が1,000万円を超えれば、配偶者控除と配偶者特別控除の対象外です。
臨時収入の例
年末調整のとき、不正に配偶者控除や配偶者特別控除を受けるため、勤務先に本人や配偶者などの給与年収を実際より少なく年末調整書類に記入しても、税金はごまかせません。
パートやアルバイトでの給与は年収の大小に関係なく、給与支払報告書の提出義務があるからです。給与支払報告書により市区町村へ通知されるため、税務署が照会すれば本当の年収を把握できる仕組みになっています。
たとえば、配偶者の年収が200万円を超えているのに100万円と申告して配偶者控除を受けたとしても、勤務先に対し税務署が間違いを指摘してきます。
配偶者控除と配偶者特別控除における2020年の税制改正は、次のとおりです。
配偶者の合計所得金額の条件が「38万円以下」から「48万円以下」と10万円引き上げられました。
配偶者の合計所得金額の条件が「38万円超123万円以下」から「48万円超133万円以下」と10万円引き上げられました
しかし給与年収の場合、給与所得控除額という合計所得金額から差し引く金額が基本的に10万円引き下げられるため、配偶者控除と配偶者特別控除の条件となる給与年収は税制改正前とほぼ同額(厳密に同額にならないケースあり)です。
2018年からの年末調整では、配偶者控除と配偶者特別控除を計算するときに、配偶者の合計所得金額だけでなく、本人の年収の把握することが求められます。
たとえば、本人の合計所得金額が1,000万円(給与年収が1,220万円)を超えていれば、自動的に配偶者控除と配偶者特別控除は受けられません。
このように配偶者控除と配偶者特別控除の本人と配偶者の合計所得金額によって所得控除の金額は異なります。そのため、特に配偶者の年収を正しく申告させましょう。
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